事柄を集め、清澄白河で愛されるサロンに『coto』

コーヒーとアートの街、清澄白河。歴史あるお寺や古くからの工場などもあり、過去と未来が交錯する街に、人気が集まっています。その清澄白河に2016年オープンしたのが、以前同じサロンで働いていた河本さん、榮さん、宮崎さんの3人によって作られた『coto』。コンセプトになっている『事柄を集める』という一見聞きなれない言葉には、美容を愛する3人の深い思いが込められていました。まずオープンのきっかけについて河本拓磨さんにお伺いしました。

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17年のキャリアを1年目に戻して挑みたかった

――3人でサロンをオープンさせたきっかけについて教えてください。
「元々僕たちは、表参道のとあるサロンに2000年に入社した同期なんです。その後4年ほどで宮崎は別の美容室に移ったのですが、美容師って休みがほとんど同じなので街でたまたま会うことが多かったんです。僕と榮はそのままお店に残り、店長、ディレクターにまでなりました。ずっと仲はよかったんですが、いつか一緒に組んで独立しようと決めていたわけではないんです。僕自身が店長として、売上面、教育面においてたくさんのことを経験させていただいた状態で17年目を迎えていたのですが、それを1年目に戻して一から始めたいという思いがあり、同じような気持ちの人がいたら一緒に組みたいと思っていたんですね。シャンプーも会計も掃除もやるようなプレーヤーに戻りたい人がいたら組みたいと。そうしたら、たまたまそういう思いの人間がこんなに近くに2人いて。それで3人でやろうということになりました」

――それぞれの分担はあるのでしょうか?
「僕が資産担当、榮が造作担当、宮崎が集客担当です。分担したほうが集中できますし、細部まで行き届き、結果が出ると思ったからです」

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心があること、『事柄』を集める

次にサロンのコンセプトについて榮義幸さんにお伺いしました。

――お店のコンセプトについて教えてください。
「店名が『coto』、社名が『株式会社cotoatume』というのですが、“1人ひとりがさまざまな事柄を集める”という意味を込めており、これがサロンのコンセプトになっています。事柄を集めるというのは、たとえば今日こうやって取材をお受けしていますが、それにあたりどんなことができるだろう?どうすれば話しやすくなるかな?と考えて準備することです。心があることを事柄とよんでいます。物が落ちることも、もちろん一般的な意味では事柄だと思うのですが、このお店で言っている事柄とは、物が落ちて、人に危険が及ばないようにするためにはどうしたらいいか考えて行動することです。危険が及ばないようにとか、喜んでもらえるように対応すること。それを見つけるのではなく集めるんです。拾おう、探そう、すくおうというイメージです。この3人で組んだ理由のひとつは、事柄集めができることが大きかったと思っています」

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――清澄白河に出店した理由は?
「表参道、吉祥寺、目黒でそれぞれ働いていたのですが、また一からという思いを込め、それぞれが働いていた場所から離れた場所がいいだろうということで、いろんな候補地があがりました。そのなかでいい土地があればすぐにでも始めようと。この場所をみたときにいいなと思ったのは、道路から距離があり開放感があり、公園が横にあって緑も多かったからです。僕たちは元々、表参道の一等地で働いていましたが、一等地っていろいろな意味があると思うんですね。駅から近い、アクセスのよさも一等地ですが、環境がいいのも一等地ですよね。僕たちの新しい価値観の一等地だったので、お店を出すのにふさわしいと思ったんです」

――内装のこだわりはどんな部分でしょうか?
「こだわりというのとは少し違うのですが、清澄白河にとってどういったお店が似合うかということから内装を考えました。どんな店構えならこの前を通ったときにお客さんが気になるかなということですね。主張の強いデザインにはせず、清澄白河の持つ優しさ、和やかさなどを意識しました。あとは、このサロンのなかで使っているものはほとんどが地元のお店から仕入れさせてもらいました。たとえば、今目の前にあるこの机は地元の鉄工場にオーダーして作っていただいたんです。あえて地元で長く産業を支えていただいている方にご協力いただくことによって、直接の関わりがほとんどない業種の方々にも、あそこにああいうお店ができた、と知ってもらうことができます。僕たちもお客さまと話すときに、実はこの机は…と話すことができて、つながりが広がっていきます。ドアノブ、植物などもほとんどが清澄白河のお店から仕入れさせてもらっています。このランプは内装の一部を助けてくれた門前仲町のデザイン事務所兼複合施設YANEさんにいただいたオリジナル照明です。YANEさんはオープン時の撮影にも快く協力していただいたり、清澄白河の集まりにも誘っていただいています。そういった形でなるべく地元の方と一緒にこのお店を作り上げたいと思っていました」

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――地元の方とのつながりを大切にされているんですね。
「住んでいる方には、清澄のよさを再発見してもらいたいですし、僕たちのために、遠方から清澄白河に来てくださる方にも清澄白河を好きになってほしいという思いがありますね。やはり人ありきの仕事ですし、清澄白河から人情というものを学ばせてもらっています」

後編では『coto』で行っている、ミーティングを一切せずに自発性の高い人材を育てるという取り組みについてお伺いします。

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住所:〒135-0023 東京都江東区平野3-3-1
TEL:03-5639-2079
http://coto-hair.tokyo/

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