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世界的賞を受賞したジュエリーブランド「TOMOKO KODERA」。その作品の秘密とは!【ジュ エリーデザイナー小寺智子さん #3】

ジュエリーデザイナーの小寺智子さんは、その作品も、ブティックも、凛としたご本人の佇まいとともに、自分らしいスタイルが隅々にまで貫かれています。一度身につけると、身につけた人の個性と相まって、その世界観に魅せられる人が多いジュエリーブランドがTOMOKO KODERAなのです。

ところが、小寺さんは、個人でブランドを立ち上げたわけではなく、ダイヤモンドジュエリーの会社の一社員として、個人名をつけたブランドを展開しているという、とても稀有な存在。

その仕事術と美しいジュエリーが生まれる秘密を知りたくてお話を伺いました。仕事をするってどういうことなのか、参考になるヒントがいっぱい詰まっています。最終回#3では、ジュエリーデザイナーとしての成功と、昨年、日本人が初めて受賞した世界的なジュエリーコンテストの話について伺いました。

グランプリ受賞時
ダイヤモンドの街、ベルギーアントワープで行われた「HRD Awards 2015インターナショナル ダイヤモンドジュエリーコンペティション」グランプリ受賞時の写真。翌日現地の新聞にも掲載され、街を歩いていると、たくさんの人に声をかけられたそうです。
小寺智子さん
ジュエリーデザイナーの小寺智子さん。

前回は小寺さんが現在ブランドを持つ会社に入社したところまででしたが、じつはジュエリーデザイナーになるまでは、まだしばらく時間がかかりました。

「販売のアルバイトをずっとやっていて、入社時もそのポジション。だからスタートはデザイナーじゃなかったんです(笑)」という小寺さん。ジュエリーの専門学校で学んだのに、普通だったら焦るところです。

「そういうのはなかったですね。けれど1年後にデザイナー職に空きが出て移動になりました。そこで初めて、デザイン画らしいものを描いたんですよ」。

「当時はまだ、自分らしさがどう、というより、こんなものが欲しいだけど、というリクエストでベーシックなタイプのジュエリーデザインをしていました。その後取引先用のサンプル製作で自由にデザインしてもいいことになったのですが、それが大胆すぎてボツになり、私のところに戻ってきました」

その時の作品が、前回写真でご紹介した“NYアーキテクチャー”や“セントラルパーク”です。それを小寺さんは、タイミングを見計らってジュエリーのコンテストに出品。なんと見事に賞を受賞し、この作品が話題になります。

「びっくりするほど好評でした(笑)。コーナーに人が並ぶほど来てくれました。ディテールが凝っているので、製造が間に合わず、途中から受注販売にするほどに」

ベーシックなデザインをしていたころから、ヒットメーカーだった小寺さん。社内では“ひっとめ”って愛称で呼ばれるほどだったそうですが、これをきっかけに誕生したのが現在のブランドです。

「思えば、ひとつひとつのスパンというか、節目というのは長いんですよね。でもいつもこんな風にしたい、とかそんなことは思っていて、そのチャンスは逃さないようにしてきたのかもしれません」と語る小寺さん。

そして、ブランドは順調に成功を納め、昨年は世界的な権威のあるジュエリーデザインの賞「HRD Awards 2015インターナショナル ダイヤモンドジュエリーコンペティション」を日本人で初めてグランプリを受賞されました。その時の作品が「籾殻(rice husks)」です。

籾殻(rice Husks)
受賞作の「籾殻(rice Husks)」。本物の籾殻から自然の形を写し取っています。

「食というのがテーマにあったんです。そもそも “お弁当”という作品も作って、こちらも賞をいただいたのですが、もうひとつの作品として出したのが “籾殻”でした。じつはこの“籾殻”は、ジュエリーの専門学校の時の卒業制作からふくらませたものです。ずっと大切にしてきたモチーフでした」

使用例
「籾殻(Rice Husks)」のつけ方は自由。ここでは袖にあしらっていますが、胸元や背中など、着ける位置も自由なのが従来のジュエリーの概念を超えた作品になっています。 男性がジャケットの襟にあしらうこともできたり、ジェンダーレスな魅力ももっています。

ジュエリーとは自分の意思を持って選んで身につけるものだけれど、籾殻は自分の意思に関係なく、気が付いたら人の衣服や髪についたりしているものです。その人がどんなところから来たのか、なんで籾殻が付いているんだろう、とか見る人がイメージを膨らませることができます。学生時代コンテンポラリージュエリーを専攻していた小寺さんにとって、それはまさにうってつけの題材。卒業制作で、いろいろな人に籾殻をつけてもらい、それを写真に納めて卒業制作として提出。とても優秀な成績を納めた思い入れのあるモチーフだったのです。

「ゴールドで作った籾殻に、小さなダイヤモンドをあしらって400ピース作りました。高度な職人の技が使われています。小さなフックがついていて、それで服に引っかかるようにしていますが、固定はしていません」

このコンセプチュアルなジュエリーは、世界中の優秀なデザイナーの作品をたくさん目にしてきた審査員に驚きをもたらしました。自由な発想、着ける人の性別や年齢を選ばない、誰にでも寄り添うジュエリー。

「TOMOKO あなたは未来を作った!」と審査員のひとりにいわれたそうです。

この作品は、世界を巡回して今年秋には日本に来る予定だとか。その時がとても楽しみだという小寺さん。「日本に来るまでにちゃんとそれが保たれているか心配です(笑)」という小寺さん。

次はどんなことをする予定ですか?と伺うと、

「もちろん温めていることは常にありますが、いまはこのコンセプトショップに力を注ぎたいですね。ジュエリーはパーソナルなもの。だからまずひと目みて、“欲しい”と思ってもらえたら良いな、と思ってデザインしています。こんなの欲しい!が、私のデザインしたジュエリーだったら最もうれしいことです」

小寺さんの揺るぎない感性が、長い時をかけてジュエリーデザイナーとして結実していく姿。それは、ジュエリーデザインにもしっかりと生かされているように思います。そんな小寺さんのジュエリーを身につけていれば、大丈夫と背中を押させている気分にもなれそう。ディテールにまでこだわりのあるショップ同様、ホームページには、ブランドの5つのコンセプトなども掲載されており、小寺さんの美意識がすみずみまで行き渡っているので、ぜひチェックしてみてください。

構成・文/高橋麻紀子

Profile

小寺智子さん

小寺智子さん

京都芸術短期大学日本画科卒。1990年ヒコ・みづのジュエリーカレッジを卒業後、ダイヤモンドディーラーである株式会社柏圭に入社。1996年よりハイクラスジュエリーブランドTOMOKO KODERAコレクションがスタートし、現在に至る。全国の百貨店コーナーに加え、ブランド創設20周年で初の路面店「TOMOKO KODERA」を南青山にオープンした。数々のジュエリーデザインの権威ある賞の受賞歴多数。HRD Awards 2015インターナショナル ダイヤモンドジュエリーコンペティションで、日本人初のグランプリ受賞という快挙をなしとげた。

http://www.tomoko-kodera.com/

Shop Data

TOMOKO KODERA CONCEPT SHOP

東京都港区南青山5-10-1 二葉ビル1F
Tel.03-3486-1051
営業時間:11:00~19:30 火曜・水曜定休

注目のブランド「TOMOKO KODERA」とは?揺るぎない美を極める【ジュエリーデザイナー小寺智子さん #1】 

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