美容・理容の働き方を考える。『Iターン就職』という働き方

「都会の人気エリア(一等地)にあるサロンだけが働く場ではない」。そう考えて、敢えて地方でサロン開業を目指す方もいます。美容サロンや理容室は、その地域に必要な業種でもあるのです。
そこで、美容・理容の働き方として考えてみたいのが『Iターン就職』という選択を考えてみましょう。生まれ育った地元ではないけれど敢えて地方のサロンに勤務する、またはその土地で開業するという働き方。なぜ自分の生まれ育った街ではないところでサロン独立に至ったのか? そして『Iターン就職』ならではのメリットやデメリットも、知りたいところです。今回は、東京の人気サロンでの勤務経験があり、実際に地元以外でサロンを開業したスタイリストに話を聞いてみました。

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諦めきれなかった「スタイリスト」への思い

一口に『Iターン就職』と言っても、本当に一度も行ったことがなかった地域で働く、または地元ではないけれど少し関係があった土地で働く…など、そのパターンは様々。今回ご登場いただくのは、神奈川県相模原市に自身のサロン『Acid』を開業している、橋口直道さん。元々の出身は神奈川県横浜市ですが、学生時代に通っていたサロンが相模原市にあったこともあり、それなりに街の雰囲気には馴染んでいたそうです。

「美容専門学校を卒業後、通っていた相模大野のサロンに進路を相談したところ、ウチで働かないかと誘っていただいたんです。そこで昔からの夢であった一人前のスタイリストを目指して、美容・理容業界に入ることになりました。そのあと都内のサロンに移籍して…」
順調そうに見えたサロン勤務でしたが、ここで橋口さんの体に異変が…。
「使用していたパーマ剤などの薬液の影響で極度の肌荒れから、体調不良になってしまったんです。倦怠感や疲労感が激しく、サロン勤務ができない状態に。そこで志半ばながらも、一旦は美容業界から離れざるを得なくなってしまったんです」
それでも一般の営業職に転職後、自分のサロン開業を夢見て貯金も始めたそうです。しかし、ここでさらなる悲運が橋口さんを襲います。今度は働きすぎて椎間板ヘルニアで2ヶ月の入院。さすがにこのときは「2度と立ち仕事は無理かな」と諦めかけたそうです。

橋口さん
何度も災難を乗り越えながらも、自分のサロン「Acid」を開業させた代表の橋口さん。

美容系の材料屋へ転職したのをきっかけに美容業界に復帰

その頃、昔一緒に働いていたスタッフが表参道のサロンに移籍。そのお店に出入りしていた材料屋さんから誘われ、材料屋の営業職として業界に復帰した橋口さん。この業界に入るきっかけを作ってくれた相模大野のサロンにも、今度は営業として通うように。
「営業で様々なサロンを巡っていると、働いているスタッフが輝いて見えて…。そのオーナーは見抜いていたのかもしれませんが、営業職の休みだった土日だけサロンでお手伝いするようになったんですよ。美容師としてもう一度戻りたかったのだと思います」
最初に勤めたサロンだけあって、馴染みのお客様から声をかけてもらったのがとても嬉かったのだそうです。
「常連のお客様から『帰ってきたんだね。おかえり』などとお声がけいただいたのが、嬉しくて本格的にサロン勤務へ復帰しました。ついつい調子に乗ってしまいましたね(笑)」

その後、さらなる技術向上を目指し都内のサロンへ移籍した橋口さん。
「25歳でまた戻ってきた美容の世界、35歳までの10年間で(自分自身の)スタイルやポジションを築きたいと思って、必死に働きました」

そして35歳になった橋口さんは、美容師スタートの地である相模原市のお隣、座間市のサロンに移籍し8年勤務。その後ついに相模原市相武台前駅近くで自身のサロン『Acid』をオープン、念願だった独立を果たしました。
「お世話になったサロンは、残念ながらオーナーの都合で閉店してしまっていたんです。そこで土地勘もあったし、馴染みのお客様も多くいらっしゃる相模大野のそば、相武台前に移転しようと決めたんです」
そう、今度はサロン経営者&スタイリストとして、橋口さんは美容師としてのスタート地点でもある相模原市に戻ってきたのです。
現在では、店内に着付けスペースなどを手作りで設置。成人式などでヘアセットと一緒に着付けを受け付けるなど、地域の人々に密着した、愛されるサロンを営業されています。

店内
小田急線・相武台駅から徒歩1分の好立地。地元の人を中心に地域に愛されるサロンを目指している。

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Iターン就職のメリット・デメリットとは?

自身のキャリアのスタート地点での独立を果たした橋口さん。人とのつながりを大切にしてきた結果、相模原市に戻ってきたのは偶然だったと教えてくれました。
「この仕事は人とのつながりがとても大切です。そのご縁を大切にしながら働いているうちに妻と出会い、たまたま私の美容師のスタート地点である相模原市にいい物件が見つかったこともあって、相武台前に移転しました。IターンというよりUターンに近い感覚ですね(笑)。でも、これも大事なご縁だと思っています。自分がスタイリストを目指した故郷のような相模原市に戻ってこれたのですから」

そんな不思議なご縁でサロンを開業した橋口さん。メリット・デメリットについても教えてくれました。

「これはどの地域でも言えることだと思いますが…、地方での独立は良くも悪くも『地域密着型』で営業していくことがメリットでもありデメリットでもあります。都心と違って集客(新規の顧客獲得)は非常に難しいです。特に繁華街がある駅が隣にあると、カット料金などの安さでお客様が繁華街のサロンに流れてしまうケースは多いんですね。それでも、相武台前駅周辺に暮らす人たちに愛されるサロンを目指して、人とのつながりを大切に営業していくしかない。そのおかげで、メインとする30代女性のお客様がご主人やお子様など家族を連れてきてくれます。今では地域の生活に根付いたファミリーでのご利用が多くなっていますね」
現在では2人のお子さんもおり、そのつてでいらっしゃるお客様も多いのだとか。
「とにかく地域密着がカギです。生活の基盤である土地や地元の商店街で認知されることは、地方でのサロン経営では非常に大切なポイントだと思います」

橋口さん
生活拠点もサロンから徒歩圏内にすることで、より地域に密着した人付き合いができるようになったと話す、橋口さん。

Iターン就職を希望する人へのアドバイス

ヘアカットにしろ、カラーリングにしろ、基本的にやること(施術)は一緒だと前置きしつつ、地方での開業ならではのアドバイスを教えてもらいました。

「基本的には都心のサロンと同じで、美容師のやりたいこと(技術や持っている雰囲気、スタイル)などに共感していただいて初めて顧客になっていただけるのだと思います。ただし注意したいのは、例えば『東京・原宿』のトレンドを地方に持ってきても、それが必ずしもフィットするとは限りません。自分自身もストリート系ヘアスタイルが好きでしたが、この相武台前では意外に反響も大きくなかったんですね(笑)。その土地ならではのお客様が求めるスタイルを理解することは非常に大切だと思います」
常に流行の最先端がいいのではない、というのが地方サロンならではの特徴とも言えます。自分の得意なスタイルを押し付けるのではなく、求められるニーズに応える柔軟性が大切なのだと教えてくれました。
「Iターンとして地方での独立を考えるのは、いいことだと思います。都心などと違い、開店資金も安く抑えられますし。そのぶんカット料金なども地方価格にしないと、お客様が離れてしまうので価格設定が難しい側面はありますが。できればその土地に住み生活に根付いたニーズを理解しながらのサロン経営が、一番の正攻法だと思います」

ただ、最近では地方の過疎化問題もあって、積極的に開業資金などを援助してくれる自治体も増えています。Iターン就業を考えていらっしゃるなら、検討してみてはいかがでしょう。

Salon Data

hair salon Acid

hair salon Acid

住所:〒252-0324 神奈川県相模原市南区相武台1-24-7-102
営業時間:10:00〜20:00(土日09:00〜19:00)
定休日:月曜日・第3火曜日
TEL:0241-23-5523
HP:https://www.facebook.com/acidhairsalon

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