開店以来14年を経て繋がりは世代を超える『mono.hair』
アートギャラリーとしても機能し、そのアートを通じて人と人、人とモノを繋ぐというヘアサロン「mono.hair」。この後編では、内装に関するこだわり、施術メニューの特徴、そしてスタッフの育て方について、オーナーの永井章宣さんに語って頂きました。
作品の邪魔をしないシンプル空間
――内装はシンプルに仕上げられていますが、内装に込めた思いとはどのようなものでしょうか。
「このサロンはギャラリーとしても利用してもらっているため、店内の空間はいたってシンプルにしています。店内の壁面にあるイラストは、双子のイラストレーター、ヒップボーンツインさんに描いて頂いていますが、このような作品も、内装自体のアピールが強いとぶつかってしまいますから。それに、長時間ここにおられるお客様もおられますから、常にリラックスしていただけるようなインテリアにはしています。僕自身も、明るくて白くて…というのは嫌いですし。ちなみに、お客様に出しているコーヒーカップも、仲良くさせて頂いている沖縄の陶芸作家さんのものです」
お客様とは家族ぐるみの付き合い
――店を利用されるお客様はどのような方が多いのでしょうか。
「メインの世代は20代後半から30代前半で、やはり周辺のオフィスで働いておられる方が多いです。でももう開店して14年経っていますから、お客様の娘さんも来てくれたりします。娘さんから入試の話や彼氏の話などをされると、なんだか不思議な気分になりますね。お母さまのこともよく知っているので。さらに撮影会をやってからは、家族ぐるみで来店され、みなさん施術後に撮影するということも多くなりました。でもそうやってご家族の人生に触れることができるのは嬉しいことです」
スタッフごとに得意分野が
――施術における特徴とはどのようなものでしょうか。
「まずはカウンセリング。お客様も何か思いがあって店に来られているのですが、どんな髪型よいかというポイントはお客さん自身も分かっておられない場合もあるので、その思いをしっかりお聞きして髪型を提案させていただきます。この店は特に何かの施術に特化した店ではありませんが、僕自身はカットが好きです。この店は僕を含めて3名のスタッフがいますが、スタッフの森もカットが好きですね。僕とは微妙にスタイルに違いがありますが。同じくスタッフの中川は、セットやカラーを得意としています。それぞれに得意分野がある感じです。オリジナルのシャンプーも作っていて、お客さんには低価格でお売りしています。やはり市販のシャンプーを使われている方が多いのですが、髪のコンディションが整っていないとできない施術もありますから。そういう意味でもトリートメントはおすすめしていますね」
まずは自身の目標を掲げて
――スタッフの育成において大事にされていることは何でしょうか。
「今、スタッフ全員スタイリストなので、自分たちがやりたいことを各自でやっていくというスタイルです。新しいスタイリストさんが入られたとしても、出来る限りやりたいことをやれる環境を作ってバックアップしたいと思っています。僕自身が前の店でやりたいことがやれなかったので。アシスタントとして入られる人には、やはりカリキュラムを組んでのレッスンからとなります。しかしその前に、自分がどんな美容師になりたいのか、どんな仕事がしたいのかという目標をしっかり掲げてもらって、そのために必要なレッスンを基礎から一緒に勉強していく形になります。福利厚生においても考慮していて、社員旅行は毎年行きます。基本的にどこに行くかは私以外のスタッフで決めていて、ここ2~3年は沖縄です。でも一度だけ僕のおじいちゃんのお墓参りのために、強引に鎌倉に決めたことはありますけどね(笑)」
人と人、人とモノを繋げるサロンを超えたアート空間『mono.hair』>>