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パメラ・アドキンズ interview:豪華客船から始まったエステティシャンの道

エステティシャンを目指す人なら知らない人はいないCIDESCOの日本支部理事長パメラ・アドキンズさん。23年前、エステ教育者として日本に招かれ、以来、日本のエステ教育向上に力を注いでいます。思い込んだまっすぐに突き進んでいく生き方は、転職に悩むリジョブ読者に勇気を与えるはずです!

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10代の夢は、豪華客船でエステの仕事をすること!

授業の様子

「ロンドンから北西に160キロほど行ったノーフォークというところで育ちました。エステティックに行く人なんてほとんどいない、すごく田舎町なんですよ。だから、今こうやってエステの仕事を、しかも日本でしているなんて自分でも不思議です(笑)。エステの仕事がしたいと思ったのは、豪華客船で働くというテレビドラマを観たこと。いつか自分も客船に乗って、いろんな国をまわりながら仕事をしたいって夢見ていました。もともとイギリスはアロマやエステが盛んな国ですからね。中心地までいけば、エステを学べる学校はたくさんありました。卒業後、最初に就職したところは実家から片道2時間以上かかるところ。スクーターに乗って10キロ、スクーターを置いてケンブリッジまで1時間、自転車を持って電車に乗って、降りてからも3キロ。それを3年間頑張りました。どうして頑張れたのか? 実は客船で仕事するためには3年間の実務経験が必要だったんです。客船で働くため、その一心(笑)。思い立ったら、まっすぐに進んでしまう性格なんです。途中であきらめるなんて考えられなかったですね」

日本のエステ教育を変えたい

「晴れて客船での仕事をつかんで、23歳から5年間で計8隻の客船を経験しました。9ヵ月勤務して、1~2ヵ月の休みをとって、また働くというサイクル。2隻目でスパのマネージャーを任され、経営関係の書類や帳簿などの処理も経験しました。憧れの旅行気分というわけにはいきませんでしたが、社会人としての経験をじっくり積めたと思いますね。そろそろ1ヵ所に落ち着きたいなと思ったときに、タカラベルモント株式会社がイギリスのエステティックスクールの提携で日本校を開くと聞いたんです。日本のエステティシャンの教育レベル向上のため、イギリス式エステの教育者を募集していました。

当時の日本は、わざわざ学校に行ってエステの勉強をするという人がいなかったんですね。まずは就職して、その会社でトレーニングしていくという。だから技術はできても、理論的なことがまったくわからないまま。エステはお肌の外側からだけでなくて、身体の内側からの影響も考えなければなりません。解剖学や生理学を理解することで、本物のエステを提供できます。エステには教育という基盤が絶対に必要なんです。自分の得意分野で日本のエステを変えていける、未来の自分が見えたと思いました」

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日本の女性たちの変化に驚いています!

パメラ・アドキンズさん

「でも、日本に来てすぐに教えるということに失望しました。講義で『質問はありますか?』と聞くと無言、静まり返って、しかも居眠りする生徒が多数……。授業が面白くないんだと思うと咎めることもできませんでした。でも、電車でも公園でも、日本って居眠りしている人が多いんですよ(笑)。国民性だとわかってからは、毎年、授業の初日には『ここでは居眠りは許しません!』と指導しています (笑)。でも最近の生徒たちは、たくさん質問をしますし、積極的になっていると思います。特にタカラに入学してくる生徒は、ほとんどが自分で学費を稼いでいるので、学びたいという気持ちが強い。『なぜこの勉強をするのか』『なんのためにこの技術が必要か』を常に考えられていると思います。なにより、エステティシャンになるんだという意志がありますね。23年前は、ほとんどの人が結婚するまでの時間つぶしのような感じだったんです。女性が自分の人生を、自分のものとして考えられるようになってきたんですね。エステへの認知が変わったことはもちろんですが、日本の女性たちの意識は驚くほど変化しています」

教えるという仕事が私の天職

「タカラは2000年にCIDESCO(シデスコ)の認定校に選ばれ、その後私自身もCIDESCOの日本支部理事長、国際試験官という立場になりました。CIDESCOの特徴は、フェイシャル・ボティ、脱毛、メイクなど、エステで必要とされるものがすべて入っていること。試験は海外から試験官が来て実施されます。実技試験は7時間もかかるんですよ。施術中には、『お客様の肌質を説明しなさい』『なぜこのトリートメントを選びましたか』『そのリンパ節の名前は』などの口頭試問があり、身体に関する知識を理論立てて身につけているかが問われます。実は3.11大震災の2日後にCIDESCOの試験を控えていました。海外から来ていた試験官は日本から離れたいと言い、海外から来る予定の試験官は日本に来るのを見合わせるという事態に。生徒は就職まで決まっているわけですから、3月の試験をとばすなんてできない。各地の学校を回って私が試験を行おうと名乗り出ました。事情が事情でしたから。そうやって30日までに各地の試験、全部を終わらせました。イギリスの家族は心配し『戻ってきて』と言いましたが、逃げようとは思わなかった。私のするべきことは、生徒たちの面倒を最後までみること。天職という言葉は日本ほどイギリスでは使いませんが、こういうのを天職というんでしょうかね」

エステティシャンに必要な素質は1つ

パメラ・アドキンズさん

「よく、どんな人がこの仕事に向いているか、どんな人が伸びていきますかという質問を受けます。もちろん、柔らかい手を持っている人は有利ですね。トリートメントのリズム感も個人差がありますし、年齢が高くなると手の関節は硬くなりますから不利かもしれません。それでも、たとえスタート地点が遅くともあきらめることはないです。みんな上達します。最初に下手でどうしようもない人でも、ものすごく上達してびっくりさせられることがあります。お客様が『気持ちがいい』と喜んでいただけることに充実感を得られる人は、コツコツと自分の技術を向上させていけるんだと思います。たとえば、エステティシャンは常ににこやかに、ハッピーでいることが大切です。時々、相手に対する気遣いや社交性をもたないエステティシャンがいます。なぜこの仕事をしようと思ったのだろうと不思議です。技術的に世界一の技術を身につけたとしても、一緒に喜べるような人柄がなければ、お客様に本当の満足を提供することはできません。エステティシャンは、お客様に喜んでもらえる仕事、喜んでもらえることが楽しい仕事なんです。そう考えると、この仕事に向いている人として、ひとつ言えるのは、この仕事が好きということ。それが一番大切な素質かもしれませんね」

あきらめないで! 今の経験があなたの実績になる

「現在も仕事の半分は授業です。1年で自分の生徒がエステの職業に就く、その手助けができることが楽しいですね。先日、エステの大きなコンテストがあったのですが、指導者として生徒を引率して来た8人はみんな私の教え子でした。私のDNA(笑)。時間をかけたからこその成果であり、充実感です。数えてみたら客船での仕事では66ヵ国を回り、世界一周を2回している計算になるんです。日本での教育の仕事は23年。いろんな場所で経験を積むという仕事の選択もありますが、1ヵ所でキャリアアップし、仕事を増やしていくほうが体系的に学べると思います。何度船に乗っても、長年教育の仕事に携わっても、同じ仕事というものはありませんでした。技術の向上はもちろん、経営、金銭の仕組み、スタッフのスケジューリングなど、自分の立場が責任あるものになればなるほど、あらたに学べるものが出てくる。今、もし仕事がつまらないからと転職を考えている方がいたら、どうか逃げないでと言いたいです。同じように見える道でも必ず新しい経験が待っていて、それが積み重なって、あなたの実績になるのですから」

Profile

パメラ・アドキンズさん

パメラ・アドキンズ(ぱめら・あどきんず)さん

CIDESCO日本支部 理事長/本部国際教育委員/国際試験官
タカラ・インターナショナル エステティックカレッジ主任教育ディレクター

イギリス・ノーフォーク生まれ。母国ノーフォーク芸術技術学校においてエステティックとヘアの技術を習得。技術者兼スパマネージャーとして世界を周遊する大型豪華客船に乗務。1991年、タカラベルモント株式会社の招聘により来日。

現「タカラ・インターナショナル エステティックカレッジ」にて教鞭を執る。

CIDESCO国際本部教育委員、試験官としても活躍する傍ら、日本国内のエステティック教育の水準を高めることに力を尽くす。

Company

CIDESCO

CIDESCO

CIDESCO(シデスコ/エステティックおよびコスメトロジー国際委員会)は世界的なエステティックの団体です。現在、世界に33の支部があり、毎年世界会議を開催。世界中のエステティシャンが参加し、国際的な知識・技術のレベルアップと情報交換、親睦をはかっています。

CIDESCOインタ-ナショナル・エステティシャンになるための国際試験には、CIDESCO本部の派遣で国際試験官が来日し、試験に立会います。合格するとCIDESCO加盟各国共通の国際ディプロマが授与され、海外でのエステティシャンとして活躍することもできます(海外での就職には、それぞれの国の就労ビザの取得が必要です)。

CIDESCOについてもっと詳しく知りたい方は、http://www.cidesco-nippon.or.jp/

タカラ・インターナショナル エステティックカレッジ

タカラ・インターナショナル エステティックカレッジ

本当の「美」を追求し、世界に通用するエステティシャンを養成する教育機関。1974年に開校し、常に、最高レベルの知識、技術、スタッフが集まる場として注目を浴びている。講師はCIDESCO認定エステティシャン・CIDESCO認定アロマセラピスト・CIDESCO認定スパセラピスト・CIBTAC認定ディプロマ・一般社団法人 日本エステティック協会認定エステティシャン等の有資格者。18名以内の少人数制教育により、生徒一人一人の理解と習得度を把握し丁寧に指導し、試験合格へと導く。

タカラ・インターナションナル エステティックカレッジ
東京都渋谷区代々木1-56-4 美容会館 3F
03-3379-7752
詳しく知りたい方は、http://www.takara-esthe.com/index.html

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