女性を彩るヘアラインのこだわりとは?ヘア&メイク glams・小林懸さん #2
小林懸さんは現在、oggi、Domani、STORYやHERSなど、大人系雑誌のヘア&メイクアップアーティストとして活躍する傍ら、ヘアサロンglams(グラムス)の代表でもあり、サロンワークもこなしています。
「サロンワークには、ファッションページの撮影で培ったヘアの雰囲気を落とし込める楽しさがある」と話す小林さん。
第二回目のインタビューでは、ヘアメイクとして今現在感じていることをお伺いしました。
女性度がグッと増すなびくヘアを追求
――ヘアメイクをする上でのポリシーはなんですか?
「僕は現在、大人の女性が読むファッショ誌を中心にヘアメイクの仕事をしているんですけど、例えば働く女性のかっこよさって“動作ありき”だと思っています。だから、自然な動きを妨げるようなヘアメイクはしない。そうゆう観点だから、スタイリング剤は極力使わないようにしています」
――わかる気がします。その方が色気も増すというか…
「まさにそれ。女性らしいしぐさが増すヘアを心がけているんですよ」
――私は雑誌のヘア企画も担当していますが、新企画の説明を編集者にするとき、ヘアカタログのデザイン写真を例に出さないようにしているんです。必ず、ファッションページのヘアスタイルを引用してイメージを伝えています。
「ですよね。ファッションとメイクとヘアは三位一体ですから。ファッションの延長ですよ、ヘアは。ガチッと作り込み過ぎたものって僕は苦手なんです(笑)。やはり、なびくようなヘアラインが肝で、結果、しぐさがグッと増すのが理想ですね」
――小林さんがおっしゃる“なびくようなヘアライン”とは?
「ポイントとなるのは顔周りですね。ここの作り方で女っぽさって出てきますから。これはサロンワークでも応用できるから、お客さんにも提案したりしますよ。ヘアメイクの仕事が生かされている瞬間ですよね。だから2本柱で仕事するのが面白いですよ」
――ファッションページの一コマを日常に纏うような感じですね。素敵です♡
「僕はヘアメイクの仕事においても、ヘアの役割って重要だと思っています。
だって、デジタル化が進むこのご時世、メイクの仕上がりって後処理(レタッチ)ですごく綺麗になる反面、アーティストの意思が反映されていない方向にも行ってしまう。寂しいことだけど… だけど、ヘアはそうはいかない。あの質感とか毛髪1本1本の毛流れ、フォルムなど、デジタルで作るのは至難だから。やはりこの分野は手作業なんですよ。美容師だけがなせる業」
ヘアの仕事はどんなにデジタル化が進んでもなくならない
――今の社会では20年後に消滅する職業はたくさんあると予測されていますが、今のお話しからすると、美容師さんは生き残りますね。未来がある!
「だから雑誌や広告など、クリエイティブな分野にもどんどん美容師さんが出て欲しい。だって今は本当にスキルの高い美容師さんがたくさんいますから。
パリやロンドン、ニューヨークもそうだけど、ファッション誌の現場にはヘアとメイクが別々に存在しますよね。ヘアがきちんと創れるということでキャスティングされるわけです。日本もそれがスタンダードになればいいなぁと思いますね」
――小林さんがサロンワークで他に心がけていることはありますか?
「サロンワークでもスタイリング剤をあまり使用しないこと。再現性にこだわっていることも関係しているんです。家でできなければ意味がないじゃないですか。素髪でも美しく決まる、ニュアンスが出る様にしています。最初に言いましたが撮影現場でも同じで、スプレーなどで固めないように心がけています。まあ、時と場合によりますが…」
まとうようにまとめることで仕草が女っぽくなる
――撮影の現場ではヘアアレンジもされると思うのですが、ファッションとまとめ髪のバランスを美しく見せるコツはありますか?
「もともとフィックスすることが好きじゃないんです。ニュアンスが大事。僕としては“まとうようにまとめる”がテーマというか。簡単に言うと無造作感を大事にしています。とはいえ、動作を不自然にしたくないから、無理にヘアアレンジはしませんし。アドバイスできるとすれば、服の襟を見て顔と体のバランスを整えることが大切ですね」
――小林さんのメイクボックスはベージュのバリエーションが実に豊かですね。大人の雑誌を多く手掛けているだけありますね。
「大人の女性のヘアメイクに関しては、特にブラウンとグレーのカラーを軸に考えています」
――最近は絶妙な色味のものがたくさん出ていて、ブラウンを選ぶにもどれをチョイスすればいいのかわからない。選ぶときのポイントはありますか?
「基本的にはブラウンはやや赤みのあるものを、グレーはやや青みがあるものをチョイスするといいですね」
――いいこと聞いた(笑)。参考にさせていただきます!
これからもヘアメイク業とサロンワークを両立させていくと話す小林さん。美容業界で働きたい人は、この2つの仕事を別々で考えなければいけないと思う人も多いのですが、長年に渡り2つの仕事を上手にこなす方がいることは、仕事の可能性を広げるきっかけになります。ぜひ、参考にしてみて下さい。
取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三
Salon Data
glams(グラムス)
「過ごしやすく・疲れにくく・再現しやすい」。
そんなひとりひとりにフィットしたデザインを提案してくれるglams。ヘア&メイクアップアーティストとして長年活躍するオーナーの小林さんの顧客にはトップモデルや女優も多く、
ファッション誌さながらのラフで女っぽい今どきスタイルに仕上げてくれる。普通のサロンでは物足りないなんて人でも、きっと心から満足できるデザインに巡り合えるはず。
美容師とヘアメイクの両立について ヘア&メイクglams・小林懸さん #1>>