トレンドを創る人 Vol.3 MINX 池戸裕二さん・大きくなる組織と僕の役割 #1

ヘアサロン激戦区の東京・表参道界隈。その中でもトップを走り続けるサロンは、この10年を見返してもほんの一握りしか残っていないのが現状です。
そんな中、今や約200人の社員を抱え20年以上に渡り超一流店として君臨するのがMINX(ミンクス)。現在、都内に4店舗。会長の高橋マサトモさんを筆頭に1名の代表取締役、4名の取締役がピラミッド式に組織を運営しています。日本の美容界を牽引するヘアアーティスト集団でありながらも、これまでの有名サロンにはほとんどなかった「ヘアサロンの企業化」を戦略的に構築してきた会社です。
その中でも、モアリジョブが注目したい人物が池戸裕二さん。取締役のひとりで現在は原宿店に所属しながら、積極的に海外を飛び回る美容師です。
聞けば、サロンワーク以外に月に12日程度は、セミナーで日本各地やアジア諸国を飛び回る日々なのだとか。他にも、「東京ブレンド」の活動やヘアショーなど、仕事は多岐に渡る池戸さん。
とはいえ、身は一つ。どのようにこのスケジュールをこなしているのか、またなぜ、このような美容道を歩む道を選択したのかを伺ってみました。

履歴書なしで応募可能!

実際の求人を見てみる

“サロンワークは2週間未満。でも数字は落とさず、こなしています”

――池戸さんは外の活動がとても多い印象の美容師さんですが、1カ月間のスケジュールは、現在どのような感じで成り立っていますか?
「約13日間がサロンワークで、それ以外は国内と海外のセミナーの仕事で約1週間は取られますね。あとは撮影やヘアショーをこなし、この他にも幹部会議が終日入っている日があります」

――目まぐるしいスケジュールですね。サロンワークは2週間ないのですね。
「はい。お客様には“もう少しサロンに出勤してほしい”なんて言われて恐縮しています。お客様は僕の出勤日に合わせて予約をして下さるのでありがたい。一方で申し訳ない気持ちがありますね」

――では、出勤日は大忙しですね。
「1日23~25人ぐらいの予約はとるようにしています」

――ものすごくハード…
「僕は現在、原宿店の取締役ですが、MINXの場合は、店長がいわゆるお母さん的役割を担います。つまり、スタッフ教育など内部管理ですね。その上に4名の代表がいまして、サロンワーク以外の主な仕事は経営管理、ブランディング、外部セミナーなどをこなしています。こちらがお父さん的役割です。さらに上の取締役は、ミンクス全体の組織作りを主軸に、経営管理や外部の仕事もこなす立場となるわけです」

池戸裕二さん

――池戸さんはデザイン作りが純粋に好きな人だと思うのですが、外部活動が忙しいことに歯がゆさなどを感じたことはありますか?
「ないですね。ただ、先ほども話した通り、お客様には申し訳ない気持ちはあります。反面、僕の目標の中に“ミンクスの中でスター選手を育てたい”というのがあるんです。
僕が入社したころはMINXが下北沢に2店舗、広尾に1店舗あり、これから青山店を出店するという頃でした。500人ぐらいの入社希望者の中で36人が合格したのですが、そのうちのひとりが僕です。その後、原宿店がオープンしてこちらに勤務。さらにその後、明治通り沿いにセントラル店が出店され、そこに移動しました」

――ミンクスの成長期ですね。
「そうですね。ところが、セントラル店は最初、苦戦しまして… 原宿店は駅前なのに対し、セントラル店は原宿駅から徒歩で10分以上かかります。地下鉄の明治神宮前駅からは6~7分。そうすると、フリーのお客様は原宿店に行きたがるんです。当時は僕も26歳。自分自身も売り上げが今ほどないですし、若手にはフリーが入らない。もう大変でした。
28歳で店長を任され、そこで、一度原点に戻る作業を地道に行うことにしたんです。今いるお客様からご紹介をいただく、デザインの向上を徹底的に行い口コミの輪を広げる、作品撮りを積極的に行うなど、やっていたことはアナログ的なことばかりです。そうすると少しずつではあるのですが、店の売り上げが上がるようになり、僕が30歳になる頃には、かなりいいところまで成長しました」
店長を経験し、内部活動の軸となりセントラル店を盛り上げた池戸さん。その経験もあってか、人材プロデュースに大きなやりがいを感じるようになっていきました。そして、ある一定の数字をたたくようになったセントラル店を離れ、再度、原宿店を任されることに。

ヘアショー
↑ナプラ主宰のヘアショー。満員の武道館ライブ。
ヘアショー
↑同じく武道館にて。東京ブレンドのメンバーと共に。

“苦しい経験をしたから、人材育成にもやりがいを感じます”

「その頃の原宿店は、やや渋谷系のようなデザインが求められるようになっていまして…
そこで僕は内部整備を始めることにしました。ある一定の方に求められるデザインではなく、ベースカットをメインに、トレンドスタイルを徹底的に叩き込むレッスンカリキュラムに変更しました。定期的に撮影会もして、同じスタンスでデザインを作る“チーム力”も高めたいと考えていました。特に、このスタッフは必ずや戦力になると感じた子、全体の2割ぐらいですが、この子たちに関しては、ヘアショーやセミナーにどんどん同行させたり、ミンクス以外の人気サロンの方たちとも交流をさせました」

――あらゆる方向から刺激を与えるというわけですね。実際、池戸さんご自身も他店の人気サロンと手を組み、新しいことに挑戦をする“東京ブレンド”のメンバーですよね。
「『東京ブレンド』の活動の中でも、ヘアショーや撮影などの依頼はたくさんいただいています。同じ美容界で頑張る仲間との集いや活動は、ある部分において自分たちの糧にもなる。だから、会社も応援してくれます。若いスタッフにも様々な角度から学んでほしいと思うわけです」

――なるほど。
「そして今では、原宿店の全盛期を超える売り上げが出せるようになり、スタッフも60人態勢で頑張っているところです」

サロンが巨大化する過程では、開拓や立て直しを担う人材が必要不可欠。池戸さんはまさにこの分野においても才能を開花させていく。でも、そこまでのプロデュース力、集客力もある美容師が、なぜ独立の道を選択しなかったのか。第二回目のインタビューでは
“組織に残るメリット、組織だからできる働き方”についてお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/石田健一

Salon Data

店内

MINX(ミンクス)

青山、原宿、銀座に2店舗の計4店舗を運営するMINX(ミンクス)。
独自のセミナープランを行うMINX ACADEMYを持つ他、ヘアショー、撮影、書籍の出版など活躍。
また、ヘアだけでなく、ネイル、アイラッシュ、ウエディングなどにも幅広く対応する。現在スタッフは約200名。20年以上業界を牽引する、日本を代表するブランドサロンのひとつ。

www.minx-net.co.jp

トレンドを創る人Vol.3 MINX 池戸裕二さん・組織だからこその働き方 #2>>

履歴書なしで応募可能!

実際の求人を見てみる

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄