茂木賢太 interview #3:お客さまを楽しませるためにできること
“オタクのオタクによるオタクの為の美容室”を目指し、2016年に秋葉原でオープンした『OFF-KAi!!』。店内には、2000冊の漫画が並び、3000曲のアニメソングが次々にかかり、スクリーンには可愛いらしいキャラクターの映像が流れます。
そんな個性的なサロンのオーナーは、自身もオタクだと語る美容師の茂木賢太さん。いったいどのように、オタクにウケる美容室『OFF-KAi!!』を作りあげたのでしょうか?後編の今回は、実際にお店をオープンしてからの日々や、これからの目標を伺いました。
個性的なスタッフとともに
――迎えたオープン初日は、どんな心境でしたか?
「カットする場所が変わっただけだと思いましたね(笑)。来てくれたお客さまのほとんどが、それまで働いていた美容室で僕が担当していた方たちだったので」
――なるほど、オープン当時のスタッフは何名でしたか?
「オープン当時は、僕含め3人でした。最近1人増えたので、今は4人です。スタッフ
は、もちろん全員オタクです。声優や格闘系のゲーム好きや、アニメやスマホのゲームが好きなスタッフ、コスプレイヤーの女性もいます。それぞれの趣味がかぶっていないので、ある意味バランスがとれています(笑)」
今シーズンのアニメ表がカットメニューの横に!
――お客さまに喜んでもらうために、工夫されている点はありますか?
「カット台の上に、テレビで放送されている今期のアニメの一覧表を用意しています。だいたい50本くらいのアニメ番組が書いてあり、表を見ながら会話をしていると、あっという間にカットの時間が終わるんです。ちなみに僕は、この表のアニメを8割は観ていますね」
――美容室自体が初めてというお客さまも多くいらっしゃいますか?
「それほど多くはないですね。全体の5パーセントくらいだと思います。美容室が初めてという方は、やはり来店直後は緊張しているように見えますが、趣味の話をするとすぐに打ち解け、リラックスしてもらえていますね。帰るときには“また来ます”と笑顔で言ってくれるんです」
スタッフが働きやすい環境を目指して
――近いうちに、形にしようと考えている計画はありますか?
「池袋に2号店を出そうと考えています。早ければ今年の8月か9月、遅くとも来年の3月には出せるように動いています。池袋への出店を考えている理由は、アニメグッズ専門店やゲームセンターが多いからです。また、最近女性向けのオタクショップが軒を連ねる乙女ロードというエリアが賑わいを見せています。女性がサロンに足を運んでくれるのではと思っています。秋葉原にある『OFF-KAi!!』の客層は7割が男性なので、池袋店と合同でイベントを開きオタク同士の男女が交流できる機会を作れたらおもしろいなと」
――最後に、将来の目標を教えてください。
「定年まで働ける会社を作りたいですね。美容業界は、古くからずっと続いているにもかかわらず、60歳、70歳まで美容室で働いてる人はほとんどいません。途中で別の職業に就く方が多いのが現状です。理由としては、長く働いても給料が上がらず、稼ぐためには独立するしかないから。経営を教わる機会がほとんどないのに、そのような状況になっているんです。僕は、お店の宣伝の仕方など、もっと経営を工夫すれば、より多くの賃金をスタッフに還元できると思っています。簡単ではないと思いますが、スタッフと長く働き続けることができる美容室を作りたいですね」
仕事が終わると、夜遅くまでアニメを観るという茂木さん。奥さんには「これも仕事のうちだから」と伝え許してもらっているのだとか。
オーナーをはじめ、スタッフたちの好きなものが詰め込まれた、魅力的な美容室『OFF KAi!!』。オタクの人はもちろん、そうでない人も、ぜひ一度訪れてみてください。
Profile
茂木賢太さん
OFF-KAi!!オーナー兼スタイリスト
『東京マックス美容専門学校』を卒業後、自由ヶ丘のサロンで勤務。その後、フリーランスの美容師を経て、2012年より秋葉原のサロンで働く。2016年の10月、『オタクのオタクによるオタクの為の美容室 OFF-KAi!!』をオープン。
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