夫婦で営む人気のサロン世界的に注目される技法も『accueil』
東京･原宿で芸能人のヘアメイクも担当していた森貞健悟さんが上本町に店をかまえて17年。この｢accueil(アクーユ)｣は現在､夫婦2人で営んでいます。アットホームな雰囲気ながらも､ニューヨークでも注目を集めるスペシャルなカット技法があり､またお客様が快適に施術を受けられるような設備も充実。海外からもお客様がこられるほど､根強い人気を得ている店です。この店の人気の秘密を､オーナーの森貞さんに伺いました。
家内の後押しが決め手に
――17年前、この店をオープンされたキッカケはどのようなものだったのですか。
「美容学校を卒業してからは、大阪の高石市で1年間働いた後､東京の原宿で10年間働いていました。その後大阪に戻ってきたのですが、その時点でもう32歳ぐらいでしたし､再就職するには年齢が高い。この仕事を辞めるか､独立するかという選択肢しかありませんでした。しかしその時点で独立のための資金も用意できていませんでしたし､一時はマグロ漁船に乗ることまで考えました(笑)。最終的に独立を決意したのは､家内の後押し。家内は､私が東京で芸能人のヘアメイクも担当していたこともあり､私が美容師として独立できるだけの腕があると信じてくれていました。この店は環境的にも大変良く､テナント募集されたと同時に大家と交渉して押さえてくれたのも家内です。何とか資金を借りる手立ても立って、オープンすることができましたね」
お客様の最後の美容師になりたい
――オープン当初、自分の店はどんな店にしたいと思われていたのですか？
「原宿でスタイリストをしていた時は、お客様は若い層が多かったため､ずっと長く付き合っていくということは少なかったのです。でも自分の店では､お客様と家族ぐるみで付き合える店にしたい、『あなたの最後の美容師になりたい』と思いました。実際、この店を始めて17年になりますし､お客様も3世代でお付き合いしています。お客様の子どもだった方が大きくなって社会に出て､そのお子さんも来られています。お客様同士で仲良くなられる方もおられます。ありがたいことに結婚式に呼んでくださる方もいて､本当にうれしく思いますね。ただ、そうなると､古くからのお客様にはご高齢の方も出てくる。ご高齢のお客様は､カットのイスからシャンプー台までの移動も大変なのです。そこで､カットのイス全体がスライドしてシャンプー台に移動できる設備にしました。実はこの設備、私たちスタッフにとっても非常に助かるものなのです。お客様を支えてシャンプー台へと移動することは腰への負担が大きいですから。今後は、ご高齢のお客様のために､訪問美容もやっていきたいと思っています」
幅広い客層、海外からも
――客層はかなり幅広いようですが、メインとなるお客様はどのような方でしょうか。
「メインは30代後半から40代ということにはなります。このあたりは賃貸ではなく分譲のマンションが多いこともあり､何かしら社会的地位を自ら築いておられる方が多い感触です。でもウチの店は本当に客層がバラバラ。親世代も子供世代も来ますし、店内の雰囲気もユニセックスだからか男性もよく来られる。ステップボーンカットという特殊なカット技法をしていることを聞きつけて海外から来られる方もおられます」
夫婦ならではのアットホームな雰囲気のなか、さまざまなお客様と強い関係性を作っておられる森貞さんご夫妻。後編では、ニューヨークでも注目されているステップボーンカットという特殊な技法について、さらにスタッフの育成についても語っていただきます。
NYでも注目の技法！スタッフにも伝えたい『accueil』>>
