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トレンドを創る人 Vol.6 ZACC 大野喜郎さんの愛されるスタイル #2

今をさかのぼること20年前に突如始まった“カリスマ美容師ブーム”。青山のトップサロン・ZACC(ザック)の高橋和義さんによる1枚の写真が女性誌で大ブレイク。以来20余年にわたり、ZACCが今でもトップを走っていられる背景には、プロデューサーである大野喜郎(おおの・よしろう)さんの存在がありました。
カリスマJr.世代として数多くの雑誌のヘアスタイルを手掛け、最近は美容界で話題のユニット・東京ブレンドのショーもプロデュース。ヘアスタイルだけでなく、本人も同僚や後輩に“愛される”、そんな飾らない”大野さんの魅力を探りました。

俯瞰で眺めるからこそ、見えてくるもの

――大野さんが後輩のスタイリストに伝えたいことって何でしょう。
「何事も今、受け身の人が多いかな、と思うんですよね。もっと自発的な感情を出してほしいと、つねづね思っています。結局目立つ人って自発的なんですよ。サロン内の教育に携わって10年ちょっとですが、昔は本人が気づくまで手を貸さないという教育スタイルだったのが、今はそれだとつまずいて転んでしまう。だからといってこちらから押しつけるだけでは、本当の意味でその人の身にならないので、やりたいと手を挙げた人にやらせる、というスタンスでやっています。

僕自身、無理にやらされてきた過去があって(笑)当時は雑誌に出たいとか、まったく思ってなかったですからね。でも若いテイストは若い人にしかできないですから。おじさんが20代の雑誌のヘアをやっても違和感があるだけで、そこは若い力を尊重しながら、もっとやり方としての近道があるよ、アタマの使い方はこうでしょ、とアドバイスする。具体的には、本人が何をつくりたいのか明確にしてもらっています。イラストを上げてもらってウィッグ、モデルさんという順序です」

ZACC
ZACCと言えば、愛され系ヘア。それがこの人の手から数多くつくられました。テレ屋でなかなか話すまでは時間がかかるけど、そこからは一気に近くなる…。そんな人なつっこい一面が、同僚やお客様に愛される理由だとわかりました。

今はコツコツ、時間をかけて育てていく時代

――それではなかなか若い人が育たないのではないですか?
「確かに、時間はかかりますよね。でも相手がつくったものを勝手に触って直すのって、結局、近道ではないんですよ。もっとダイレクトに相手の頭の中に入れるためには、まずその人の頭の中を理解しないとならないと思います。教えていると、それって大野さんだからできるんでしょと、ときどき逃げられるけど、そうじゃない。だからまず相手の頭の中を覗いて見ることが大事なんです。

そういう意味では僕らの頃はライターさんや編集さんからビシバシ、言われてましたからね。すごくシビアな現場が多くて、悔しい思いもしたけど、今思うと本当にありがたい。今はそういうのがなくなりましたから。美容師さんの中には、雑誌の撮影をやっていてもしょうがないのでは、という人もいますが、僕自身、学んだものはたくさんありましたし、何でも即、利益に結びつくようなウマイ話ってないと思うんですよね。

僕自身は、流行の美容師になりたくないというのがずっとあったし、今も昔も一過性の人気とかには魅力を感じていないわけです。まあ、端から見ている人たちには、こうして表に出て派手なことやってるでしょ、と思われているかもしれませんけど、僕の場合は自分のためじゃなくて、お店の利益、サロンワークに直結しないと意味がないですから」

チャライ美容師がキライ。だけど人は大好き

――そういう意味では、大野さんって失礼ですが見た目が美容師さんっぽくないですよね。
「ですよね(笑)実際、チャライ美容師が嫌いでしたからね。ブレンドのメンバーも最初に会った25、6歳の頃は苦手でしたね。みんな見た目がチャラくて(笑)でもそのうち撮影現場で頻繁にあうようになって、見た目はみんなハデだけど中身がピュアだとわかって、そこからどんどん仲良くなっていきました。

コミュニケーション能力がもともと低いので、何かきっかけがないと人と交われないんです。でも当時、シザーズリーグ(※編集部注 フジテレビ系列でオンエアされていた、美容師のバトル番組)で他サロンの人たちと会って、みんな超面白くて「鎖国してちゃいけないな」と思い直しました(笑)

ブレンドの幹部ミーティングって8割は雑談なんですが、それが結構、面白いんですよね。みんなそれぞれ真剣に仕事に向き合っているからこそ出てくる話があって、僕にはない発想を持ち合わせているメンバーもいるから、会っていてとても刺激になります。

今って何かとドライな時代だと思うんですよね。なかなか熱さが伝わりにくいというか。でも美容業界って唯一、熱っぽくてねちっこい部分がまだある場所だなと。今、残っている人たちの共通点はそこじゃないかと思うんです。結局、人が好きだということです(笑)」

東京ブレンドフェス2017のステージの様子
大野さんが構成を担当した東京ブレンドフェス2017のステージの様子。2018年は、一世代下のスタイリストがメインとなる、また新たなショーを計画中。こちらも目が離せません。

取材・文/山岸敦子
撮影/石田健一(取材)、内田龍(ステージ)

Salon DATA

店内

ZACC(ザック)

日本を代表するトップサロン。代表の高橋和義さんを筆頭に、総勢80余名のスタッフで青山の一等地、AOビルに集約。
大野喜郎さんは、プロデューサーとしてサロンのヘアスタイルづくりを担い、後進の道筋を照らしている。東京ブレンドのメンバーサロンとしての活動にも注目が集まる。
http://www.zacc.co.jp

トレンドを創る人 Vol.6 ZACC 大野喜郎さんの“人間力”とは #1>>

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