西原 良子 interview＃2：前向きに伝えることで、道は拓ける

パーティーへの出席や大切な人に会う前など、女性は限られた時間の中でメイクを直さなくてはいけません。“誰かに手早くきれいにやって欲しい”そう思う女性は多いはず。
『アトリエはるか』は、そんなニーズに応えるお店です。2001年に名古屋にオープン以降、銀座をはじめに次々と新店をオープン。20分で仕上げるクイックヘアメイクが女性の支持を集めています。
創業者は、西原良子さん。もともとは、合コンにあけくれるOLだったというから驚きです。今回は、オープン当初のお客さまの反応や、東京に出店するに至った経緯について語っていただきました。

オープン1ヵ月でいつも満員状態に

――オープン直後のお客さまの反応を教えてください。
「初日は友達がお客さまとして来てくれたのですが、2日目の来店は2人だけでした。さすがに危ないと思い、毎朝ビラ配りをしましたね。その成果もあってか、徐々にお客さまが増え始めたんです。運がよかった点は、当時のセントラルパークの地下街が、地上よりも人通りが多かったことです。メニューを貼っておくと興味を持ってくれるお客さまが結構いて、その人たちに“一度体験してください”と案内し続けました。そしたら、あれよあれよと言う間にお客さまが増えていきましたね」

――どんなお客さまが多かったのでしょうか？
「お店が繁華街に近かったので、そこで働く女性が毎日来てくれましたね。“価格が安い”とよろこんでくれて、そのおかげもあり気がついたらオープン１ヵ月ほどでお店は常に満員状態でした。創業当時のメニューは今とまったく同じです。スタッフにとって、それまで１時間かけていたヘアメイクを10分、20分という時間単位でするのは至難の業でしたが、どうすれば20分でできるかを一生懸命考えてくれましたよ」

やりたいことは人に伝える

――オープンから半年後に早くも銀座に出店していますが、きっかけはなんでしたか？
「そもそも2店舗目なんてまったく考えてなかったんです。オープン１ヵ月後に、私たちが入っていた地下街のなかに大手アパレル会社がショップを出店して、そのお店から“私たちのショップで3万円以上お買い上げの方にヘアメイクサービスをやってみてはどうですか”と提案がありました。集客のためにやってみると、そのショップの部長さんが私たちの様子を目にとめてくれて、本社の部長会で『アトリエはるか』を紹介してくれたんです。そしたら、このビジネスはおもしろいから話を聞きたいと言ってくださり、事業内容を説明するために日本橋の会社にうかがいました。そこで、“銀座に300坪くらいの店舗を作る予定だから、その一角にお店の目玉として構えないか”とお話しをいただき、銀座への出店が実現したんです。その後も、銀座と同じ形態で池袋、渋谷など次々に大きな街に出店することができ、私たちだけで独自に『アトリエはるか ルミネ新宿店』をオープンしたのが2004年の8月です」

――銀座に出店し、どんな反響がありましたか？
「東京にお店ができたおかげで雑誌から取材を受け、ドラマの撮影に使われ、さらには少女漫画の舞台にもなりました。その漫画を読んだことがきっかけで入社したスタッフもいるんです」

女性の社会進出にマッチした事業形態

――『アトリエはるか』がお客さまに受け入れられた理由はなんだと思いますか？
「時間に追われながら生活する女性が増えているからかもしれません。女性は平均してメイクに20分、髪の毛のセットを合わせたら30分もかけています。この時間さえなければ、朝ご飯を食べることも、寝ていることできる。私たちがメイクをさせてもらえている事情のなかに、きれいになりたいという点もありますが、面倒くさいからという方も多くいます。さらに時代背景として、女性が社会進出をし、自分に使えるお金が増えたこともポイントかもしれませんね。最初はまったくこんなことは考えていませんでしたが（笑）」

やりたいことは人には話すのがいいと語る西原さん。「自分の能力は限られていて、自分のなかで思っていても叶わない。やりたいという前向きな気持ちがあれば助けてくれる人が出てきます。伝えれられるだけ人に伝えると、ありがたいことにいいお話をくれる人が巡り巡って来るのではないかと思いますね」とのこと。
後編は、運営するなかで見えてきた働く女性の大変さや今後の目標をうかがいました。

Profile

西原良子さん

株式会社アトリエはるか 取締役副社長
1975年愛知県生まれ。女子大学を卒業後、地元テレビ局に就職。2年で退職し、2000年にアトリエはるか創業。全国主要都市での約60店舗の美容サロン運営のほか、関連事業へも進出。