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敬語の使い方まちがい!あれこれ「Q&A」 接客で求められる【言葉づかい&話し方・セミナー#2】

学生時代にはあまり使うことがなかった敬語。社会に出たら毎日、しかも接客業の場合はほとんど一日じゅう使うことになって、敬語に奮闘しているのでは? 使い慣れないうちは、きちんと話そうと思えば思うほど失敗してしまうのが敬語のやっかいなところ。

今回は、ついつい気負いすぎて敬語をいくつも重ねてしまう”二重敬語”を取り上げます。

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「お客さまがおっしゃられたとおりに」

敬語イラスト

敬語は、「1つの言葉に1つ」が原則! と、知っていましたか? 1つの言葉に同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使ったものを二重敬語といいます。

ていねいプラスていねいなのだから、間違いどころか最高の敬意を相手に払っていることになるのでは? と思うかもしれませんが、何事もやりすぎは禁物。

表現がまわりくどくなって相手に話が伝わりにくい、しつこく聞こえる、ていねいすぎて、かえって失礼に聞こえる……というのが、二重敬語がNGとされる理由です。

「お客さまがおっしゃられたとおりに」は、まず「おっしゃる」は「言う」の尊敬語なので◯。でも、「~られる」も尊敬語です。つまり、「おっしゃる」プラス「られる」となって、間違いになってしまうのです。

同じように、たとえば電話で問い合わせがあった場合などは、「△△さまは、さきほどお帰りになられました」→「△△さまは、さきほどお帰りになりました」が正しい。顧客カードなどに記入していただく場合には、「お名前をこちらにお書きになって下さい」→「お名前をこちらにお書き下さい」が正解です。

→正しい言い方
「お客さまがおっしゃったとおりに」

「ご覧になられますか?」の二重敬語

イラスト

待ち時間などに、お客さまに雑誌をお持ちして、こんなふうに言っていませんか?

「ご覧になる」は、「読む」の尊敬語として◯。でも、そこに同じ尊敬語の「~られる」をプラスすると、くどくなってしまいます。「ご覧になりますか?」が正解です。

言う、帰る、書く、読む、など動詞を尊敬語にしたら、同じく尊敬語を示す助詞の「~れる」「~られる」は使わないこと。

では、「~れる」「~られる」を使えば、動詞を尊敬語にする必要はないのでしょうか。その場合、「読む」+「~れる」で「読まれますか?」となります。

文法的には間違いではなさそうですが、言葉の響きがややそっけない印象。「ご覧になりますか?」のほうが、やさしくて温かい印象です。

上に挙げた動詞も、とくにお客さまが主語の場合は「言われた」よりも「おっしゃった」、「帰られた」より「お帰りになった」、「書かれて」より「お書きになって」のほうがよりていねいで、敬意が感じられます。

→正しい言い方
「ご覧になりますか?」

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使ってOK!の二重敬語

イラスト

基本的に、使わないほうがいい二重敬語ですが、すでに習慣化されていて「使ってもOK」とされているものもあります。

たとえば、「お召し上がりになる」は、「食べる」→「召し上がる」に、「お〜になる」という尊敬語を重ねて使っているのですがOK。

「おうかがいする」も、本来なら「聞く」→「うかがう」に「お〜する」で二重敬語なのですが、いまは普通に使われています。

また、2つ以上の敬語を使っても、たとえば「お読みになっていらっしゃる」のように、「読む」→「お読みになる」と、「いる」→「いらっしゃる」を接続助詞の「て」でつなげていればOK。これは敬語連結と呼ばれるもので、二重敬語にはあたりません。

ただ、それでもやはりしつこく聞こえますし、複雑になればなるほど間違えそうで不安になってしまうのが敬語というもの。

やはり、「読む」か「いる」のいずれかを尊敬語にして、「お読みになっている」あるいは「読んでいらっしゃる」のほうが簡単で、スマートな印象です。

言葉づかい&話し方 お悩み相談

今回のお悩み

「ご苦労さまでした」と言ったら、先輩にムッとされてしまって……

Q

この間、私がたくさんの仕事を前にして呆然としていたらお願いもしていないのに先輩が手伝ってくれて、予定より早く仕事が片づいたんです。

仕事ができて、しかも親切な先輩に感謝の気持ちを込めて「ご苦労さまでした」と言ったらムッとされてしまって。

何が先輩の気にさわったんでしょうか……

目上の人には失礼になりかねません

A

仕事のサポートをしてもらい、感謝の気持ちを伝えようとしたことはGOOD! 誰かにやってもらって当たり前、と考える人も少なくないなか、とてもいい心がけです。

でも、残念。「ご苦労さま」はどちらかというと目下の人に対してかける言葉とされていて、「よくがんばったね」という意味合いが強いのです。ですから先輩は、「後輩に見下された」と感じてしまったのかもしれません。

もちろん、とても親しい関係だったり、その場の状況によって目上の人に「ご苦労さま」と言っても問題ないこともあるでしょう。

しかし、とくに上司やお客さまに対しては使わないほうが賢明。

この場合は、まずは「ありがとうございました」と言ってから、「お世話になりました」あるいは「お疲れさまでした」と言うと、よいでしょう。

※参考文献
「スラスラ話せる敬語入門」(渡辺由佳/かんき出版)
「敬語『そのまま使える』ハンドブック」(鹿島しのぶ/三笠書房)

「大丈夫です」は、大丈夫ではありません!接客で求められる【言葉づかい&話し方セミナー #3】 >>

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