知っておきたい『確定拠出年金』考えておきたいお金の貯め方 #3

サロンオープン、独立を考えている方もいらっしゃると思います。今後、どうやってお金を貯めたらいいのか、資金づくりは大切ですね。そこで開業に向けた、上手なお金の運用の仕方をファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに、伺いました。

ファイナンシャルプランナに相談!

お金の貯め方

――お金の運用という面で、お勧めの金融商品はありますか。
「個人型確定拠出年金(イデコ)をご存じでしょうか。自営業や会社員の方が節税しながら自分年金が作れる、国が作ったお得な貯蓄の仕組みです」

――積み立ては最低どのくらいからですか。
「イデコの場合は最低5000円から、1000円刻みで23000円まで金額を設定することができます。掛け金の上限は立場によってことなりますが、年に1度見直しをすることもできるので、20代の方なら無理のない金額設定にするといいと思います。若干の手数料が発生するので、できれば最低でも10000万円から始めるとメリットが大きいと思います」

――どこに相談すればよいのでしょうか。<
「イデコは金融機関の窓口で直接相談はできないのでファイナンシャルプランナーへ相談するのが良いでしょう。以前は自営業者と会社員に限られていましたが、2017年からは公務員と専業主婦の方も利用できるようになりました。ただし、それぞれの金融機関で手数料が異なるという落とし穴がありますので、注意してくださいね」

――具体的にはどの金融機関がいいでしょうか。<
「SBI証券、楽天証券、マネックス証券などネット証券は手数料が安いプランを用意しているのでお勧めです。また、お任せで資産運用をしてもらえる“バランスファンド”といった仕組みもあります。これから運用を勉強したい方や運用が苦手な方でも安心して始めることができます」

導入する価値あり!中途退職も防げる

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――ほかにはありますか。
「楽天証券内のセゾン投信の“バンガードグローバルバランスファンド”という投資信託商品も分かりやすいと評判です。この投資信託1本で世界中に投資ができるので、とても興味が湧きますね。つまり世界の経済成長に乗っかりながら、自分の資産形成ができるので個人的にもお勧めです。世界経済を知るということは自分にプラスになる面も多いので、勉強して効率的な、お金の増やし方を覚えて、60歳になった時に自分のやりたいこと、例えば開業や起業するなどに使えばいいのではないでしょうか」

――60歳で起業するのは少し勇気がいりませんか。
「大丈夫ですよ。日本人の平均寿命は延びていますし、90歳まで30年あると思えば60歳から何かを始めることは決して遅くはないです。年金は65歳からしかもらえないので、60歳からの5年間どうやって生活していくのか、前向きにとらえることも大切です」

――民間の保険商品はいかがでしょうか。
「独立や起業をしてひとりの場合でも会社員と同様に社会保険の仕組みを作ることができます。けれど結局は保険料が発生しますね。足りない部分を補う保険に加入するのもいいですが、国が運営している保険が安くつく場合もあります。限りあるお金を効率よく使う方法を勉強することも大切です」

――やはりイデコがお勧めですか。
「さらにいえばイデコは個人向けですが、経営者が社員のために企業型確定拠出年金(法人のイデコ)で退職金として積み立ててあげることも可能です。“ひとつのサロンで長く勤め続ける魅力”を福利厚生でかえしてあげることで、すぐ辞めてしまう人も減っていくと思います。今では企業のほとんどがイデコを導入しているので、美容業界でも取り入れる価値は十分あるはずです」

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Profile

山中さん

山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、確定拠出年金アドバイザー。株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役。
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。著書は『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など。
アセット・アドバンテージhttp://asset-advantage.com/

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