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目は口ほどに物を言う!?を実感する、おもてなしの「視線」活用法

技術面は自信があるけれど、接客は苦手という方も多いのでは?お客さまに喜んでいただくためには、接客もマストです!

今回は、アイコンタクトの基本である視線について、効果的に視線を合わせるポイントや、お客様の視線の読み取り方など、具体例を交えて教えていただきます。元国際線キャビンアテンダント(以下CA)で現在は医療コンシェルジュとして活躍されている永田潤子さんにうかがいました。

「相手の目を見て話しましょう」と、きっとみなさんも子どもの頃から教わってきたと思いますが、視線の合わせ方にもコツがあるのをご存知でしょうか? 今回は効果的な視線の活用法を具体例を交えて教えていただきました。

目を見る=目の周辺を見る

永田潤子さん

「人と話をするときは、目を見て話しましょうと言われますよね。でもその『目』とは、具体的にどこなのでしょう? よく言われるのは『眉と眉の間』ですが、近い距離で眉と眉の間を見られると、何かそこにくっついているのではないかと感じてしまう人もいます。私の場合は、その一点を見つめるのではなく、目と眉の周辺を見るようにしています。なぜかというと、目はかなり力の強いパーツなので、見続けるほうも力が入ってしまいます。もう少し範囲を広げて『目と眉の辺り』とすると、そんなに負担なく見ることができると思います」

「お客様のなかには、話をしているときにぐっと目を見つめる方もいれば、視線をそらしがちな方もいます。そこはお客様の視線の動きを観察して、できるだけお客様に合わせると良いでしょう」

効果的に視線を合わせるコツ

「視線はずーっと合わせているより、必要なポイントで合わせたほうが効果的に良い印象を残せると思います。例えばお辞儀をするときは、まずお客様の目を見てからお辞儀をして、最後に顔を上げたときにもう一回目を見ます。こうすると良い印象の余韻を残すことができます。目を見てからお辞儀をすることは、けっこう皆さんできているんですが、最後に目を見ることを省いてしまっている人が多い気がしますね。あとは、例えば、何かを紙に記入していただく場合、記入し終わったお客様がいつ顔を上げるかわからないですよね。わからないんですが、お客様に『待っていてくれたんだ』と思われるには、はやり記入を終えて顔を上げた瞬間に視線を合わせるのがベストなんです。でも、記入していただいている間中ずーっと凝視しているわけにはいきません。ですから記入が終わる頃を見計らって視線を合わせるようにします。アイコンタクトが大事ということはCAの訓練でもよく言われましたが、こんなふうに相手が求めているタイミングで視線を合わせることが重要なんです」

何かを求めている人を視線でキャッチ

「接客業はお客様と対峙していないときや何も作業がないときでも、周囲の状況を常に注意して観察していなければなりません。例えば、CAは余裕のあるときは、座席に座っていらっしゃるお客様をひとりずつ端からずっと目で追っていきます。そうするとお客様と目が合って、何かを求めていることがわかったりします。お客様に呼ばれてからそちらを見るのではなくて、お客様が何かを求めているときにちょうど目が合うようにすることが重要ですね。そうすればお待たせすることもなくスムーズにサービスすることができます」

お客様の視線の動きにも注意

機内

「CAはアイコンタクトを駆使しますが、お客様の視線にも注意を払っています。機内の通路でカートを押しているときは、CAの背後からお客様が近づいて来ても、ふつうは振り返らないとわからないんですが、振り返らなくてもお客様が来ているということがわかる方法があるんです。それは座席に座っているお客様の視線です。座席に座っているお客様はCAと向き合っているので、 CAの背後にいるお客様が見えますよね。そうするとチラッと視線が動くんです。そこで、『あ、どなたかいらっしゃるのでは』と気づいて振り向くと、本当にお客様がいる。こんなふうに、人の視線はけっこういろいろなことを物語るものなんです」

視線の動きから心の声を察知

「お客様の視線の動きに気づくことで、見えて来ることがあると思います。対峙しているお客様の目線が泳いだり、何か違うところを見ていたりしたら、『何かあるのかもしれない』と注意してみてください。例えば何人かのお客様をお待たせしていて、ひとりの方への対応を始めたとたんにその方が他のお客様をチラッと見たら、他のお客様のほうが順番が先だったのかもしれません。『目は口ほどに物を言う』ではないけれど、言葉に出さなくても何か思っていることがあると、視線の動きでそれを察知できることがあります」

取材協力:CA Media Agency
1000人以上のCAネットワークから情報を発信!日本初のキャビンアテンダントによる総合情報発信サイト「CA Media」(http://ca-media.jp/)

世界中を飛び回るCAならではの視点で、旅、美容、グルメ、ライフスタイルなど、生活を彩り豊かにする情報をお届けしております。

Profile

永田潤子さん

永田 潤子さん

津田塾大学学芸学部卒業後、日系航空会社に入社し国際線のCA(キャビンアテンダント)として乗務。在職中にソムリエの資格を取得し、フライトやプライベートを利用して、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ等のワインセラーを巡るのが楽しみだった。産休中に英語通訳案内士の資格を取得、老後にボランティアをしたいと考えている。現在は医療コンシェルジュとして病院に勤務している。

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