美容業界専門コンサルタントに聞く! お店のお悩み『Q&A』
これまで2企画にわたり、インタビューに答えていただいたサロン専門コンサルティング会社“フューチャーブレーン”の佐藤社長。ここでは代表的なサロンのお悩みにQ&A方式でお答えいただきました。どれも現代のサロン経営に役立つ金言ばかり。これからの時代、運営に困ったら実績あるプロの目線に頼るという選択肢も多いにアリではないでしょうか。
他社のHPをみるのは今すぐやめよう
――これからサロンを開業するにあたり、最低限知っておくべきことってありますか。
「弊社のサロンプロデュースは、はじめに【美化運動】【あいさつ】【マナー】といったところから入っていくんですが、なかでも整理整頓はとくに大事。汚いサロンはダメなところが多い、というのは本当です。掃除ってなんのためにするのかというと、その場所を自分のグランドとして認識できるようにするため。物の位置も把握できるし、愛着も湧くでしょう。スポーツでもなんでもアウェイだと戦いにくいですが自分のホームグラウンドなら戦えます。これは、いかに自分達の能力を発揮できる環境を作れるかにかかっているということです。したがって、サロンをホームグラウンド化するために、掃除ってするものなんです。」
――どうしたらお店の認知度をあげ、新規顧客を獲得することができるのですか?
「集客と認知度って別なんですね。はじめはある程度お金をかけて宣伝し、お店を知ってもらうことを優先したいですね。ただ、起業した頃って一番お金がない時期なんです。予算がかけられないという方にはSNSツールを使って自分のメッセージをもっと謳ってください、とお伝えしています。このとき決して“価格訴求”に走らず、“この人に会いたい”と思ってもらえるような“メッセージ性”を打ち出すことがポイントです。」
同業ばかりでつるまず、オリジナリティーを探って
――最近お店の経営が上手く行きません。売り上げアップするにはどうしたらいいですか。
「比較的うまくいかない人って共通点があるんですよ。それは同業同士でつるんでいる人なんです。華やかと言われる美容業界は、月単位でパーティーなどのイベントや会合が行われていて、オーナーさんたちは大抵そういった場所で情報交換をしているんですね。ところが、これはやりすぎると逆効果。皆さん、情報をもらえばもらうほど苦しんでいるんじゃないでしょうか。全員が同じ場所で同じ情報を共有していけば、確実に同質化する。差別化を計るなら、同業の方たちの話を聞きすぎないほうがいいんじゃないかと思うんです。うまくいっているサロンほど横の繋がりは少ないと思います。そういう背景から、私の役目として他社とは差別化された自分のサロンならではの“独自化”のお手伝いをさせていただいております。」
「弊社のコンサルでは、オーナーさんたちに“他社のHPを見ないでください“と指導しているんですが、他社を見れば見るほど、同じようなキャッチコピー、同じような機械の導入、同じような価格設定になりがち。例えば、ひとたび水素マシンが流行れば、みんなそれを取り入れてしまう。やがて業界が飽和し、飽きられて、価値が劣化し、みんながダメになっていく、これの繰り返しです。他会社が何をしているかを気にするよりは、もっと自分のメッセージを考え、お客さまのことを考えましょうよ、と。そう皆さんにお伝えしています。最近はそういった事情で、独自化を目指すサロンオーナーさんからの個別コンサルティングの要望が急速に高まってきています。」
――メーカーの選び方・付き合い方について教えてください。
「近い将来、美容業界のインストラクターというお仕事は消滅するかもしれませんね! 最近はメーカーの営業さんも経費削減のため、あまり積極的にサロンに顔をださなくなっているようです。弊社も直営サロンを持っていますのでいろいろなメーカーさんとお付き合いがあるんですが、昨今はなかなか期待以上のご提案をいただくことがなくて……。それで一昨年に、弊社のグループ会社としてメーカー・ディーラーの会社を作りました。弊社にはもともと直営サロンで試行錯誤してきた“物販のノウハウ”があるため、これを活用し、商品と売り方をセットにして物販の成功メソッドを提供するということを思いついたんです。業界全体で経費削減が叫ばれるなか、いかにしてお客さまに商品を売っていくか。そのためには、インストラクターが実施する単なる商品説明では効率的に売れないので、商品のみならず、商品を売るためのカウンセリングや物販の成功メソッド、つまり“売れる売り方”が必要だと考えたんです。」
「アフターフォローにも力を注いでおり、商品の使い方や販売講習も積極的に行っています。さきほども申し上げたように、他メーカーさんたちは今、あまり店舗に出向かなくなってきているんですよね。そこを逆手にとって、僕たちはサザエさんにでてくる“三河屋さん”になろうと。『まいど〜』と言ってできるだけサロンを訪問し、期待以上のものを置いていけるような、そんな立ち位置を目指して動いています。サロンオーナーの皆さんも、新しくメーカーとお付き合いする際には、商品の質はもちろん、こういったフォローやアフターケアにも目をむけてみるといいかもしれません。」
Profile
佐藤 剛さん
1969年東京生まれ、中央大学卒業。株式会社フューチャーブレーン代表取締役社長/CEO。
一部上場大手アパレルメーカーにて誰もが知る海外有名ブランドのプロデューサーを経て、現在従業員数100名を有する自社グループの運営の他、サロン専門経営コンサルタント、毛髪診断士認定講師等の肩書きを有し、サロン経営の専門家としてサロン向け経営コンサルティングや人材育成、集客指導、各種セミナー等、精力的に活動。またヘッドスパ専門の先駆者ブランド「ワヤンプリ」ブライダルエステ専門の先駆者ブランド「ワヤンサラ」をはじめ全国に自社直営サロンを展開。実店舗を経営するなかで編み出した実践的コンサルを通じて、全国100社以上を成功に導き、サロンオーナーに“独自の繁盛サロンメソッド”を提供し続ける。
フューチャーブレーンHP
http://www.future-brain.net/company/