常識にとらわれない行動力でスタッフがやりたいビジネスを『Venus Rico』
秋葉原でアニメキャラクターをネイルに取り入れた「痛ネイル」にいち早く注目し、その高い技術力で人気の『Venus Rico』。話を伺っていて驚いたのはオーナー鹿島さんの実現力。今後、新ブランド『LUXITA』をシャングリ・ラ ホテル 東京にオープンしたり、某商業施設内への出店、ニューヨークで行われるアニメイベント「アニメNYC」への出展やスクール開校などを控えており、日本にとどまらず世界に進出しています。その原動力はスタッフの方とのコミュニケーションにあると話す鹿島さん。詳しくお話を伺いました。
スタッフとともに一から作り上げてきたサロン
――スタッフの方とのコミュニケーションが、事業展開の原動力になっていると伺いましたが。
「僕がやっていることは、事業展開を会社本意に考えるというより、スタッフがやりたいと思っていることを、ビジネスとして確立できればと考えています。スタッフを講師に痛ネイルのセミナーをやり始めたのですが、これもスタッフが自分の技術を人に教えていきたいという思いがあったからだし、海外進出も海外でネイリストとしてやりたいという思いがあったからこそビジネスとして実現できたのだと思います。僕はオーナーなので指標を示すことももちろんありますが、大事なのはスタッフそれぞれがやりたいことを実現していける環境を作ることだと思っています。まだまだ力不足な点は多々ありますが」
――オープンから4年で、順風満帆に進んでいますね。
「やっと軌道に乗り、舵をきれるようになってきたというところでしょうか。おかげさまでたくさんのお客さまに愛され、リピーターの方も増えました。今年の5月に本を出版したのですが、進撃の巨人やおそ松さんなど人気のアニメから公式認定をしていただき注目を集めました。他にも『あんさんぶるスターズ！」の公式ブックに掲載いただいたり、アニメ業界での認知も進んでいると思います。ただ、オープン当時は痛ネイルが一切知られていない状態でしたので、苦労しました。幸いシールを一切使わず高い技術力で施す模写ネイルはSNS映えするものだったので、SNSを中心に認知が進み、多くの方に知っていただくようになりましたが。事業展開のために行動をたくさんしているので、失敗もたくさんあります。自分の不甲斐なさに店長の前で、僕が号泣したことも…（笑）。いつもスタッフの力を合わせて立て直し、進み続けてきました。なので僕ひとりでやってきたのではなく、みんなで試行錯誤しながら作り上げてきたという実感があります。僕の理想はこのネイルサロンで働くことを仕事としてとらえるのではなく、生活の一部、自己実現のひとつとしてとらえてもらうことです。そうすることでお客さまもスタッフも幸せになれると思っています」
アニメ×高い技術で世界を目指す
――トレンドはどのように取り入れていますか？
「このサロンでは、あえてトレンドをメインに追わないようにしています。それをしてしまうと、どこにでもある普通のネイルサロンになってしまい、他のネイルサロンとの差別化ができなくなってしまいますから。スタッフそれぞれの持ち味を活かし、技術を上げていくことで唯一無二のサロンになれると思っています」
――ネイルプリンターを使ったオートネイルが台頭する時代がくると言われていますが、その点はいかがですか？
「オートネイルが普及するというのは、かなり前から言われていたことなので、そこに特別な危機感はありません。うちのサロンで提案しているのは、アニメキャラクターを忠実に模写するだけでなく、ネイリストがその世界観をデザインしていくことですので、これはオートネイルでは太刀打ちできないと思います。あとは、来ていただいた方にリラックスしていただいたり、会話をしたり、人対人のなかでしかできないことはたくさんあるので、それをやっていけば、どんな時代にも残っていけるのではないでしょうか」
――今後の展開はどのように考えていますか？
「見据えているのは世界です。日本ではネイルは贅沢品という認識があるかもしれませんが、海外ではケアという位置付けなんです。もっと気軽にネイルを楽しんでほしいと思っています。あとはファッションの一部として、ネイルを取り入れるのが当たり前の世のなかになってほしいなと。たとえばファッションショーで、ファッションだけでなくネイルもトータルでコーディネートしてほしいですし、海外の有名ファッションショーへの出演ができないかも模索しているところです。日本のネイルの技術をもっともっと世界に広めていきたいですね」
今後の展望を輝いた表情で語る鹿島さん。日本の顔として世界に知られるアニメを、高い美容技術とともに世界に広める痛ネイルと『Venus Rico』の可能性は、これからどんどん広がっていきそうです。
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