トレンドを創る人 Vol.10 air・木村直人さん “人と人とをつなぐ力”#2

『トレンドを創る人』10人目は、日本で今おそらく一番、美容業界以外にも名をはせる美容師、air(エアー)執行役員ディレクター木村直人さんです。
個人で運営する「naotokimura.tokyo」は年間閲覧者数1000万人越え。ネット上の会員制コミュニケーションサロン「マルチバース」は会員数が500人を超えるという人気っぷり。まさにネット時代のカリスマ美容師ともいうべき木村さんの、マルチな活躍のほんの一角をお伝えします。

美容師だけで終わらない美容師になる

――ブレンドフェスでお会いしたとき「美容師はやりきった」とおっしゃっていましたよね。
「その通りです。この10年間、たんたんと仕事をやってきて、徐々に段階が上がって、ある程度評価してもらえるようになって。でも振り返ると仕事しかしていなくて(苦笑)
美容師としてはもう十分やりきったから、これからは充実した時間を過ごしたいと感じました。
自分の人生を自分の生きたいように生きる。僕自身がそういう時期に入っているということです。美容師としてこれ以上の欲はないんですよね。むしろ今の体制で(執行役員で、オンラインサロンやメディアの編集長をしながら)ほかの事業もやりたいし、上場できそうなくらいの会社を起業したいねと社長の岩田(卓郎氏)とも話しています。
もともとairという会社の考え方が“美容師で終わらない美容師になる”でしたから、そこで終わりたくない、それだけじゃないという思いでいろんな可能性を模索してきました。その1つがネットでのコミュニケーションであり、オンラインサロンやウェブメディアであり、入社してから今まで10年かかって、そうした美容以外の目標を具体的に実践しているのが僕であると。そう認識しています」

ライターズサミット
サロン専売のヘアカラー剤『THROW(スロウ)』を通して、サロンカラーの価値を高め、美容師とお客様をつなぐためのメディアとして2016年4月に誕生した『THROW journal(スロウジャーナル)』。その1周年を記念して行われた「ライターサミット」に集まった木村さん選出の“現役美容師ライター”たち。今では総勢75名が毎日約10本のペースでカラーリングをテーマに、サロンや地域の垣根を超えて、リアルな声を発信中。

“アクティビスト”として自分ができること

「木村さんって何なんですか?とよく聞かれるんですけど、自分では“アクティビスト”-駆動させる人、歯車になる人、組み合わせて回す人―だと答えているんですね。いろんな能力のある人の間を取り持って駆動させるというイメージです。
『スロウジャーナル』で編集長をやっているのも、僕以外に書く人がいて、それを運営している人がいて、ここの間を取り持って、主に僕が記事をチェックして公開する。駆動させて円滑にやることで、あのメディアが月間約100万PVとかフツーにあるわけで、
そういう美容師を超えるような活動がもっとできればいいなと。例えば社長の岩田が考えていることを僕が吸い取って、何かに落とし込んだり、能力と能力のある人をアサインして(任命して)組み合わせ、稼働させるとか、つねに考えています。
今、実際に商品をつくっているんですが、その部分の組み合わせやすり合わせをすることが会社にとって必要なのかなと。今後はこうしたことをやりながら自分のしたいこともできたらいいなと思っています」

多様性を認めて、切り替えるとき

――どうしたら木村さんみたいに達観できるんでしょう?
「いろんな人と会ってきたからこういう考えになったんだと思います。今は直接、会わなくてもネットでも十分知り合えますけど(笑)経営本とかビジネス本は読まないですが、堀江貴文さん(ホリエモン)の『多動力』にあるみたいに、今は1人の人がいろんな肩書きを持っていていいし、実際にいろんなことをやれる時代になってきているわけで、それをきちんと認めて、メリット・デメリットを見極めていけばいいと。
修業時代は僕自身も目標に向かってガツガツしていたけど、段々といろんなことがわかってくると、“うまいの正解ってナンなんだ?”とか、いろんなことを問うようになって。以前はカット技術が上がらないとお客さんがこないと思っていましたが、今はカットがうまいからってそれだけではお客さんは取れないですよね。
技術に対しての正解論がすでに崩れ始めている今、何が正解って、お客さんが来ることが正解であって、うまくカットできるのが正解ではないわけです。
今後は今以上に働き方の多様性や柔軟性が美容界でもどんどん求められてくるだろうし、中には僕みたいにフルタイムで働かないという男性美容師が出てくるかもしれません。
これまではフリーになるのか独立するのかという選択肢しかなかったけど、これからは多様性を認めてあげないと、人は去るしかないですからね。どこで切り替えるか。結局は自分次第ですが、経営者など下の人を巻き込む可能性がある人は、どっかでちゃんと考えないといけないタイミングかもしれないですよね。まあ僕が言うことではないですが(笑)」

樺井さん、堀さん、木村さんを挟んで堀之内さん、飯田さん
美容メーカー「ビューティーエクスペリエンス」のカラー剤、THROW(スロウ)の開発メンバー(左から、Belleカラーリスト樺井英樹さん、堀加奈子さん。木村さんを挟んでBelleオーナー、堀之内大介さん、飯田尚士さん)。プロジェクトリーダーの木村さんを中心に、それぞれが技術専門職や経営者の立場で参画。カラー剤そのものの開発からプロモーションにおけるメディア制作、ビジュアルづくりやパッケージまで、木村さんが“アクティビスト”だということを証明する貴重な1コマに。
木村さん
カラー剤『THROW』発売初月、70万本を突破した記念にビューティーエクスペリエンス社内で行われた“くす玉割”。発案はもちろん木村さん。株式会社ビューティーエクスペリエンス広報マネージャーの花岡大樹さんは「当社にとっては大切な数字で歴代初でした。くす玉割ろう! と木村さんがおっしゃってくださって、盛り上がり感を伝えるなど、プロダクツの発売で重要なことや、開発に携わった全員のこだわりを発信していく大切さを学びました」。やはり木村直人氏。タダモノではない存在感で今後も目が離せません。

取材・文/山岸敦子
撮影/内田龍
取材協力/株式会社ビューティーエクスペリエンス
『THROW journal(スロウジャーナル)』http://throw-web.com/journal

Salon Data

店内
店内

air(エアー)

都内11店舗を展開するトータルビューティサロン。
タレントやモデルからの支持も多く様々な雑誌やコレクションをも手がけている。
木村さんは現在、銀座と青山の店舗を行き来し、サロンワークを行う傍ら、スタッフ教育や多角的な事業展開も視野に入れて活動中。
http://www.air.st/

『オンラインサロン マルチバース』
https://synapse.am/contents/monthly/multiverse

トレンドを創る人 Vol.10 air・木村直人さん “時代(とき)を読むチカラ”#1>>

この記事が気に入ったら
いいね!してね

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事