世界は漫画でできている★注目のアーティストotope・浦さやかさん #2
表参道の裏路地にあるサロン「otope」(オトぺ)の代表である浦さやかさん。「FLOWERS」(フラワーズ)にてディレクターを兼任しながら、ご自身のブランドである「otope」の運営に情熱を注ぐ彼女ですが、多忙を極めながらも自分の好きなもの、好きなことを美容の仕事に活かす姿は魅力的です。
そこで 、2回目のインタビューでは、デザインの源や今現在、夢中になっている事についてお伺いします。
オープン当初は異空間のサロンを目指していた
――otopeのオープン当初は、確か白衣を着用していませんでしたか?
「そうです。スタッフは全員金髪に白衣ってスタイルにしていました。お客様に異空間を提案して、そこを楽しんでいただきたい気持ちが強かったんです。でも、実際はそれを楽しめちゃう方と、やはり引いてしまうお客様もいました(笑)。いろいろやってみて、どこまで個性を出していいのかが今はなんとなくわかってきたんですね。足し引きがわかってきたといいますか… だから現在、白衣は着ていません(笑)」
――そうなんですね。でも、今もスタッフは皆さん個性的。そしてユニセックスな印象で可愛い♡
「私以外は男の子たちなんですよ。でも、たまにお客様などから“女子かと思った~”なんて言われるスタッフもいます。背丈もね、皆私と同じくらいなの。だからなんとなくユニセックスに映るのかもしれないですね」
大好きな漫画やイラストが私の世界観を生んでいる
――この独特な世界観って浦さんの発想なんでしょうが、その源ってなんなのでしょうか?
「漫画とかイラストとか。もう、子供のころから生活に溶け込んでいるので。私の場合、活字より絵なんです。でも、少女漫画もしっかり読んで育ちましたよ。別冊マーガレットやリボンなど、鉄板は幼少期に読破していますね。
その中でも特に影響を受けているのは、タナカ カツキ先生とか、横山裕一先生、あと、松本大洋先生に駕篭真太郎先生ですね。私の原点ってそこにあるんです」
――店内にも作品がたくさんありますね。
「そうですねー。お客様の中にも好きな方たくさんいますよ。漫画も皆さん読んでいます」
――ご自宅にもいっぱいありますか?
「もちろんです!休みの日はお気に入りの作品を読み返したり、新しいものを購入したりとか。あと、自分でイラストを描くことも大好きだから、一日中、イラストを描いていられます♪」
――(本の中身を見せていただく…)確かに浦さんの好きな世界観ってわかる気がしてきました。それがヘアの作品にも投影されている感じ。
「私としては、別にこのキャラクターをヘアデザインに押し込もうなんて思ってはいないんですけどね。ただ、私の内側は漫画とかイラストのキャラクターによってできているというか… でも、ヘアショーとか業界誌などは、トータルの世界観から考えるタイプでして、そこには反映されていますね」
――浦さんのヘアショーって、唯一無二ですもの。別の星の世界をクリエイトしている感じ。だからオファーも本当に多いですよね。
「露出の多さについては、タイミング的に私みたいな人がいなかった… ということなのかもしれません。その点ラッキーだと思っています。例えば、大人可愛いとか女性らしいデザインが続いていた時代に、私はショートバングをたくさん作っていたんですけど、珍しいからか、たまたまそこを取り上げていただいて。
今は雑誌でいうとarっぽい透明感のあるヘアスタイルが人気ですよね。でも、私はまだまだショートバングとかカラフルなヘアカラーで作品を作っている。良くも悪くもみなさんと違うものを作っていて、そこを面白いと思ってくれる方がいただけで、本当にラッキーです」
近頃、営業後はジムに通って鍛えています!
――最近、他に気になることはありますか?
「ジムでトレーニングするようになったんです。結構、筋肉ついてきたと思う。もうすぐ40歳になるから少し運動しないといけないなぁと思って。ここ数年で、ちょっと疲れやすくなってきたんです。熱が出たり肺炎にもなりましたし、腕が動かなくなることも…。ヘアショーのときに帯状疱疹を患い、そのままステージに上がったときは本当にきつかったですね。全身に激痛が走ってしまって…」
――それは大変でしたね。長い間ハードワークでお疲れなのかもしれませんね。でも、忙しいサロンワークの傍ら、いつトレーニングするのですか?
「営業が終わってからです」
――えっ!それって深夜??
「いえいえ。22時~とか。今思うと、私たちが若いころは時間の使い方が下手だったかもしれない。いつも日付が変わるまでレッスンをしていましたからね。今、アシスタントの子たちは10時ぐらいにはレッスンを終えるように指導しています。だって疲れ果てたら思考も身体も効率的に動かなくなりますから。
私、今38歳なんですけど、ようやく健康でいることの有難みがわかってきた気がします。スタッフにもみんな健康でいて欲しいから、昔みたいに夜中までレッスンとか絶対にさせたくないですね」
――トレーニングしてなにか変りましたか?
「筋肉ついてきました~。食生活だって昔は野菜嫌いでラーメンばかり食べていましたし、お菓子も大好きだったんですけど、リセットしましたよ。朝はプロテインと小松菜、バナナなどをミックスしたスムージーを飲むようになったし、夜は軽めの食事にシフト。それまでは、免疫力がガクンと落ちていたと思うけど、徐々に回復してきていて今はいい感じです!」
がむしゃらに仕事をこなしているという感じはなく、いい意味でフワフワっとした浮遊感のある印象の浦さん。でも、美容界で注目される存在でい続けることは、決して容易なことではありません。
ハードな修業時代を長きにわたり経験し、めげることなく走り続けた浦さんだからこそ、今“自分らしい美容”を発信しても世に受け入れられるまでの存在になったことは、想像に難くないと言えるでしょう。
巻き髪OLから、漫画キャラ風の個性派デザインまで。なんでもこなせる浦さんは、間違いなく「今の時代のカリスマ美容師」と呼べそうです。
取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三
Salon Data
otope(オトぺ)
2015年「FLOWERS」の別ブランドとして誕生。
表参道にあるアパートの一室で、個性溢れるスタイルを提案。キャンディみたいなヘアカラー、キュートなショートバングなど漫画やイラストの世界を具現化したようなデザインが手に入ると話題ですが、巻き髪などOL系デザインもしっかりこなせる、幅の広さが魅力です。スタッフのファッションも個性的で、訪れる度に新しい刺激がもらえそうなヘアサロンです。
www.flowers-617.com
「私、巻き髪作ります」の意味 注目のアーティストotope・浦さやかさん #1>>