N.Y.とTOKYO、2都市の空から!DRESS・三輪敦士さんが伝えたい感性 #2
“海外で働く”ということは、口で言うほど簡単なことではありません。でも“思い立ったら吉日”とばかりに、それをつかみ取ってきた人がいます。DRESSオーナー、三輪敦士(MIWA)さん(右)。友人とともに出店した北京のサロンを皮切りに、帰国後、著名なヘア&メイクアーティストが主宰するサロンのオープニングに参加。同時にヘア&メイクに転向します。
そして今はN.Y.の1店舗と、元同僚のHOZUMIさん(左)にまかせることで、東京に2店舗を構えるなど、突き進んできました。その背景を切り取ります。
お互いを認め、補完し、助け合う関係性
――MIWAさんは主にN.Y.、HOZUMIさんは東京の店でそれぞれ美容師として働いているわけですが、二人で一緒にやるきっかけはどんな経緯だったんですか?
HOZUMI「僕は代官山のサロン時代の1年後輩なんですが、いつか一緒に店を出したいねと当時から言っていました。その後に彼(MIWAさん)が北京に出店するときも、N.Y.で今のお店を出すときも、僕を誘ってくれたんですが、
すでに別のサロンで働いて店長もしていたのでタイミングが合わず、2年前に銀座に1店舗目(DRESS NYC81)を出すときに、やっと合流できたという感じです」
MIWA「20年以上の付き合いになりますから、信頼感は半端ないですよね。僕はどちらかというと、大雑把で感覚的に行動してしまうタイプ。ヒデ(HOZUMIさん)は、思考して一つひとつ丁寧に物事をこなしていくタイプだからこそ、お互いに補い合いながら仕事ができているのかなと思います」
HOZUMI「僕は慎重すぎて凝り性で、細かいですけどね(笑)MIWAさんは完璧、直観行動型ですから。以前、真顔で“世界中の都市にサロンをつくっていこうよ!” と言ったんですよ。正直、びっくりしましたが、
彼ならできるかなと(笑)あといくつできるかわかんないけど、日本人の美容の技術は絶対に必要だから、よし、僕はスタッフをしっかりと育てて“供給しよう”と思いました」
修業時代から続く信頼関係。性格が違うゆえ、それぞれにないものを持っているという自覚。そして何よりもお互いをリスペクトする気持ちが、遠く離れていても協力してサロンを運営できる秘訣なのかもしれません。
東京-N.Y.、それぞれの“今”を伝えたい
――MIWAさんはN.Y.と東京を行ったり来たりですが、なぜそうするんですか?
「どちらも僕にとっては大事だからです。N.Y.だけでもダメだし、東京だけでもつまらない。今って情報のスピードが速すぎて、ファッションや流行もその一瞬一瞬で変わりますよね。
例えば、N.Y.で流行っているコーヒーショップやオーガニックのハンバーガーが東京でも人気だったり、逆に日本の陶芸家の作品や日本の手仕事がN.Y.で注目されて、その価値が広く認められてきています。
ヘアのトレンドに限らず、そういった旬でリアルな情報を伝えられる存在になりたいんです。僕自身が架け橋になることで、N.Y.と東京、双方のサロンスタッフに、つねに刺激とインスピレーションを与えられたらと思っています」
オリジナルプロダクツを出す意義
――プロダクツを出したきっかけは何だったんですか?
「僕自身N.Y.で暮らすようになり、ファーマーズマーケットでオーガニックの野菜を買って食べたり、オーガニックコットンの素材を選ぶようになったりと、ライフスタイルにかなり変化がありました。
食べるもの、体に触れるものはナチュラルで、安心して使えるものを選びたい。そういう志向やポリシーを持って生きているニューヨーカーの人たちに刺激された部分もあると思います。ヘアプロダクトも、より天然由来でナチュラルなものを使いたいと思うようになって。
美容師はパーマやカラーなどのケミカルなものを扱う仕事なので、100%ナチュラルはなかなか難しいですし、そこまで僕自身がストイックなわけでもありません。ただ変えられる部分は変えていこうじゃないかと、
まずはできるだけ天然由来の成分を使ったシャンプー&コンディショナーづくりに挑戦しました。コンセプトや香りの調合はN.Y.で僕が担当し、試作品をN.Y.と東京のサロンで実際に使って意見を出し合い微調整しました。
製造は信頼のおける日本の工場で行っています。単純にナチュラルでやさしいというだけではなく、美容師として培った髪質やテクスチャーへのこだわりも盛り込んだところが特徴です。
今はシャンプー&コンディショナーのほかに、USDAオーガニック(アメリカ合衆国の農務省傘下の制度が認定する、世界でも基準が厳しいと言われるオーガニック認証)を取得したヘアオイルやヘアワックスも販売しています。今後はアイテム数を増やしていきたいと思っています」
取材・文/山岸敦子
撮影/石田健一 画像提供/DRESS
Salon Data
DRESS(ドレス)hair salon
ヘアメイクアップアーティストで美容師のMIWAさんがN.Y.のダウンタウンに2012年に出店。その後、東京の拠点として銀座にDRESS NYC81をオープン。元同僚のHOZUMIさんが代表につく。2017年7月には、同じ銀座にビル1棟を改装したD/Apartmentをオープン。スタッフも増え、ますます躍進中。
http://dress-hairsalon.com/
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