“本当の美しさとは何か”を教えてくれるサロン『TWIGGY.』
日本の流行の発信地とも言える青山・キラー通りから少し入った場所にある『TWIGGY.(ツイギー)』。3階建てのビルすべてがサロンであり、店内にはカフェや気持ちのいい屋上ガーデンまであります。
前編の今回はサロンオーナーであり、クリエイティブ・ディレクター兼ヘアドレッサーの松浦実穂さんに、サロンの特徴や提供されているサービスについてうかがいました。
“美容”の根本にあるのは“健康”
――サロンの特徴について教えていただけますか?
「美容というものを、ただ単に「カッコいいヘアスタイル」を作るだけということではなく、根本の“健康”から考えている美容室です。このサロンをスタートするとき、『美よりも健康が先。健康に美がついていく』というところから見直そうと思いました。ですから、併設しているカフェも食材はすべてオーガニックなものにしています。
そしてオーガニックにこだわると、生産者の方たちと密接に関わるようになります。つまりオーガニックなものを選ぶということは、人と人がしっかり触れ合う生き方を選ぶ、ということになるんですね。私はこのサロンでオーガニックがいいよ、とおすすめしているわけではありません。ただオーガニックな生き方を実践していて、それに共鳴してくれるお客さまが集まってくださっているのだ、と思います。
オーガニックとは流行や単なる健康法ではなく、ひとつのライフスタイルなのですが、これは私の考える美容にもつながっています。今日、施術して『はい、キレイ!』といった美容ではなく、10年も20年もかけて、40代や50代、それこそ60代や70代になってますます美しくなったと言われる美容を、このサロンは目指しています」
長年の美容についての理想が結晶したお店
――このサロンをオープンした経緯を教えてください
「美容師を始めて39年。30年前に渡英し、28年前にTWIGGY.をオープン。そして、この場所にお店を移してから10年になりますが、お店を移したのは、それまでの30年近く積み重ねてきたものをひとつの形にしてみようと思ったからです。美容師としてロンドンに行ったときから続けてきたオーガニックを中心としたライフスタイルを、このビルのなかで可能な限り実践したい、と考えました。それがたとえば屋上ガーデンに植えているハーブや花、タマネギやレタスなどのお野菜につながっています。
最初に始めたサロンはロンドンから帰ってきて、マンションの1室を借りて、鏡は1面だけ、自分ひとりで始めたものです。その頃はまだ全然、理想の美容室みたいなものはありませんでしたね。ただ、ヘアカットには強い思い入れがありました。事務所に所属して撮影現場のヘアメイクとしてやっていく道もありましたが、私はお客さまと一対一で髪を切る時間を大切にしたかったんです。だからとにかくサロンを作り、そこに必ず週4日出ることにしました。撮影やショーなどの仕事もしましたが、それはサロンが休みの日だけで、あくまで仕事はサロンが中心でした。でも、撮影に関わることはとても大事な要素で、モデル、カメラマン、スタイリスト、メイクとのチームワークや、みんなで創り上げていくクリエイションをそこから学び、サロンワークに落としんでいきました」
徹底してお客さまに向き合う姿勢に、時代がついてくる
――提供されているサービスの特徴はなんでしょうか?
「このサロンはオーガニックを根本に置いていますが、それと同時に“トレンドセッター”でありたいといつも考えています。そして私にとって美容の流行は追いかけるものではなく、“作り出すもの・生み出すもの”です。『最近はロングが流行だからロングにしよう』というようなことは、28年の美容師生活のなかで一度も考えたことはありません。
常にそれぞれのお客さまを見て、たとえば『髪が傷んでいるから一度ショートにして、頭皮から作っていこうよ』『しっかりヘッドスパに通ってくれて、髪がとてもキレイになったから、今年はロングにしようよ』という提案をしています。そして、そのなかのいずれかが翌年のトレンドになり、時代を作ることになればラッキー、という感じですね。無理に流行を作るのではなく、それぞれの人にあったスタイルを提供し続けることで、いつかそれに時代がついてくる、という生き方を意識してきました」
このインタビューが行われたのはサロン屋上にある美しいガーデン。都会のど真んなかとは思えないほど見晴らしのよいその場所は、やわらかな土に数多くのハーブや花が植えられ、ミツバチたちもやってくる、まさに都会のオアシスでした。後編ではそんなお店を支えるスタッフや、お店作りのこだわり、今後のビジョンについてうかがいます。
髪や人を大切に育て最高の美しさをもたらしてくれるサロン『TWIGGY.』>>