美容師の環境改善を! ハサミ屋へと転身した男・多田直樹さん #2

多田直樹さんといえばさまざまな雑誌に登場していた、原宿の元人気美容師。そんな彼が突然ヘアサロンを辞めて、ロイヤルマスターシザーズというハサミ会社に就職しました。
転職することで生活スタイルは一変したと言います。だけど、やっぱり心の奥底にあるのは“美容愛”。今はハサミというギアを通して、美容師への叱咤激励と労働環境の改善を訴えていきたいと語ってくれました。

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SNS上でのやり取りで、ハサミの注文から契約まで行う

――美容師から転職するにあたって、メーカーやディーラーなどの職業もあったと思うのですが、なぜハサミ屋さんだったのでしょう?
「そもそもなぜ美容師をはじめたかというところにまで戻るんですけど、僕、ハサミが好きなんですよ。シザーケースに入っているハサミが武器みたいで、すごくカッコ良く見えたんですね。サムライが刀を持っているみたいな。今でもハンマーが入ったポーチを腰につけているとび職人を見ると、カッコいいなあと思います(笑)。僕は美容以外にファッションも好きだったので、自分の中では転職の選択肢はハサミ屋だったんです」

――数あるハサミ屋さんの中で、ロイヤルマスターシザーズに就職を決めた理由はなんだったんですか?
「もともとこの会社のハサミを使っていたんです。最初に勤めた美容室がここのハサミを使っていて、よく分からないまま『お前も使え』と上司に言われて、『はい』って感じで。そしたら、すごくなめらかで使いやすかったので、今でも使用しています。それで美容師を辞めようと思ったときに、ロイヤルマスターシザーズで働くことはできないかと相談していました。年末に美容室を辞めて、年明けからはもうこの会社で働いていましたね」

多田直樹さん

――ロイヤルマスターシザーズでは今、どのような仕事をしているんですか?
「シザーリストという肩書きで、一般的にいうところの営業の仕事をしています。勤めた当初は上司について外回りをしていましたけど、今はSNSでのやり取りが多くなっています。インスタやブログに商品をあげたら問い合わせがきて、そこからパソコンやLINEでより詳しい注文を聞き、契約が決まるというケースがかなり増えています。試し切りをしたいということになれば、近場だったら出向きます。だけど、泊まりがけでないと行けないようなところは、商品を送って試し切りをしてもらい、返却してもらうという形にしています」

――営業というと外に出ずっぱりというイメージですが、内勤が多いんですか?
「そうですね。午前中は必ずいます。SNSのおかげで、もう一人の自分がいるかのごとくいろいろと動いてくれるので、効率はすごくいいと思いますよ」

――ロイヤルマスターシザーズのハサミの特徴を教えてください。
「刃の形など、細かいところにとことんこだわったハサミで、引っ掛からないでスッスッスと髪を切ることができます。うれしいことに、AKROSの松本拓馬さんが好んで使ってくれているんですよ。ハサミが良ければ仕事の質も向上していくのですごく重要なんです。それなのに美容師って意外とハサミに疎いので、その良し悪しを伝えるのも、僕の仕事の一つだと思っています。単にハサミを売るだけじゃなくて、美容師といっしょに楽しく向上していこうという気持ちでハサミ屋をやっています」

シザー
シザー
指穴にターコイズをあしらったシザー。指を入れるとまるでリングをつけているよう!

一度きりの人生を悔いなく過ごしたいだけ

――転職して良かったと思いますか?
「お得な人生を見つけたなと思います。結婚して家を買うこともできましたし、帰宅時間もだいぶ早くなりましたよ。7時には家にいるので、最近ではジョギングしています(笑)。
11人のサッカーチームを作って休みの日にプレイしていますし、大好きなディズニーリゾートにも毎週行っています。こよなく愛する浦和レッズのホームゲームも全試合観戦していますし、土日の美容師業も楽しいです。おかげさまでハサミの売り上げも好調です。大金持ちになろうとか、ビッグになろうなんて思っていません。ただ、人生を悔いなく充実したものにしたいだけなんです」

――将来の目標や夢があれば教えてください。
「美容師のことになるんですが、『さいたまカムラッド』という埼玉の美容師有志たちが集まって結成した会がありまして、そこでアシスタントさん向けに勉強会をやっているんです。アシスタントさんにやりがいを見つけてもらおうということで、僕が経験したこと全部しゃべっています。カット技術も教えています。今、辞めるアシスタントさんがとて多いんですよ。お店を変えるのではなく、美容業から足を洗ってしまうという。一度抱いた夢ならば、上の人間として叶えてやりたいじゃないですか。僕は美容師からハサミ屋へと立場は変わりましたが、この業界がもっと良くなってほしいという気持ちは、今でも変わらず持ち続けています」

多田直樹さん
『さいたまカムラッド』という集まりでは講師として技術を教えつつ、美容業界の悪しき習慣をみんなで変えようと毎回熱い議論を交わしている。

――モアリジョブ読者には転職で悩んでいる方が大勢います。最後にその方たちにメッセージをお願いします。
「給料体系、休日、人間関係、自分の夢が叶えられるお店かなど、働きやすい職場で働きましょうと言いたいです。給料を20万円出すよと言っていたのに実際は15万円だったり、日曜日は休ませてあげると言っていたのに休むのが気まずいとか、そういう職場なら辞めるべきだと思います。“石の上にも3年”みたいな考えはもういいでしょう。ストレスなく働けるところで仕事をしてください。そこがしっかりしていれば、楽しい未来が待っているはずですから」

取材・原稿/滝沢ヤス英
撮影/安部道岳

Profile

多田直樹さん

多田直樹さん

ロイヤルマスターシザーズ株式会社
シザーリスト/美容師

山野美容専門学校卒業後、青山、原宿で14年間、美容師として活躍。女性誌、男性誌、業界誌などさまざまなメディアにも登場し、ヘアショーも数多く経験。2013年末に原宿の人気美容師という肩書きを終え、2014年初めから今のハサミ会社へと転職した。ハサミ販売の営業をすると同時に、うまくハサミを扱えない美容師のためにハサミのおもしろさを伝える活動もしている。

多田直樹さんのInstagram
naockey10

ロイヤルマスターシザーズHP
http://www.royal-master.co.jp/

ロイヤルマスターシザーズFacebook
https://www.facebook.com/maximas.master/

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