アッシュカラーで知られる十三の隠れ家的ヘアサロン『SPOON』
十三の路地を入った3階にある、隠れ家的な雰囲気のヘアサロン「SPOON」。部屋に入ると、スターウォーズのR2D2がピコピコと話しかけてくれるこの店は、肩ひじ張らないオープンな印象。一般の女性客以外にも家族や子連れで訪れる客も多いアットホームは雰囲気です。内装もユニセックスなスタイルで、いわゆる美容院嫌いなメンズも訪れることから男性も4割いるとのこと。オーナーの杉山奨吾さんに、この店の魅力を語ってもらいました。
自分のやり方で育成したい
――この店を立ち上げられる前は、どのような店で働いておられたのですか?
「学校を出てからはいくつかの店で働きましたが、一番印象的なのは広島のサロンですね。ここは独特のスタイルで、スタイリストたちが自分でお客さんを捕まえてきて、値段も自分で決めていました。自分が提供できるサービスの質が低かったり、メニューの幅が狭かったりしたら、安い値段で話をするしかないのです。つまりそれは常に“自分がどれほどのものか”を意識するということです。パーマをお勧めしたければ、その分パーマを勉強しなければならないのです。僕の最初のお客様は1700円。薬剤費などを引いた純粋な施術料でいえば700円でした(笑)。だから例えばカットで4000円頂くということは本当に大変で、それ相応の技術と知識がなければならないということを痛感しました」
――独立を決意したきっかけは何でしょうか。
「その後大阪のサロンでも働いて教育係もしていたのですが、カリキュラムも古いし、この店では若いスタッフが育たないと思いました。一人一人が自分で考えて働く、そんなスタッフを育てたいと考えて、独立しようと決意しました。現在、オープンして2年半というところです。やっぱり地域密着でやっていこうと思っていましたので、サロン情報サイトへの掲載も最初の半年ぐらいでやめて、あとはホームページとチラシのポスティングだけですが、現在は十三のサロンで検索したら上位に入るようになりました」
営業時間後の施術もOK
――この「SPOON」という店の特色をお教えください。
「このSPOONという店名は、料理でいえばたったスプーン一杯にもこだわって、お客様の理想を叶えるヘアサロンでありたい、という思いから名付けました。また、お客様はもちろんスタッフも含めて、人の気持ちを掬いあげる、という意味も込めています。ビルの3階にある隠れ家的なサロンなのですが、木目がベースで大きな窓から十三の街並が眺められる、開放的で居心地の良いスペースになっていると思います」
――営業時間に関しても特色があるようですね。
「この店の閉店時間は19時なのですが、事前に連絡をもらいさえすれば、19時以降も利用していただくことができます。21時とかでもかまわいません。十三というのは複数の路線が入っているターミナル駅なので、ここからいろんな町に帰られる人がいます。せっかくそういった方々が利用しやすい立地にあるので、営業時間も融通を効かせることで少しでも多くこの店を利用してくだされば、と思っています」
アッシュ系カラーへの研究心
――施術における特徴はどのようなものでしょうか。
「やっぱりカラーデザインしょうかね。特にアッシュカラーは、今でこそ薬剤が改良されてキレイに出るし、まあ簡単な施術になったのですけれども、ひと昔前はアッシュがなかなか出にくい時代でした。その時代から、この店はアッシュカラーをキレイに出すことを特色としてきました。当時は薬剤のことをよく理解していないとキレイに出なかったのです。その流れで、カラーの薬剤に対する知識は高いと思います。スタッフも、新しい薬剤が出たらすぐスタッフ自身やウィッグなどで試してみて研究していますし。そういう新しい薬剤に興味があるお客様の場合は、説明したうえで使ってみることもあります。ともかく、スタッフたちは、新しい薬剤が入れば、ブリーチで抜いて上から塗ってみてどんな感じになるのか、ということを何かしらの形でずっとやってますね(笑)」
ひとことでいえばオープンで自由な空気が漂う「SPOON」。スタッフが活き活きと働き、得意とするアッシュ系カラーについては高い知識と技術を持っています。後編では、カットにおける特殊技法“リセッターカット”について、そしてスタッフの育成についてのお話をおうかがいします。
根元の絡みを解消する特殊技法“リセッター”『SPOON』>>