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カキモトアームズ・長戸寛典さん “メンズグルーミング”市場の魅力 #2

男性客が美容室へ行くのが一般的になってきた中“メンズグルーミング”という新しい市場の発展をいち早く見据え、美容業でありながら男性専科のサロン業態を成功へと導いたkakimoto arms(カキモトアームズ)。

そのトップを務める長戸寛典(ながと・ひろのり)さんは約10年前、美容師でありながら女性のカットを一切やめて、男性客だけに特化するという決断をします。そこには並々ならぬ覚悟と、10年後への希望があふれていました。反響の高かった前回の#1に続き、この#2ではメンズグルーミング市場の魅力について、長戸さんに分析していただきました。

“青山”にメンズグルーミング専門店を出す意義

――青山にメンズグルーミングの単体サロンを出した理由は何ですか?
「銀座2丁目に出店してから5年くらい経ったときに、次の店舗はメンズグルーミングだけで、という考えがありました。当時は大人の男=銀座という印象が強く、そこへ出店するのは当たり前というか、ファーストインパクトとしては成功だったと思います。でもよりファッションにも流行にも敏感な青山・表参道に出してこそ、業界にも“メンズグルーミングの真の価値”が認められるのではないかと思いました。

法律の緩和もあり、(編集部注:厚労省による「美容師が男性のカットのみを行ってよい」という2015年の通知)3年前に南青山3丁目に出店することができました。青山店は、セット面が5席の17坪という、ごく小さなスペースです。今まで100坪単位で出店してきたうちのサロンにはない、まったく新しいカタチですが、この規模で成功すれば、後々ほかの地域に出店するときも、20坪程度あればやっていけるという、モデルケースにしたかったこともあります。

現に、六本木ヒルズに出店の話があったときには、小さいスペースでもこれだけの売り上げが見込める、と青山店の成功例が他社に競り勝つうえでかなり重要な説得材料になったと思いますね」(編集部注:六本木ヒルズ店は2016年にオープン)

長戸寛典さん
美容師でありながら、メンズグルーミングサロンの開業とともに女性を担当することを一切やめ、男性専科に移行。国際文化理容美容専門学校で3年間の通信教育により理容師免許を取得した長戸さん。当時は並々ならぬ決意があったと笑顔で語る。

ポイントは“メンズのスキンケア”

――長戸さんは去年、理容師免許を取得されましたが、シェービングもするんですか?
「いえいえ、それはさすがにしません。僕自身、美容と理容両方のライセンスは持っていますが、うちの店はあくまでもメンズグルーミングサロンなので、シェービングは一切行いません。その代わり、3年前に青山店を出してから力を入れたのが、メンズのスキンケアなんですよ。当時、大人の男性のほとんどが頭皮を含む肌全体が荒れていたんですよね。

世の中の男性が美容室でカットをする機会が多くなって、それまで理容室で当たり前にやっていたシェービングを自分でしなければならなくなったわけです。プロのワザから自力になったことで、カミソリ負けや肌荒れ、乾燥などのトラブルを抱える男性が増えていったと仮定できます。

そこでうちではシャンプーと同時に行える、フェイスマスクというメニューを設けました。
女性のようにオプションでつけるという考えは男性にはないので、最初からカットと20分のヘッドスパとフェイスマスクをセットにして60分1万1500円(税抜き)のお薦めメニューという形にしました。フェイスマスクをしながら、簡単にスキンケア法もお教えするのですが、それまで適当にやっていたところに正しい知識を入れることで、肌に対する興味も高まり、その結果、スキンケアの店販売り上げが飛躍的に上がりました」

六本木への出店が新たな可能性への幕開けに

――2016年にオープンした六本木ヒルズ店は、一見サロンっぽくありませんね。
「ヒルズでは、メンズグルーミングストアと称して前面に店販ブースを設け、あえてサロンは奥に配置したのですが、やはり立ち寄りやすいのか、スキンケア商品を買い求める方が右肩上がりに増えています。

ヒルズにはIT系の職業とおぼしきお客様が多く、とにかく時間にシビア。平日の日中にパッと切って、また上へ戻って仕事をする、という方が大半なので、1時間の中で何ができるの?ということを気にされます。人目につかない奥まった場所にサロンスペースを置いたのもある意味正解でしたし、メニューを時間と内容、価格がより明確にわかりやすく伝わるように見直したのも男性客には効果てきめんでした。

男性客は一度納得すると、月2~3回、定期的に通ってくださいます。まるで止まり木のように、行きつけにしてくださる方が本当に多いです。きっと今まで、美容室では女性に囲まれて居心地がイマイチだった方もいたかもしれません。ここは男性客だけの居場所なので、そんな特別感も、メンズグルーミングサロンが支持される理由だと思っています」

メンズグルーミングサロン&ストア
六本木ヒルズ ウエストウォーク4階に位置する、メンズグルーミングサロン&ストア。手前にスキンケア商品がズラリ。奥にひっそりとサロンスペースがあるのも、隠れ家的感覚で男性客にうけている。

取材・文/山岸敦子
撮影/中川良輔

Salon Data

店内"
店内

MEN’S GROOMING SALON BY KAKIMOTO ARMS
(メンズグルーミングサロン バイ カキモトアームズ)

カキモトアームズのメンズサロンとして、2007年銀座2丁目店内にオープン。以後、青山、六本木ヒルズと出店し、現在3店舗を経営。
長戸さんはメンズグルーミングサロンの事業部長として店舗運営と後進の育成に勤しんでいる。
www.mensgrooming.tokyo

カキモトアームズ・長戸寛典さん 美容師として“メンズグルーミング” #1>>

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