働きながら自分を磨く3つのアクションとは? 松本流人生の心得 #2

10代から人気少女モデルとして活躍し、20代で売れっ子スタイリストに。40代で人気女優を抱える芸能事務所社長になり、50代で全財産を失い……そして現在68歳! 人気シニアモデルとして返り咲いた、松本洋子さん。まさに、“転職だらけの人生”だったとか。

モアリジョブ読者にとっては、お母さんより上の世代かもしれません。でも、その時代から“バリキャリ”として、浮き沈みの激しい芸能界で生きてきた彼女。

厳しい世界に身を置いてきたからこそ、社会人として必要な人を見極める力、根性、立ち居振る舞いが身についたと言います。元祖・働き女子の代表として、仕事、生き方、そして親とのつき合い方まで教えていただきました。


ひとつの職場で定年まで勤め上げるという働き方は、もはや崩れつつある現代。職歴が長くなればなるほど、誰もが1度や2度は転職を経験するものです。

だからこそ「転職はステップアップのためにして」と松本さんは言います。そのためにも、今の職場で精一杯働き、実力をつけておかなければなりません。

では実際どうしたら、働きながら転職につながるような力がつくのか? 具体的に教えていただきました!

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1.ムダな誘いは断る勇気を持ちなさい!

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「仕事ができない、力がなかなかつかない人って、まじめで優しい、いい子が多いんです。でもこういう子は、自分軸がないんですね。だから周りに振り回されてしまう。働くということは、ある意味、孤独な作業。だからこそ、自分軸がないとブレてきてしまうんです。とくにサロンワークの技術の部分など、まさに自分との戦いだと思います。だからこそ、人より頭1つ秀でるということは、ある意味孤独に強く、自分軸が強くないと生き残れないんですね。

あなたの周りにもいるでしょう? 職場仲間や上司の頼まれごとや誘いが断れない子。あれはダメ。なぜダメかというと、仕事をするうえで“断る勇気”くらい持てないと自分軸ってどんどん失われてしまうし、ひいては自分を疲弊させる結果になるから。たとえば上司に誘われた飲み会。

勇気を出して『今日は疲れているので、家に帰って寝ます。ごめんなさい』と断れば、家でゆっくり休むことができ、翌日の仕事にもしっかりと臨めますが、疲れているのに飲んでしまったら、翌日、頭が回らない→ミスを犯す → 怒られる → 上司の飲みに付き合ったせいで寝不足なのに、怒られるなんて不愉快 → 「辞めちゃおっかな」となるわけです。今までこういう子たちをたくさん見てきました。

でも本気で仕事に取り組み、みんなより一歩秀でている人を見てください。彼らは、しょっちゅう飲みになど行っていないはずです。行くとしても3回に1回。周囲との摩擦が起きない程度に参加するけれど、それ以上は立ち入らない。ではそんな彼らは、誘いを断って何をしているか。体を休めていたり、自分の“小引き出し”を作っているんです」

2.仕事辞めたい!と思ったら、寝ることよ!

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「働くうえで、“体を休める”って本当に大切なこと。いい仕事は、健康な心身あってこそできるもの。だって疲れがたまってくると、思考がどんどんマイナスに向かっていくと思いませんか? で、辞めたくなってしまう……。私も30~40代の頃、そうでした。でも寝る間もなく働いていたので、いざ休みができると、どうやって休んだらいいのかわからないんですね。だからそういうときは、とにかく布団に入ってしまうこと。最初は頭が冴えてしまって眠れないかもしれませんが、大丈夫! 体の芯は疲れているから、必ず“寝落ち”します(笑)。

不思議なことに、人って充分な睡眠をとると、体だけでなく、気持ちもリセットするんです。寝る前は『仕事なんか辞めてやる!』と思っていても、しっかり寝た後は『やっぱり、もうちょっと頑張って働いてみよう』と思い直していることがほとんど。だからこそムダな飲み会など行かないで、寝てください、休んでください!」

でも、誘いを断ることで上司に生意気だと思われたりしないかしら? そうした不安を持つ人もいるはず。松本さんは言います。

「“生意気だ!”って思われてもいいのよ。働くうえでいちばん大切なのは、自分の体を守ること。でも、そうも言ってはいられないですよね(笑)。次の日、『何で飲み会に来なかったんだ!』って直接言われるかもしれないし、言わずとも職場の空気が気まずい雰囲気のこともあると思います。そういうときは先手を打って。出勤してすぐに、『昨日はせっかく声かけていただいたのに、お断りして申し訳ありませんでした。おかげでゆっくり休めたので、今日、元気に出勤できました!ありがとうございます! 次回、元気なときに、また声かけてください』と明るく謝罪と御礼をしてしまうの。

これだけで、上司や仲間があなたに持つ印象は悪くならないはずです。こうしたことも“処世術”として身につけておかないとね」

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3.心の小引き出しをたくさん作って!

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「10代、20代、いえ50代だって、まだまだ若いわ! とにかく若いうちにいろんなものを貪欲に吸収して小引き出しを作りなさい。小引き出し作りは、スタートが早ければ早いほどいいの。何しろ、若いほど頭と心がやわらかいから、何に触れてもスポンジが水を吸い取るように吸収していくから。これが68歳になると吸収しなくなっちゃうのよ(笑)!

私、今だに映画はこまめにWOWWOWでチェックしているし、しょっちゅう図書館に行っては話題の本を読んで、自分の小引き出しを作っていますよ」と松本さん。

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ところで“小引き出し”とは?
「私の言う“小引き出し”とは、心の財産のこと。今はわからないかもしれませんが、いつか必ず、小引き出しの中に入れておいた記憶や経験、体験は、仕事に役立つ日が来るんです。インスピレーションや伝手となってね。事実、私は遊び仲間から『この仕事、手伝ってほしいんだ』という話が何度も来たことがあったし、今でも、昔、見た映画や本の記憶が役立っています。

先日もある撮影で、『60年代~70年代の「ヴォーグ」誌っぽくお願いします』と言われたとき、頭と心の小引き出しから、その時代のヴォーグの誌面がぱぁっと蘇ってきて、クライアントのイメージどおりにポーズを作ることができたのも、自分の小引き出しがちゃんとあったからです。

芸能の仕事もそうですが、サロンワークも感性とセンス、そして人脈が育むの仕事だと思うんです。だからこそ、たくさんの小引き出しを、頭と心の中に作ってください」

取材・文/児玉響子

profile

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松本洋子さん

1948年東京生まれ。15歳で少女モデルとしてデビュー。1970年写真家・西宮正明氏にスタイリストとして師事。1975年に独立し、フリーのスタイリストになる。「明治製菓」「サントリー」「ライオン」などのCMを中心に活躍。その後、布施明氏、小柳ルミ子氏、ディオンヌ・ワーウィック氏などのステージ衣装を担当。1990年芸能プロダクション「オフィス松本」を設立。2002年映画製作会社に改めたが、2005年映画製作を断念。55歳で無一文に! しかし一念発起して、60歳からシニアモデルとして再デビューを果たす。
写真/石田健一(「人生、いつだってスタートライン 美しく暮らすおしゃれのヒント」より)

Information

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松本さんの著書「人生、いつだってスタートライン 美しく暮らすおしゃれのヒント」¥1,296(朝日新聞出版)

モデル、スタイリスト、芸能事務所社長……普通の人の3倍速で生きてきた松本洋子さんのライフスタイルエッセイ。“シニア女子”のファッション、メイク、ダイエットはもちろん、“お一人様暮らし”の食事や経済事情についても赤裸々に語った1冊。

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