髪や人を大切に育て最高の美しさをもたらしてくれるサロン『TWIGGY.』
にぎやかな青山・キラー通りから、少し奥に入った場所にある『TWIGGY.（ツイギー）』。スタイリッシュかつ緑にあふれる3階建てのサロンは、訪れる人を優しく迎え入れてくれます。
後編の今回はサロンオーナーであり、クリエイティブ・ディレクター兼ヘアドレッサーの松浦実穂さんに、お店を支えるスタッフやお店づくりのこだわり、今後のビジョンについてうかがいました。
最強のスペシャリスト集団は、“不器用な人間”の集まり
――スタッフの育成について教えてください
「私は当初からこのサロンのスタッフを、カットやカラー、スパなどに特化したスペシャリストのチームにするつもりでした。そう思うようになったのは、私自身がヘアメイクの仕事をしたとき、ヘアとメイク両方の仕事をすると気が散ってしまうタイプだったからです。つまり、ヘアかメイクのどちらかに集中すると、もう一方がおろそかになってしまう“不器用な人間”だったんです。
そのために必要だったのがチーム作りでした。最初のチーム作りでは奈良県で美容室のオーナーだった深町というスタイリストが加わってくれたり、フランス人のステファンがカラーリングのディレクターになってくれました。そして私が全部教えるのではなく、中心的なメンバーのチームにアシスタントのスタッフがついて学びながら、また彼らもスペシャリストとして成長していったのが、このサロンの育成の形ですね」
“髪を育てること”こそ、美容室の使命
――サロンで人気のメニューはなんでしょうか？
「人気があるのは個別のメニューというより、お客さまを1人ひとり、プロデュースしていくところなんじゃないかな、と思います。一回きりの出会いではなく、『あなたをこれから、とことん面倒を見ますよ』という気持ちでスタイルを作っていく姿勢ですね。
それから、お客さまによく言われるのが『この店は髪の毛を育ててくれる』ということです。うちのお店は頭皮ケアに特化していて、ヘッドスパとヘアスパのメニューを分けています。これは本来当たり前のことで、髪の毛は死んだ細胞ですが、頭皮は生きている自分の肌の延長です。だから頭皮に対するケアは身体の内部のことで、髪のケアとはまったく別に考える必要があるわけです。『頭皮』と『髪』についての研究には、常に余念がありません」
人生で経験してきたことが、偶然つながっていく
――お店づくりや内装でこだわっている点はありますか？
「実はこの12年間、夫の実家の秋田県で無農薬のお米作りをしていて、このことがオーガニックを中心に据えたサロン作りや、サロンのオリジナル美容製品の開発につながっています。農業で言うところの土は、人間で言うところの頭皮と一緒ですよね？ だから頭皮こそが髪を生やす“土壌”なわけです。そのような考えで、美容を始めた当初からいつもプロダクトを探し求めていたのですが、数年前から、本当に自分が理想とするナチュラルでオーガニカルな美容プロダクトを開発する決意をしました。
また、このサロンの屋上にも土を使った庭を作りました。最初はビルのオーナーに重量面で断られたんですが、たまたまビルの隣にあった綿メーカーの方に、土と綿を混ぜることで軽量化する技術を提供していただいて実現しました。しかもこの綿は年月が経つと、腐葉土になるんです。頭皮を育てて髪を育てるのは、土に腐葉土を入れて植物を育てるのと一緒、という話ですね。
ちなみにサロンの１階と2階の内装はヨーロピアンテイストで、少しシャビー感があるイギリスのパブやフランスの古いホテル、3階はニューヨークのモダンな感覚をイメージにしました」
“髪を育てる”という思想を世界に伝えていきたい
――今後のビジョンについて教えてください。
「日本でやっていることを、少しでも海外の共鳴してくれる方たちにつないでいきたい、と考えています。その手段のひとつとして、オリジナルの美容製品を海外でも生産できるようにしたいと思っています。
また、このサロンのヘッドスパをより進化させていきたいと考えていて、従来の人間の手だけによる技術から、最新の科学を利用したデジタルな技術も導入し始めています。この東洋医学を含めたヘアケア技術は海外でも必要とされていると思いますから、将来的に発信していけたら理想的ですね。
そして、やはり未来の美容師には『東京のストリート感』というより、『インターナショナルなストリート感』みたいなものを身につけてほしいと願っているので、自分がかつて学んだロンドンでのスタッフ育成にも、トライできたら幸せだなと思っています」
“本当の美しさとは何か”を教えてくれるサロン『TWIGGY.』>>
