新米パパ美容師になった今、仕事へのモチベが最高潮に! 私の履歴書 【美容師 フクシマリョウタさん】#2
ヘアサロン激戦区、東京・原宿から徒歩10分ほどの場所に位置するヘアサロン「CODE +LIM(コード プラスリム)」。ここで2021年春にスタイリストデビューを果たし、ファッショナブルな街を行き交う人々の髪を預かるフクシマリョウタさんは、昨年結婚して娘が生まれたという新米パパ美容師です。
前編では、昔からの夢を叶えて美容師になるまでの経緯や、4年間もの下積み時代のお話を中心に伺いました。
後編では、一人前の美容師としてのその後のキャリアや仕事観、ライフステージの変化と仕事への影響などについてお伝えします。フクシマさんと同じような境遇のパパ美容師には、必見の内容かも!?
ヘアサロン激戦区で奮闘する1人の美容師・フクシマリョウタとして
――スタイリストとしてデビューされたのは、いつですか?
2021年5月からです! うれしい気持ちの一方で、やっとスタートラインに立てたと身が引き締まる思いでした。アシスタント時代は長かった方かもしれませんが、その分しっかり下積みできたと思っています。
――お客様のヘアをデザインする上で、フクシマさんなりのこだわりなどはありますか?
お客様のオーダーの範疇で、いかにその顔立ちに「似合わせ」るか? ということは常に考え続けています。そのために、デザインはミリ単位でこだわりますね。
僕を信頼してお任せしてくださるお客様には、すぐ何かしらのご提案ができるようインプットを欠かさないようにしています。例えば今だったらボブのパーマスタイルなど、自分の中でブームなスタイルも常に何かしら持っておいていますね。
――お客様への「似合わせ」を実現する上で大切にされていることや、フクシマさんなりのロジックや勉強などについて、具体的にお聞かせください。
「顔立ちに関わる骨格」「頭の形」「髪質」といった3要素を軸に、足し引きしながら作り込んでいます。一人一人個性が違うので、どんなに忙しくても注意深く観察しますね。
また、不定期ですが社外のセミナーにも足を運び勉強しています。最近学んで良かったのは、ポイントカラーと顔周りのデザインの作り方に関するセミナーです。
さらに、インプットしたものはなるべくすぐにアウトプットすることを心がけています。回数を重ねて反復練習することで、やっと自分のものにできると思うからです。その中で、ちょっとしたアイデアやアレンジなどを加えたりして、自分なりの特色を出すことにもトライしています。
――お客様と接する上で心がけていることはありますか?
とにかく、お客様に楽しい時間を過ごしてもらうことですね。特に、そのための距離感は大事です。ご新規のお客様だと「ヘアサロンに行くのが緊張する」とおっしゃる方も一定数いらっしゃいます。そんな時こそ自分の親しみやすいキャラクターが活きると思っているので、こちらからは踏み込みすぎず、お客様が話したくなるような雰囲気作りを心がけています。
――新規のお客様をカウンセリングする際の、フクシマさんなりのポイントなどはあるのですか?
シンプルに、来店の目的をお聞きすることが多いですね。何かしらのイベントや節目などを控えてご来店されるお客様の場合は、そのようなご予定とその時の気分が連動しているはずで、それはヘアスタイルのオーダーや仕上がりにも影響してくると考えています。
――初来店でも心強いですね! お客様だけでなく、スタッフからの人望も厚そうです。
ありがとうございます(照)。LIMにはスタッフによる投票制で決まる「ヒーロー賞」というタイトルがあるんです。その人がいたから助かった、といったような、いわゆる縁の下の力持ちとして活躍したスタッフに贈られる賞ですが、僕はこれをアシスタント時代と合わせて2度受賞しました。
昔から人の輪の中心にいたいタイプだったので、そのためにできることをやっていたら、自然とみんなが認めてくれたのだと思います。ありがたいことです。
――スタイリストとなってからも、ずっと今のサロンですか?
そうですね。アシスタント時代から数えると、CODE +LIMの中でも古参になってきました。そんな中で最近気を付けているのは、後輩とのコミュニケーションです。
後輩とのコミュニケーションを通じて、仕事への熱量は人によって様々なのだとより実感しました。その熱量はある程度合わせつつ、自分が感じている美容師という仕事の楽しさややりがいを伝えて、美意識や仕事へのモチベーションを盛り上げてあげたいと思っているんです。
――フクシマさんが感じる、美容師の仕事の楽しさややりがいとは?
お客様との一期一会の出会いと、関係性作りです。今のお店には全国各地の出身の方や、時には海外からのお客様もいらっしゃいます。いろんなバックグラウンドの方々と話ができるので、東京に来ることを選んで本当に良かったです。
また、お客様と長期的な関係を築けると、例えばデートやイベントなど日々のちょっとした出来事から、入学に卒業、就職、結婚や出産などといった人生の節目に立ち会える瞬間に恵まれることがあります。これは美容師という仕事の醍醐味の1つだと、僕は思っているんです。
ライフステージの変化から、「幸せの一人称」が変わった
――そういえば、最近ライフステージに変化があったそうですね。
はい。昨年ですが、結婚して娘が生まれました。最近は新米パパとして、アイリストの妻と一緒に、育児に仕事に奮闘しています!
――仕事と家庭の両立に関しては、どうされていますか?
実は、僕が育休を取ることができないので、育児に関しては妻の負担が多くなっているのが現状です。申し訳ないなと思いつつ、自分の仕事が休みの日は娘の世話を一手に引き受けています。
一時期は僕が世話をする時に娘に泣かれることも多かったのですが、最近は僕についてきてくれたり、寝言で「パパ」と言ってくれたりして、うれしさを噛み締めているところです(笑)。
――ご自身のご家庭を持ったことで、仕事に何かしらの影響はありましたか?
仕事で言えば、以前より効率を意識するようになりました。時間の使い方が上手になった気がします。
例えば、僕はなるべく毎日Instagramの投稿を更新するようにしているのですが、そのコンテンツを、仕事上がりから帰宅するまでの帰り道の間で仕上げています。帰宅後は、やはり家族との時間を大切にしたいですから。
また、メンタルにおいても変化があったように思います。
――どのような変化ですか?
一言で表現するなら、幸せの一人称が自分ではなくなりました。
娘が生まれる前、子どもができたという報告を周りにすると、祝福の言葉とその一方で「今のままで大丈夫?」「これからはもっと稼がないとね」といった内容を方々から言われまして…。正直、とても不安でした。
でも娘が生まれた瞬間、それらが全てどうでも良くなったんです。他人からなんと言われようと僕ら家族の幸せが一番大切で、自分よりも妻や子どもの幸せを第一に考えられるようになりました。
では、そのために僕ができることは何か? という問いの答えが、今は「仕事を頑張ること」だと思っています。美容師として売れるためにできることは、全部やっていきたいくらいの気持ちです。
また、このような心境の変化を経て、サロンワークの際にもお客様の気持ちにもっと寄り添えるようになった気がします。家庭というベースがあることで気持ちのアップダウンも少なくなり、精神的に安定もしました。
僕は、美容師の仕事を「労働」だと思っていません
――今後の展望はありますか?
ゆくゆくの話ですが、もし自分が何かをしたい! と思った時に、すぐ実現に向けて行動できるような自分でいられるよう、力をつけておきたいです。
ひとまずはCODE +LIMで学ぶべきことがまだまだあると感じているので、あらゆることを貪欲に吸収し続けていきたいな。
僕が得意とするパーマもまだまだ質感を追求できるはずだし、その他の技術面や集客の仕方、マネジメントなどにも磨きをかけていきたいですね。
CODE +LIMのスタッフたちは、尊敬できる方々ばかりなんです。働きながら勉強もさせてもらえて、素晴らしい職場だと思っています。
――今後、どのようなことを学んでいきたいですか?
SNSの更新にも力を入れている今としては、写真や動画の撮り方かな。
職場のスタッフに、バシッと決まった美しい写真を撮る方がいるんです。その方のようなハイクオリティな撮影技術に、自分の持ち味であるラフさや親しみやすさを掛け合わせた写真や動画を世に出したいんですよね。お客様と僕との距離感をそのまま表現したような、いい意味で抜け感のある作品を生み出したい。そのために、今は学びながらも試行錯誤を繰り返しています。
――これから美容業界を目指す方へアドバイスがあれば、ぜひ!
「美容が好き」という気持ちをとにかく大切にしてほしいですね!
この仕事って側から見るより何倍も大変で、一筋縄では行かない世界です。そんな時に自分を鼓舞してくれるのが「美容が好き」という気持ちだと思います。
好きなことだから努力できるし、何かを突き詰めていくことができる。壁が立ちはだかっても、乗り越える原動力になってくれるはずです。
――とはいえ、それでも挫けそうな時はあると思います。そんな時、フクシマさんはどうしていますか?
あくまで僕の場合ですが、紙に現状を書くようにしています。そうすることで、しんどいことも1つの事実として客観的に見られるようになるからです。
客観視できると感情面も冷静になれるので、「どうやったら打破できるか?」を考えたりポジティブに変換したりしやすくなります。スマホのメモでも、誰かに話すだけでもいいので、とにかくアウトプットするのがおすすめですね。
…でも、本音を言えば、気の置けない仲間たちと飲みにいく、とかが良かったりしますけどね!(笑) パーっと気分転換して「また頑張ろう」って思うことも、時には大切なはずなので。
――ついでと言っては何ですが、フクシマさんと同じような新米パパさん美容師に向けて、一言お願いします!
「子どもはいいぞ!」と、声を大にして言いたいですね!
というのも、子どもを通じて「昨日できなかったことが、今日できるようになる」という瞬間を毎日目の当たりにするんです。こういった経験って、大人になってできることが増えるにつれて少なくなっていくじゃないですか。
それが日常的に、目の前で繰り広げられる。すると、自分もそうありたいと励まされるんですよ。昨日の自分より、今日の自分は1ミリでも成長していたい。そんなフレッシュな気持ちが蘇って、日々を頑張る刺激になっています。
――フクシマさんにとって、「働く」とは何でしょう?
「好きなこと」! そして美容師という仕事には、「人と話すこと」「人を美しくすること」という、自分の好きなことが詰まっています。
お客様とのどんな話も楽しんでいますが、今のサロンの場所柄から自分も好きなファッションが話題に上がることも多く、情報交換ができることもうれしいですね。
初めましてから常連さんまで日々いろんなお客様と相対する中で、時にはこちらが元気をもらうこともあります。好きなことができているのに、さらにお金までもらえてしまう。こんないい仕事、そうそうあるもんじゃないですよ。
そういう意味では、僕は美容師の仕事を「労働」だと捉えていないかもしれません。

フクシマさんの成功の秘訣
1. 一途に夢を追いかけ続ける持久力
2. 自分自身の特徴を捉えた戦略的なキャラ作り
3. 家族という、守りたいものがあること
撮影/野口岳彦
取材・文/勝島春奈
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