トレンドを創る人 Vol.3 MINX 池戸裕二さん・組織だからこその働き方 #2

MINX(ミンクス)で取締役を務める池戸裕二さんは、サロンワーク以外の店外活動も幅広く行う人気美容師。最近では年に4~5回ヘアショーをこなす他、インドネシアや中国などでセミナー講師を行うなど、グローバルに活躍されています。
技術者として、講師として、アーティストとして… ひとりで何役もこなす池戸さん。組織に残るメリット、組織だからできる働き方について、詳しく伺ってみました。

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美容師としての目標は組織の中だからこそ実現できる

「美容師として、一番大切なことはお客様の施術です。これを軸に、ヘアショーやセミナー、『東京ブレンド』の活動や経営の一部を任されながら日々過ごしているわけですが、これは全てMINXの組織体制が整っているから可能なんです」

――具体的には?
「僕のこれらの活動には多くのアシスタントやプレス、経理、店を任せられる店長や技術者が関わってくれています。たまに“独立しないんですか?”なんて質問を受けますが、今と同じことを同じペースで行おうと思ったら、小さなサロンではなかなか難しい。仮に独立しても、その組織は最初から大きいわけではありませんし。
僕はいろいろやりたいタイプの人間。人を育てることもその一部です。反面、今より自分自身を伸ばしたいという気持ちもありますから、MINXという組織の中にいられることは可能性が増えることだと捉えています」

――美容師という職業の中で、池戸さんのようなに考えられる人は多くないかもしれませんよね?
「前向きであれば、独立も素敵なことだと思います。僕のまわりにも独立して活躍する方はたくさんいますし。でも、将来性が見えないサロンにいることで焦りが出て退職する… という流れだとしたら、それは辛いですよね。そうゆう点からもMINXのスタッフは辞める人が少ないサロンですね。最近は、美容業の中でも働き方の選択肢が増えている時代ですが、うちの若いスタッフは辞めないですね」

――昔は“黙って修行しろ”というような厳しい世界でしたよね?
「今は個々のサロンにどんなメリットがあるのか、将来性は?自分たちの保障は?など僕がアシスタントの頃より、技術以外で見られている部分が多い。会社の基盤がしっかりしていないと人はついてこない時代なんですね。MINXはその部分を大事にしているサロンだと思いますよ」

池戸裕二さん

はさみを持たない人たちの役割が大事な時代に

「美容室の企業化を図ろうとすると、店外活動も積極的に行わないといけません。そうすると、プレスや経理の方たちの存在がとても大事になるんです。自分たちをしっかりプロデュースしてくれる優秀なスタッフがいることで、より店外活動も盛んになりますし、またわずか2週間程度しか出勤できないサロンワークにおいても、お客様と僕を上手くつなげておいてくれるわけです。本当にありがたい存在です」

――これを独立してひとりでこなすのは確かに大変ですよね?
「はい。だから僕の働き方においては“組織の中で可能になる”というわけです。取締役となった現在は、先ほども話した通りMINXの中でスター選手を育てたいと思っています。トレンドスタイルの作り方、見せ方、自己ブランデング力を学ばせつつ、ヘアショーや撮影、セミナーに同行させて広い意味で活躍できる美容師を育てるというわけです」

池戸さんの作品
池戸さんの作品
池戸さんの作品
池戸さんの作品
↑池戸さんの作品。美しさの中にも親近感のある印象。いわゆるモテ髪路線をどこかでキープしている点が、多くの女性たちが憧れる理由のひとつ。この感覚を若い世代に伝えることも池戸さんの大事な仕事のひとつに。

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長く安心して働けるサロン。将来が見える会社を運営

後輩育成にも力を注ぐ池戸さん。そのためには、技術を伝えるだけでなく、将来が見える会社運営も大事だと語ります。“夢は独立すること”が当たり前だった時代を過ぎ、会社組織の中で長く働きたい美容師が増えてきているのも現実です。そこで大事なことが“将来の可視化”だと池戸さんは言います。
「結婚し、家庭を持っても働ける環境作りはとても重要です。独立しないと生活ができないでは、意味がない。また、会社の未来図をしっかり公開することも安心につながりますね。これが美容室の企業化です。この部分を強化することも僕らが目指すところのひとつです」

時代の流れに上手く寄り添いながら、長きにわたりトップサロンに君臨し続けるMINX。経営においても学ぶべき点が多くありました。
独立か?組織に残るか?多くの美容師は30代の頃、この選択を突き付けられます。反面、独立することが昔よりリスクの多い時代。企業に残りイキイキと働くためには、そこをフォローアップしてくれる企業側の体制を見極めることも大切といえそうです。

取材・文/小澤佐知子
撮影/石田健一

Salon Data

店内

MINX(ミンクス)

青山、原宿、銀座に2店舗の計4店舗を運営するMINX(ミンクス)。
独自のセミナープランを行うMINX ACADEMYを持つ他、ヘアショー、撮影、書籍の出版など活躍。
また、ヘアだけでなく、ネイル、アイラッシュ、ウエディングなどにも幅広く対応する。現在スタッフは約200名。20年以上業界を牽引する、日本を代表するブランドサロンのひとつ。

www.minx-net.co.jp

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