榎戸淳一さん

口ベタで無愛想。お客さまとのコミュニケーションが苦手。こんな状況でも接客を続けられる?

おシゴトをしていると避けられないさまざまな試練。新人には新人の、トップにはトップの困難があるかと思います。そこで「迷える美容業界相談室」と題して、いろんな人たちの悩みに「フルーツルーツ」の榎戸さんがお答えします。

お悩み

原宿の某ヘアサロンでアシスタントをしています。自分は口ベタで無愛想。正直、お客さまとのコミュニケーションが苦手です。でも美容は好きです。こんな自分でも続けていくことはできますか? (3年目・スタイリストアシスタント)

エステ

「こういうタイプの方って、実は多いです。アドバイスするなら、とにかく一生懸命やること。不思議なもので、例えば新人さんは先輩よりも技術は低いのですが、お客さまからの評価は高いんです。なぜかというと、誠意を持って一生懸命やるから。ちょっと下手かもしれないけども、テクニックを超えるだけの気持ちがあるんですよね。それが伝わるから、お客さまも満足して帰られるんです。接客ってそういうものなんですよ。上手ければいいということではなく、情熱があるかどうかなんです。前向きに成長したいという気持ちが伝われば、お客さまは応援したくなるんです。もちろん店長やオーナーだって同じです」

手元

――今回の相談者みたいな方は、榎戸さんのお店にもいますか?

「いますよ。そういう子のほうが愚直にやるので、将来的に伸びるんです。しかも人をよく観察しているし、自分なりに考えて行動しますよね。だから卑下することはないです。最初は劣等生かもしれませんけど、最後は尊敬される先輩になれますから。それに、こういう人は教えるのが上手かったりするんです。自分が不器用な分、できない子の気持ちが分かるんですよね。いわば秀才肌なんです。天才肌の人は器用だからすぐにきちゃうけど、それは感覚がいいからであって、人に教えるとなるとあまり上手ではないですね。理論的なことが苦手なんです。お客さまの中でも、そういう無口なスタッフが好きな方がいます。だから、これもひとつの個性だと思ってほしいです」

――榎戸さん自身も週に2回エステに通っていると以前話してくれましたが、施術を受けているときは静かに過ごしたいとおっしゃっていましたよね。

「はい。静かに過ごしたいタイプなので、いろいろ話しかけてくる人よりも、こういう子のほうが安心して施術を受けられますね」

榎戸淳一さん

――口べたな方はスタッフ内での評価はどうなんでしょうか?

「やっぱり低くなりやすいんですよね。自信がないように見えますから」

――話は少しズレますが、よくしゃべる子とあまりしゃべらない子とでは、エステティシャンの世界ではどちらが多いですか?

「どっちなんでしょうね……。う~ん。しゃべる子のほうが多いのかな。しゃべるというよりかは、明るい子と言ったほうがいいような気がしますね。だけど、真の技術者になる人はけっこう寡黙な人が多いですよ。性格的に深く追求するタイプですよね」

女性

――相談者の方は大人しい性格を直そうとするより、技術にまい進すべきというわけですね。

「もちろんコミュニケーション能力も磨いていかなくてはならないんですけども、別にそれが苦手だからといって落ち込む必要はないですよね。いろんな人がいてひとつのチームですから。お互い認め合って補うことで、さまざまなお客さまを呼べるんですから。コミュニケーションが得意な人だけいても、お客さまを呼べる幅には限界がありますよ」

――もし、どうしてもコミュニケーション能力を磨きたいという場合、何か秘訣はありますか?

「相手に興味を持つということでしょうね。一見、簡単に聞こえますが、人って興味を持てと言われても、なかなかできないんですよ。だからまずは、質問されたら同じ質問をしてみるといいかもしれませんね。例えば『どうしてこの職業につこうと思ったの?』と質問されたら、答えたうえで『お客さま今の仕事に就くきっかけは何だったんですか?』と返してみるとか。そうすれば、仕事に対する共通点が見えたりして、話が続けやすくなると思うんです。今回の相談者の方は、口べただからといって美容業界には向かないなんて思わずに、やれることを一生懸命やって成長していってほしいと思います」

Profile

榎戸淳一さん
榎戸淳一さん

(株)ES-ROOTS代表取締役社長

船井総合研究所時代に社内にエステ業界のコンサルティングを立ち上げ、実績を残す。退社後、(株)ES-ROOTSを設立し、オーガニックコスメエステティックサロン「フルーツルーツ」をオープン。2年後に第2回エステティックグランンプリ、モデルサロン部門、フェイシャル技術部門で全国1位受賞。著書に「サロンはスタッフ育成で99%決まる」「愛されるエステティシャンの秘密!」などがあり、業界を牽引する役割を果たしている。

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