トレンドを創る人Vol.9 Violet・前原穂高さん「美容を辞めたくなった人」へ #1

筆者ごとですが、最近ウルッときたブログがある。ヘアサロン「Violet」(バイオレット)の代表、前原穂高さんが書いた「今年の新卒で美容室へ入社した皆様へ」というブログだ。
きっかけは、東京ブレンドメンバーの取材のため、彼の資料を集めていたときのこと。サロンのホームページ内に貼り付けられたブログをなにげなく読んだとたん、「この人、普通の人気美容師とちょっと違うな」と感じ、彼の美容観に心を打たれる自分がいた。
ということで、今回は筆者が今、最も注目する美容師、「Violet」の前原穂高さんにインタビュー。高校時代から、日本を代表するスーパーサロン「afloat」に入社すると決意し、宮村浩気氏の下で13年、奮励努力。その後2015年に独立し、「Violet」をオープンした彼の美容観にフューチャーします。

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大学進学を辞め、afloatで働くと決意

「僕は宮崎県出身ですが、子供のころ、美容師は女性がする仕事だと思っていました。東京とは違い男性美容師は少なく、街の美容室では母親より年上の美容師さんが働いてる姿しか目にしなかったもので。特に大きな夢もなく進学校である国立の高校に入学。医療の道を目指す人ばかりでしたから、なんとなく自分も大学の薬学部に入るんだろうなぁ… なんて感じで過ごしていました」

そんな前原さんに転機が訪れたのは高校二年生のとき。ヘアサロン「afloat」(アフロート)の全てを紹介する1冊の本と巡り合う。

「この本はまるごと1冊afloatを紹介していて、ヘアカタログや宮村さんが担当する有名人の紹介、スタイリスト図鑑のようなものも掲載されていました。これを目にした途端、“この人の下で働きたい!”“絶対にafloatに入る!”って決断しました。それで、福岡の美容学校に入学するのですが、学校の先輩にひとりだけafloatに入社した方がいまして。その方を頼りに学生時代から何度もafloatに足を運びました。僕はここ1本狙いでしたからね。他のサロンは眼中になかったんです」

前原さんの強い熱意もあってか、日本のトップサロンに新卒で見事入社。憧れのafloatで美容師人生をスタートさせる。

「専門学校で学ぶ技術は、ウィッグに向かってキチッとしたデザインを作ること。また、技術とは回数を重ねるという教えで、繰り返し同じことをする作業が良しとされていました。でも、afloatに入社した途端、いい意味で裏切られましたね。デザインや流行の捉え方、会社の規律までもユルッとしていて(笑)
それと、自分がいくら練習の回数を重ねても越えられない子がスタッフの中に出てきて… センスがとても長けているんだと思うのですが、彼らと直面して“回数が全てではない。今のやり方を変えなきゃいけないな”と痛感したこともありました」

その後の彼はメキメキと売り上げを上げていき、なんと年収2000万円をとるスーパー美容師へと上り詰めていく。

前原さん
20代。アフロート時代の前原さん。

居場所すらない自分が美容を天職と思うように

学生時代は進学校で学び、ふとしたきっかけで知ったafloatに10倍の倍率を突破して見事入社。やがては誰もが憧れるスーパー美容師として数多くの有名人をも手掛ける彼を見ていると、挫折なんかほとんど経験していないように感じてしまう。そこで冒頭のブログである。

“今年の新卒で美容室へ入社した皆様へ”だ。

彼はこのブログの中で、afloatに入社して1カ月後のミーティングで発表した言葉を紹介している。

『はじめこのお店には自分の居場所がないなぁと思いました。でも、段々と自分の居場所は自分でつくらないとダメだと気付きました。いつかはお店から一目置かれるような存在になりたいです』
そして、ずっとそう思って時間が経ち、僕は美容師というお仕事が自分の天職であり、そんな仕事が見つけられて最高にハッピーだと思うようになりました。今は自分のやりたいことをひとつずつ順調にやっていけていると感じています。

「仕事がやりたくない」と思うと意味合いが違いますが「やりたい仕事じゃない」と思ってしまうようなときに思い出してみて下さい。
中略
続けた結果、天職にすることが出来る人もたくさんいると思います。

「やりたい仕事や職場」を探し回るよりも「やりたい仕事や職場」に自分で変えていったり好きになっていったりするほうが、はるかに回り道をしなくてすむのではないかなと思います。

前原さん
同じくアフロート時代。今よりちょっぴりやんちゃな感じだがとても、ハングリー精神が旺盛で仕事に対しひたむき。

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美容は間違いなく楽しい。この楽しさがわかるまで続けることが大事

ご存じの通り、美容業界は離職率の多い職業。入社後すぐに挫折してしまう若者が多く、早々に夢を諦め路頭に迷ったり、サロンを転々とする人が少なくない。特に東京や大阪、福岡など競争の激しいエリアではなかなか人が育たないという問題を抱えている。そして、今ではスーパー美容師となった彼もまた、業界に入ったころは“挫折しそうな新入社員”と同じ気持ちを抱え、悩んでいたのだ。

前原さん
「美容はとても楽しくてやりがいのある仕事。そのことを気付かずに辞めてしまうのは本当にもったいない。せめて美容の楽しさが理解できるまで続けて欲しい」と前原さん。

「僕がアシスタントだった頃は、〝お前の代わりはいくらでもいるぞ”と先輩に言われた時代。仕事でミスをすると叩いてくる先輩もいました。ふたつ年齢が離れていると、気軽に話もできなくて。でも今は時代が違う。彼らが育ちやすいように準備をしてあげて、必要なときに手助けをする気持ちを持つことが大事だと思います」

彼の言葉、ブログもそうだが人に対する温かみがとてもよく感じられる。そして、厳しい修業時代にくじけそうになった人に向け、ブログを通して優しい言葉で手助けする姿勢が時代にマッチしていて、とてもスマートだ。

もし、読者の中で美容に対する未来が描けない人がいたら、ぜひ彼のブログを呼んでほしいと思う。何度も立ち上がることで、5年後は彼のようなキラキラと輝く美容師になれるかもしれないのだから。

次回は「美容とボランティア。Violetのフィリピン支援」についてお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon data

店内

Violet(バイオレット)

雑誌やTVからも撮影のオファーが絶えない人気ヘアサロン。
欲求不満のカラーである紫色をテーマに「お客様の欲求に応える」、「女性のなりたいに応える」そんな思いが込められている。ナチュラルウッドな印象の店内は吹き抜けになっていて、2フロアーで施術が可能。Ipadの貸し出しやドリンクサービスもあり、まるでカフェのような解放感のある空間は至福の時間が楽しめます。

http://violet.tokyo/

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