SNS×AIで345万再生。“お客さまとの会話が、次のヒットをつくる。”タテムラブリーチ®考案者【Befine Coo AVEDA】森下容道さん #1
SNSでの発信が日常になっている美容業界。採用においてもSNSの影響力は年々大きくなっています。そこで本企画では、リアルなSNS活用術を現役美容師さんにインタビュー。
今回は、独自のブリーチ技術『タテムラブリーチ®』を考案し、AIを活用したSNS発信でも注目を集める「Befine Coo AVEDA」の森下容道さん。生成AI動画の投稿は345万回再生を超え、新たな集客にもつながっているといいます。【前編】では、『タテムラブリーチ®』誕生の背景やAI発信を始めたきっかけなどからSNS活用術を紐解きます。
「Befine Coo AVEDA」CMO森下容道さん
2017年 「アヴェダ フォトコンテスト」日本グランプリ受賞、世界大会に進出。Befineに所属しながら、教育やサロン運営を事業化。再現性が高く高品質な仕上がりをかなえる『タテムラブリーチ®』の考案者で、セミナーやオンラインサロンを手がけ、全国に認定講師を輩出している。
Instagram:@befine_pra_morishita
「もっときれいにしたい」から生まれたタテムラブリーチ®と、強みの見つけ方

――森下さんは独自のブリーチ技術『タテムラブリーチ®』を築かれていますが、誕生したきっかけは何だったのでしょうか。
きっかけは、もともと黒染めや複雑な履歴によるムラを消すためでした。普通にワンカラーでブリーチするより、縦の筋でグラデーションをつけた方がきれいになるという経験をしていたんです。
それをオンラインサロンで発信したところ、「知りたい」という方が多くて。そこから、「なぜきれいなのか」をわかりやすく理論化し、一つのシステムにして、技術として伝えています。
――それほど画期的な技術を、なぜここまで突き詰めることができたのでしょうか?
若手の頃からコンテストや撮影などクリエーションに力を注いでいたこともあり、モデルさんの髪を明るくしては戻し、また明るくして、ということを繰り返していたんです。
そうすると、ダメージも大きく、履歴も複雑に。当時の薬品(プレックス剤など)は強くなかったので、普通にブリーチをするとムラになってしまう。それをどうしたらきれいに仕上げられるかを追求した結果、今の形にたどり着きました。
――モデルさんの現場の悩みやクオリティに向き合い続けたことが、今の強みにつながっているのですね。SNSではそうした強みが発信の軸になると思いますが、「強みがまだ分からない」と悩む学生も多いようです。
まずは何でも一通り試してみることが大切です。自分の得意なことは、実際に試してみないと分からないものです。初めから選択肢を絞り込まず、いろいろやってみて「くさび」を打ってみる。その中で「これだ」と思えるものが見つかったら、そこに一点集中すればいいと思います。
――まずは「やってみる」という姿勢が、自分の可能性を広げるのですね。
「面白そう」で始めたAI生成動画で大バズり

――『HAIR info』の5月フォロワー数増加ランキングに入られていましたが、フォロワーが一気に増えたきっかけはあったのでしょうか?
AI生成の動画がきっかけだと思います。最近はAIに振り切って発信しています。お客さまの潜在ニーズをAIで可視化して、「こういうスタイルは再現できます」と発信する形に切り替えたんです。
その反響が大きく、200万再生、100万再生というように、続けて伸びる投稿が出てきました。
以前も『タテムラブリーチ®』を発信したときに同じようなことが起きたんです。多いときは、1日で1,000人ほどフォロワーが増える日も。そのとき大きく伸びて、現在はAIで再び同じような流れが来ている感覚です。
――ヒットの裏には、お客さまのニーズが反映されていたのですね。SNSの肩書き「美容師×京都AI職人」のとおり、業界においてAIにいち早く着目されています。AIを取り入れたきっかけは何だったのでしょうか?
常に新しいものは探してキャッチしています。「面白そう」と思ったら、とりあえずやってみる。いつもそんな感じです。AIも実際に触ってみたら面白く、「これからはすべてAIに変わっていくんだろうな」という直感がありました。SNSやInstagramが出始めた頃と同じような感覚です。「これはやる価値がある」と思いました。
――新しいものに対するアンテナの高さと行動力が素晴らしいです。AIはどのように学ばれたのでしょうか?
最初は、画像生成のセミナーを受けました。そこから実際に作ってみて、本を買ったりネットで調べたりしながら勉強しました。
あとは、やはり実践ですね。毎日、気に入るものができるまで作ってInstagramのストーリーズに上げる。それを習慣にしていました。「1年間は毎日やる」と決めていたので、毎日触ることで自然とうまくなりました。
――1年間……! その継続力には脱帽です。動画を1本作るのにどのくらい時間がかかりますか?
今は1時間もあれば作れます。最初は2時間ほどかかっていましたが、あまり時間はかけすぎないようにしています。時間をかけるより、とにかく数をこなしてうまくなるという考えなんです。1日2〜3時間もかけて投稿を作っていたら、続かないですよね。一つの投稿をすごく作り込むのは、ある程度結果が出てからでいいと思っています。
せっかく時間をかけて作っても、投稿したら全然伸びないこともあります。そうするとショックを受けて、10投稿くらいで心が折れてしまう人も多いんです。
結局、SNSで伸びる人は、数をこなせる人です。まずはやりながら改善していく。あえて時間をかけず、80%くらいの完成度で投稿しています。70%では出さないですけど(笑)。
――完璧を求めすぎて途中で止まってしまう人にとっても、すごく勇気が出るお話です。現在はどんなAIツールを使われているのでしょうか?
Claude、ChatGPT、Gensparkなど、いろいろ使っています。AIはそれぞれ得意なことが違うんです。例えば、文章を作るならこれ、セミナー資料を作るならこれ、というように用途によって使い分けています。
――ツールごとの特性を見極めて活用されているのですね。AIを始めて2年ほどでWeb制作までされるようになっていますよね。
そうですね。すべてAIを使って作れます。ただ、いまだにExcelとWordは使えないです。それを逆にネタにしています(笑)。
――そのギャップが最高です(笑)。AIの発信を始めてから、お客さま層や売り上げに変化はありましたか?
はい。AI画像でもお客さまは来てくれる、という発見がありました。投稿には「これはAIです」と明記しています。騙すのは絶対にNGだと思っているので、その点はきちんと伝えています。それでも来てくださる方がいるので、これは新しい集客の革命だと思いました。
お客さまとの会話が、潜在ニーズを教えてくれる
――お客さまは、AIのどんなところに惹かれて来られますか?
三つの軸があるのですが、一つは、「自分がグレーヘアにしたらどうなるんだろう」と気になっている方。二つ目は、「長年、前髪を作っていないけど、前髪を作ったらどうなるんだろう」という方。三つ目は、「40代以降だけど、ロングにしたらどうなるんだろう」という方ですね。これらはすべて、お客さまとの会話の中でポロッと出てきた内容なんです。まさに潜在ニーズなんですよね。
動画を見た方が担当の美容師さんに見せて、「この前髪は嫌なんですけど、こんな感じで私に似合うようにできますか?」など、相談できるような役割になればいいなと思っているんです。
――「潜在ニーズ」をAIで表現されたのですね。AI生成動画のモデルは、40代からシニアが多い印象ですが、新規のお客さまもそのくらいの世代ですか。
そうですね。これも以前、お客さまから「インスタって若い人しか出てこないよね」と言われたことがきっかけなんです。確かにInstagram上には、50代・60代向けのヘアスタイル投稿がほとんどありませんでした。ですが、日本の平均年齢は約49歳。そう考えると、絶対にその世代の方がマーケットとしてのニーズがあるはずですよね。一方で、若い世代の“インスタ離れ”も進んでいて、利用層の年齢は年々上がっています。そこでターゲットをその年代へ切り替えて発信するようにしました。
――Instagramの利用層はミドル世代も多いのですね。潜在ニーズを拾うためには、コミュニケーションも大切になってくると思いますが、普段から気をつけていることはありますか?
まずは、自分の「体験値」を増やすことです。経験値ではなく、体験です。
相手のことを理解しようと思ったら、自分自身も同じような感情になったことがあったり、失敗や嬉しかった経験があったりすると気持ちが分かるじゃないですか。
ある程度「体験値」を積んでいくと、何も言われなくても「多分こういうことを思っているんだろうな」「こういうニーズがあるんだろうな」ということが肌感覚で分かるようになってきます。
「こういう質問をすれば、こういう答えが返ってくる」というようなテクニックに走らず、自分の体験値を増やして相手の立場に立てるようになると、カウンセリングは勝手に強くなると思います。
――テクニック以上に「相手の立場に立つための体験」が肝心なのですね。深みのあるお話をありがとうございました!
【後編へ続く】
取材・文/長井まき
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