美容師として活躍するために重要なのは、夢を見ることよりも「できない自分」と向き合うこと「gite 渋谷店」 YUTAさん
渋谷、横浜、福岡に4店舗を展開する「gite」。オーナーを務める浜口ユウイチさんは縮毛矯正の技術講師としても活躍しており、高い技術を誇るサロンです。
その渋谷店に新卒採用で入社し、現在5年目となるのがYUTAさん。前編では美容師を目指したきっかけや、美容学生時代の体験、就活について伺いました。
後編では「gite」への就職体験と、就職後に感じたことを伺います。面接では焦ったこともあったそうですが、採用試験は比較的スムーズに乗り越えることができたというYUTAさん。
しかし入社後は人見知りの性格からお客様との会話がスムーズにできなかったり、仕事に対する姿勢をオーナーから怒られることも多かったといいます。ただその日々を振り返ってみると、必要なプロセスだったと感じているそうです。
今回、お話を伺ったのは…
「gite 渋谷店」/スタイリスト
YUTAさん

高校時代にヘアセットをすることにのめり込み、美容師になることを決意。美容専門学校卒業後の2021年4月、「gite」に新卒入社。2023年にスタイリストデビューを果たし、現在は渋谷と横浜の2店舗で活躍。ダメージのある髪に対して丁寧なカウンセリングを行い、最適なメニューで髪質改善を行うことに定評がある。
面接時は「答える」だけでなく「聞く」姿勢もアピール

――「gite」に応募した際の採用試験の流れを教えてください。
サロン見学後、書類選考、面接という流れでした。
――サロン見学のときには、どんなことを感じられましたか。
縮毛矯正や髪質改善に力を入れているサロンだということ、オーナーが技術講師としても活躍されているということを知ったので、こういった技術が身につきやすいという点が好印象でした。縮毛矯正は施術の単価も高くなりますし、美容師として活躍するためにはこのサロンに所属することがプラスになるのではないかと思ったんです。
見学時はとにかく緊張してしまっていたので、あまりこちらから質問したりはできませんでした。こちらがきちんと聞いているという熱意を示すためにも、説明された内容はメモにとるようにしていました。
――面接前にどのような準備をしましたか。
質問を予想してあらかじめ回答を用意していくと、緊張して記憶が飛んでしまったときに焦ると思ったので、回答をすべて暗記したりはしませんでした。また嘘をついても絶対に見抜かれると思っていたので、自分が経験したこと、思っていることを素直に話そうと決めていました。
また面接時には質問に答えるだけでなく、話しを聞く姿勢も見られていると思ったので、座り方がだらしなくならないように注意し、きちんと話しを聞こうという意識も持っていました。
――面接で印象的だったことはありますか。
「gite」の現在の代表であるカワムラから「学校内での人間関係は?」「高校時代にすぐに野球部を辞めた理由は?」と少し答えにくい質問について聞かれたことです。先ほどお話ししたように素直に話すと決めていましたが、それぞれ事細かに説明していくにつれて、「この子は大丈夫なのか?」というような雰囲気になってしまって(笑)。かなり焦ったことが印象深いです。
それでも無事に内定の連絡をもらったときは、卒業間近のギリギリの就職活動だったため安心しました。
人見知りの性格で会話に苦戦。「お客様のため」という目線で、苦手を克服

――入社後はどんなことを感じましたか。
憧れてきた仕事だったので、「これが美容師の仕事か」と感慨深く感じました。お客様と先輩スタイリストのやりとりを間近で見て、自分もいずれはこういうことをやっていくんだと高揚感を覚えると同時に、自分にも務まるのかという不安も抱えていました。
――入社後、大変だと感じたことはありましたか。
僕が人見知りな性格のため、最初の2、3年はお客様とスムーズに話すことができなくて。先輩たちからも「お客様ともっとしゃべった方がいい」と怒られていたのですが、それでも話すことができなくて困っていました。
――それはどのようにして乗り越えたのでしょうか。
会話をすることはお客様の情報を知るためにもとても重要なことだと思えるようになってからは、徐々に話せるようになっていきました。
とくにスタイリストとなってからは、お客様に満足していただくスタイルを提供しなければならず、そのためにはお客様の情報が欠かせません。カウンセリングの時間もとっていますが、その時間だけですべての情報を引き出すのは難しいので、施術の時間にもどのようなスタイルがいいのか細かく確認し、何気ない会話を通してお客様の好みや普段の生活スタイルについても伺うようにしています。
またお客様自身も美容室に来ることに緊張している方が少なくないと思います。そういった方はご自身から話すことはできませんし、沈黙した空気のなかでは気まずく感じる方もいると思うので、スタイリストができるおもてなしとしても会話はとても重要だと感じました。
――会話に対する考え方を変えることで、乗り越えることができたのですね。
そうですね。あとは美容師を続けていくうちに、自然とお客様と仲よくなりたいという気持ちが生まれてきて、それが会話をスムーズにしてくれた部分もあったと思います。今でも普段の生活のなかでは人見知りを発動することがよくありますが、お客様の前では克服できたのではないかと思っています。
大切なのはできないことを認めて、ステップアップしていく意識

――美容師の仕事にやりがいを感じる瞬間は?
このサロンでは髪質に悩むお客様が多くご来店されるので、そういった方に喜んでいただけた瞬間にやりがいを感じます。仕上がりを鏡で確認するお客様のうれしそうな表情を、間近で見られるのが美容師の特権ではないかと。
そして髪質が改善されたことで人生に前向きになれた、周りから褒められたと言っていただいたときには、とくにうれしいですね。縮毛矯正はとくにビフォーアフターが分かりやすい施術ですし、自分が身につけた技術でこんなにも喜んでいただけるということにやりがいを感じます。
――最後にこれから美容師を目指す方にアドバイスをお願いします。
美容師として活躍するためにはキラキラした世界を夢見ることよりも、自分の至らなさを認めることが何より大切だと思っています。すべての人がそうだというわけではないと思いますが、僕の同期では美容師に大きな夢を見ていた人ほど、途中で挫折しているケースが多いんです。美容師の世界は外から見るととてもキラキラして見えますが、その過程では地道に努力をする期間が絶対に必要です。夢を見ることももちろん大切ですが、すぐに活躍できるわけではないということは、心に留めておくといいかもしれません。
とくにサロンに入りたてのころは、何もできない自分に無力感を覚え、夢見ていた世界と現実のギャップを感じる人が多いと思います。でもその何もできない自分を認めることが、活躍できる美容師への第一歩だと感じます。
――確かにそうかもしれませんね。
入社後は大変なこともあるかもしれませんが、それは長い目で見れば決してマイナスではありません。僕はサロンに入社したてのころ、とにかくオーナーに怒られてばかりで、悔しくて泣いたことがよくありました。心が完全に折れている時期もあったと思います。
でも今後輩を持つようになって思うのは、人を怒るというのは実はとても大変なことで。そうやって指導してくれたオーナーや先輩たちのおかげで今があると思っています。続けていけば絶対に成長ができると思うので、周囲の声に耳を傾けて、自分を信じて進んでいってください。
YUTAさんが理想の就職先に出合えた、3つの理由
1.サロン選びでは自分が優先すべきポイントを明確にした
2.面接時は自分のことを包み隠さず素直に話した
3.美容師の仕事に夢を見すぎず、「できない自分」としっかり向き合った
これまでの経験を包み隠さず、率直に話してくれたYUTAさん。美容師の仕事に就くか悩んだ時期もあったとのことでしたが、今は努力したことが自分に返ってくる美容師という仕事を選んでよかったと感じているそうです。これから美容師を目指す人はぜひ参考にしてみてくださいね。
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