人気美容師からハサミ屋へ! 大胆に転身した男・多田直樹さん #1

多田直樹さんといえばさまざまな雑誌に登場していた、原宿の元人気美容師。そんな彼が突然ヘアサロンを辞めて、ロイヤルマスターシザーズというハサミ会社に就職しました。
多田さんにいったい何が起きたのでしょうか? 美容師がイヤになってしまったのでしょうか? そこには自身の人生設計だけでなく、美容師が抱える問題もあったようです。
転職した理由をはじめてメディアに語ってくれました。

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少子化が進む中でこのままでいいのかという不安があった

――原宿で人気美容師として活躍していた多田さんですが、なぜハサミ屋さんに転職したのですか?
「美容師という仕事は好きですけど、将来的にこれでは食っていけないぞという気持ちが膨らんだんです。2013年のことでした。何年後か先を見たら、少子化でお客さまが減っていくのは分かっていたし、そんな中で僕がいたお店はというと、一番多い層が学生さんだったんです。これだけ世の中に美容室が増えていっているわけですから、今後、集客するのは大変だろうと思いました。だったら、どうすべきか考えたときに、ハサミ屋に転職しようというのが頭に浮かんだんです。今度は美容師を支える仕事をやってみたいと思いました」

多田直樹さん

――それまで多田さんについていたお客さまもいたかと思うのですが。
「今までの大切なお客さまについては、面貸し美容師という形でカットは続けています。同じ都内ですが、今まで勤めていたところとは別のヘアサロンで、土日のどちらかだけやっています」

――予約はスマホで?
「はい。LINEを使ってやっています」

――美容室の未来を考えたときの転職となると、独立という選択肢はなかったわけですね。
「確かに独立も考えました。地元の浦和でやろうかなとか。だけど、一からお客さまをつけるのは難しいだろうと思ったんです。それに結婚を考えていたので、家を買いたかったんです。そうすると、独立したのではいろいろとお金が必要となるので遠のきますよね。そもそも僕は従業員を雇うほどの責任感もありませんし(笑)」

美容師をやるときに使うハサミ一式
美容師をやるときに使うハサミ一式。なかなか珍しいゴールドのシザーを使用。ハンドルのデザインがシルバーアクセのよう。

――土日のどちらかで美容師をやっているということは、美容師がイヤになったわけではないと。
「そうです。むしろ今のほうが好きかもしれませんね。というのも、本業として美容師を毎日やっていたときは精神的に参っていて、美容が好きなはずなのに好きになれない状態でした。会社から単価を上げるように言われたり、帰りが深夜になったり、心身ともに疲れ果てていたんです。好きだった雑誌の撮影からも気持ちが遠ざかっていきました。売り上げや勤務時間に捕らわれなくなったら、すごくリラックスして美容師ができているので楽しいですね」

『土日に仕事をしろ』は、美容師業界の悪しき慣習

――雑誌の撮影は営業外のことだと思うのですが、そういうところまで気持ちが影響していったということですか?
「これについては、美容師のセンスに関わることだと思います。僕が提案したいスタイルと雑誌側が提案してほしいスタイルがまったく違っていたんです。刈り上げたら『なんで刈り上げたんだ!』と言われるし、派手なカラーを入れたら『提案してほしいのはナチュラルなんだ!』と怒られるし。今、どうですか? 刈り上げスタイルがバンバンきていて、派手なカラーも流行っているじゃないですか。

雑誌の撮影って、お店が休みのときや営業前に行われるんですが、わざわざ時間作って文句を言われていたらたまったもんじゃないですよね。最後のほうは撮影を全部断っていました。もちろんステキな編集さんもたくさんいて、僕に声をかけてくれたことに対してはものすごく感謝しています」

多田直樹さん

――様々な面で限界だったんですね。
「そうですね。これは美容業界の悪しき慣習だと思うんですが、『土日は仕事をしろ』というところもあるんです。それによって、子どもといっしょに遊べないという悩みを抱えた美容師さんも多くて、もし今後、僕に子どもができて土日に子どもと遊べないのだとしたら、それってどうなんだろうと考えるようにもなりましたね。おかしいだろうと。なので、辞める原因は1つではなく、いろんなものが混ざり合って、そういう結果に至ったということです」

――美容室を辞めるときって、原宿の人気美容師だった多田さんなら、相当な引き留めにあったと思うんですけど。
「ありました。違うお店からもお誘いを受けましたけど、すべてお断りしました」

――インタビュー#2へ続く。

取材・原稿/滝沢ヤス英
撮影/安部道岳

Profile

多田直樹さん

多田直樹さん

ロイヤルマスターシザーズ株式会社
シザーリスト/美容師

山野美容専門学校卒業後、青山、原宿で14年間、美容師として活躍。女性誌、男性誌、業界誌などさまざまなメディアにも登場し、ヘアショーも数多く経験。2013年末に原宿の人気美容師という肩書きを終え、2014年初めから今のハサミ会社へと転職した。ハサミ販売の営業をすると同時に、うまくハサミを扱えない美容師のためにハサミのおもしろさを伝える活動もしている。

多田直樹さんのInstagram
naockey10

ロイヤルマスターシザーズHP
http://www.royal-master.co.jp/

ロイヤルマスターシザーズFacebook
https://www.facebook.com/maximas.master/

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