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コラム・特集 2016-08-16

双木 昭夫 interview#1:『王道メイク』から、逆転の発想で『ドールメイク』を創造!

原宿カルチャーといえば“カワイイ”がキーワード。その中心となるのがロリータファッションでありドールメイクだ。今回登場する双木昭夫さんはドールメイクの創始者とも言うべきヘアメイクアーティスト。今でこそ第一人者としてトップを走るが、ここに辿り着くまでには紆余曲折をたくさん経験している。だからといって苦労を全面に出すタイプではなく、明るいキャラクターでまわりを和やかにする気配り屋さんでもある。そして何より、話していて気づくのは、人並み外れたパワーを持っているということ。そんな彼から学ぶべき人生訓は多い!

――ここ数年で日本の“カワイイ”文化が世界に知れ渡るようになりました。その中心ともいうべきカルチャーがドールメイクです。そもそもドールメイクのきっかけはなんだったのでしょうか?

「学生の頃から、女の子のガーリーな世界観が好きだったんです。男なのに(笑)。当時も今もそうなんですけど、メイクってビューティーなんですね。メイクをすると美しくなって、大人っぽくなる。『すごい大人っぽくなった』ってよく聞くじゃないですか。それがホメ言葉で、正義で、いいとされていて。だけど私は正直、大人っぽくないほうがいいのになあって思っていました。常々、雑誌などのビフォー・アフター企画を見て、ビフォーのほうが断然いいじゃん、なんでわざわざ大人っぽくしちゃうんだろうと疑問でした。そんな思いを抱きながらも仕事をして、段々とスキルを身につけていったとき、これは自分が手がけたいメイクではないなと、はっきり分かったんですね。だったら、どうしたらいいんだろうと考えていて……。どこだったかな。そういうデザイン戦略みたいので、売れるキャラクターには法則があるというのを聞いたんです。目が離れていて、目の位置が低いキャラクターはみんなヒットするっていう。本当かなあと思って、自分なりに調べてみたら、やっぱりそうだったんです。そこで、人間もそのまま同じことをしたら愛される顔になるんじゃないかなと思ったんですよね。そういうふうになるためには、どんなメイクをほどこしたらいいんだろうと思ったとき、今までに習ってきたメイクとは逆なんだということに気づいたんです」

双木昭夫さん

――逆とはどういうことでしょうか?

「メイクって、普通はアイシャドーを目の上に塗るじゃないですか。茶色などのグラデーションを目の上に塗って、鼻を高く見せるために鼻の横を暗くしてって。でもそのセオリーだと、目が寄って見えるんですよ。目が寄ると、険しくてきつい印象になる。さらには目の位置が上にも見えるんですね。そうすると大人っぽい顔にはなるけども、愛される顔とはまったく逆なんです。私がやりたいのはそうではない。アイシャドーを目の上には一切塗らず、目の下をポイントにして、目尻もちょっと長めにしたり、鼻の横には一切影を入れないようなメイク。そうすることで目が離れて、しかも下がって見えるんですね。今までのとは違うやり方で、名前も勝手に“ドールメイク”と名付けて、雑誌でやっていったんです。そしたらこんなにも広まって、正直、ビックリです(笑)」

――最初にドールメイクを作るうえで、いろんな人をモデルにして、さまざまな実験をしていったのでしょうか?
「日々仕事をする中で、さぐりながらやっていった感じです。私は根本的にラクをしたい人間なので、人とかぶらない方法や、人と違うやり方とか、そういうことばかり考えるタイプなんですね。ヘアメイク分野でもハイファッションとかモード系で仕事をしたい人ってたくさんいるんですよ。同じ土俵で勝負すると、競争相手がいっぱいいてしんどいじゃないですか(笑)。当時は、原宿系は今ほど注目されておらず、でも私はロリータ系が好きだったので、こっちに流れてよかったです。ライバルがいないから競争もない。だからラクだったんです」

双木昭夫さん

――ラクといっても、道なき道を行くわけですよね。不安はなかったんですか?

「モード系やハイファッションの分野へ行くと、確実に厳しい道が待っているから、そっちよりはマシだと思っていました。でも正直なところ、不安はありましたよ。自分はヘアメイクで生活できるようになるまですごく遅くて、30過ぎなんです。それまではずっとアルバイト生活ですから」

――本当ですか?

「はい。私が20代の頃はちょうどバブル絶頂期で、ヘアメイクの仕事がたくさんあったんですよ。みんな、ブランドの広告といった高いギャラのものに流れていましたね。でも私はそこでは勝負しないと決めたので、仕事がありませんでした(笑)。そこでどうしたかというと、バンドマンのヘアメイクをしていたんですね。もちろんアマチュアです。ミュージシャンにヘアメイクは必須じゃないですか。なんのつてもないから普通に都内の小さいライブハウスに通って、いろんなバンドを見て、気になったバンドがあればライブ後に楽屋を訪ねて『ヘアメイクの勉強をしているんですけど、次のライブでただでいいのでやらせてもらえませんか』と頼み込むんです。むこうもアマチュアだから『ただでやってくれるならぜひ』という感じで、そこから口コミで『あの人、ヘアメイクやってくれるよ』となり、昼間にバイトしながら、夜は週3くらいでライブハウスやクラブでひたすらヘアメイクばかりしていました。すごくおもしろかったですよ。でも内心、このまま無給だったらどうしようとも思っていました(笑)」

双木昭夫さん

――そこからどうやってのし上がってきたんですか?

「そういうふうに日々を過ごしていく中で、突然、私の知り合いの知り合いの知り合いくらいから、椎名林檎さんという人がデビューするのでヘアメイクをやってほしいという依頼がきたんです」

双木 昭夫 interview#2:とにかく行動する! バカだと思われたっていいじゃないですか!! >>

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