人気のヘア&メイク・小田切ヒロさんストーリー #3 現在編
現在、女性誌・イベントで大人気のヘア&メイクアップアーティスト、小田切ヒロさん。あの藤原美智子さん率いる「ラ・ドンナ」に所属し、その美容知識は美容関係者の間でも「エベレスト級」と言われています。また、一方で編集者やライターの間では「言葉が強い人」と言われるほど、表現力が豊富で“小田切ポエム”がUPされるインスタグラムも注目を集めています。また女性誌各紙で話題となった小顔術が詰まった初著書『小田切流小顔道』(講談社)も発売後すぐに重版という話題作。
そんな小田切さんですが、つい数年前まで自信過剰で実に生意気な小僧だったとか(笑)! 現在のように一人前になるまで、みっともないくらい格好つけたり、生意気だったと小田切さんは振り返ります。今まで語ったことのない“しくじり”と現在までの歩みを語っていただきました!
ストレスは自分自身でデトックス
#2で、アシスタント時代は人とつるむのが好きで、クラブ通いもしていた小田切さんが、今は仕事が終わったら自宅に直帰とお聞きしました。その変わりようはなぜ!?
「“ベストな仕事をしたいから”そのひと言に尽きると思うんです。アシスタント時代のぼくは、仕事のストレスを飲んだり、愚痴をこぼすことで発散していたんですね。でも、ストレスを人やものにぶつけるって、ぶつけられた方はものすごい負担になるんです。それにそんなことしたって、結局何の解決にもならない。ストレスって、自分でコントロールしてデトックスするしかないんです。肌と同じ。滞留したものは自分で流さないと」
それって小田切さん、今、売れっ子になってストレスなんてないから言えるんでしょう?と思う事なかれ!
「今のぼくだって、つらい日もあります(笑)! でも、それを表沙汰にしたり、人に当たったりするのは大人じゃないし、プロじゃない。だからこそ、自分でしっかり自分のケアをしないと。30過ぎてから痛感したけれど、健康な体あってこそ健康な心を保てます。そして#2でも言いましたが、美容の仕事に“心”は不可欠。いえ、どんな仕事でも“健康な心”で臨むことがベストな結果を生み出すと思っています。もちろん寝ずに仕事するときだってあります。でもできる限りの中できちんとした食事と睡眠をとるよう努めていますよ。だから不要の飲み会やパーティに行っているヒマなんてない(笑)!」
また、自分の心や体をベストな状態に保つために、普段から視覚・嗅覚・味覚を満たす努力もしているという小田切さん。
「仕事のストレスだけじゃないでしょう? 東京で生きていると電磁波とコンクリートに囲まれた世界で、本来、動物である人間も心身ともにバランスを崩していると思うんです。だからできるだけ土や緑に触れられるよう、部屋にグリーンを置いたり、休日、公園を裸足で歩いてみたり。家ではオーガニック食材を楽しんだりもしています。ケミカルを否定するわけじゃないけれど(取り入れるバランスだと思っています)、メディカルハーブやフラワーレメディの力にも頼っています」
師匠・藤原美智子さんの背中から学んだこと
自分の立ち位置を理解したアシスタント時代。昔のように『ぼくが!ぼくが!』アピールをやめてみると、やっと周りがしっかり見えてきたという小田切さん。
「ぼく、そうなってみて初めて師匠(藤原美智子さん)のすごさを思い知った気がします。師匠は、過去のことを一切しゃべらない、振り返らない。前しか見えていないんですね。過去を振り返る人って意外と多いんですよ。でも、過去ばかり振り返っても何にもならない。たとえば学生時代の友達と会って昔話をするだけでは、ぼくはダメだと思っています。懐かしむことは構いません。でも“昔の友達と何をするか”に話が発展していかないと。それが今後の人生をアップデートさせるポイントだと思うんです」
そして、自信のある人とない人の差。
「藤原さんは確固たる自信があるから、アシスタントたちに知識を出し惜しみしない。だから当時のぼくに、手つき、力加減、回り方などディティールに至るまで徹底的に教え込んでくれました。だからこそデビューまで時間がかかったけど、直後からきちんと仕事ができただと思います。自分に自信のない人って、怖いから絶対に知識を人に渡さないですよ」
デビューしてわかった、個性の大切さ
迷い挫折しながらも、意識して“自分”を抑えていたアシスタント時代でしたが、いざデビューとなったら事情が少し変わってきたといいます。
「アシスタントとして求められるのは、“先読みのできる黒子”の役割です。だから出しゃばってはいけないし、その必要もありません。そこから“見て学ぶ”ことが仕事だからです。でも、デビューしたとなるとそうはいきません。やはり個性は必要になってくる。たとえば、長年、名脇役として活躍している俳優さんがいるとしましょう。でも、この人を主役にするのはどうにも個性が足りない……脇役としては最高なのに!という人、いますよね。デビューするって、ある意味“主役”になることなんです。だからそれには個性が必要。個性も勘違いしないでほしいのですが、目立つことではありませんよ。『基礎化粧品の知識ならピカイチ』『ヘアケアについてはこの人の右に出るものはいない』という、きちんとお仕事の上に役立つ知識こそが、プロとしてやっていくための個性です。ぼくの場合は、それが“小顔”だったというわけです」
セルフプロデュースに有効なインスタグラム
現在SNSもやっている小田切さんですが、特にインスタグラムは「自分がつきたい仕事に方向性を導ける、有効なツール」といいます。
「ぼく、インスタグラムというのは、その人の仕事やイメージを視覚で見られる場所だと思っているんですね。いくら言葉をつくして説明するより、写真で目から入ってくるからインパクトが強い。だからこそ、自分のブランドイメージを作りあげるためには非常に有効です。それだけに適当な投稿はするべきじゃないと思っています。美容の仕事につきたいのに、お友達と「イエー!」なんてやっている写真や、おいしいごはんをUPしている場合じゃない(笑)!適当な投稿は、適当なイメージしかもたれなくなってしまいます。
お付き合いしているお友達、使っているもの、通う場所……すべてが自分のイメージにつながってくるので、自分がどう思われたいか、将来どんな仕事につきたいかをしっかりと考えて載せるべき。
とはいえメイクのことばかりではワンパターンで飽きてしまうので、ぼくはときに“イメージ写真と言葉”も入れてバランスを取るようにしています。この通称“ポエマー投稿”をすると、ぼくをよく知る人たちからは「どうした?何かあった?」と笑われるんですけどね!
でも載せるものは、必ずポジティブなものに限るようにしています。読んだ人が元気や勇気が出るものにね」
石の上にも3年ですよ!
「長くなっちゃったけど、これだけは伝えたい!」という、小田切さんからモアリジョブ読者に最後のメッセージです。
「与えられた仕事を割と難なくこなしてしまう……ぼくみたいな器用貧乏なタイプって、美容業界、多いと思うんです。ぼくも美容販売部員時代、1年目で実績を上げちゃったのでいいや!と思ったのですが、ちょっと待てよと。確かに実績は上げたけれど、1年じゃキャリアにならないんです。物事を最低限突き詰めるって、やはり3年は必要。“石の上にも3年”とはよく言ったもので、それ以下の携わり方なんて、浅はかでしかないんですね。だからこそ、3年は頑張ってほしいんです。この3年はつらいかもしれないけれど、自分自身を強くする3年です。クリアしたとき、必ず自分の成長を感じられるはずですよ。でも、ブラック企業に3年いて死ぬなんていうのは絶対にダメ! 以上、小田切からのメッセージでした!」
取材・文/児玉響子
画像提供/ラ・ドンナ、講談社
Profile
小田切ヒロさん
ヘア&メイクアップアーティスト。藤原美智子さん率いる「ラ・ドンナ」所属。ナチュラルメイクからハイファッションメイクまで幅広く得意とし、美容知識の豊富さにも定評がある。とくに自身が変化した、別人級に変化する「小顔矯正メソッド」は世の女性たちをとりこにした。初めての著書「小田切流小顔道」(講談社)が好評発売中。
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