「お客さまは大切な家族」という想いを貫き通すサロン 『TORA by grico』
神宮前の感度の高いショップが立ち並ぶエリアの奥深く、個性的な黄色いビルにある『TORA by grico(トラ バイ グリコ)』。セット面は3面だけ、洗面台も1台のみという小さなお店ですが、そこにはいつも大勢のお客さまの笑顔があふれています。
前編の今回は同サロンの立ち上げから店長を務めてきた宮永えいとさんに、サロンをオープンした経緯やサービスの特徴についてうかがいました。
名店「grico」のエッセンスに加え、海外の顧客への発信も
――サロンの特徴について教えていただけますか?
「TORAのベースになっている美容院はオーナーのエザキヨシタカが9年前に立ち上げたgricoなのですが、gricoのコンセプトは『常に時代の一歩先を行くオシャレを提供し続けているのに、どことも違う遊び心を持ったサロン』というものです。またgricoでは『お客さまもスタッフも家族』ということがテーマになっていて、そこで6年間育てられた私はこのTORAでも『すべての人と思い切り、一生関わっていきたい』と思ったんです。だからTORAはgricoのコンセプトやテーマをそのまま受け継いだうえで、さらに『海外の人も憧れるサロンにしよう』と考えてスタートしました。結果として海外のお客さまはたくさん訪れてくれますし、周りの人にも恵まれてgricoより少し若い層のお客さまにご利用いただけるお店になりましたね」
スタイリスト1年目に原宿の一等地で店長となる
――サロンをオープンした経緯を教えてください
「もともとTORAは下北沢にオープンする予定だったんですが、もろもろの事情でその出店がダメになってしまい、この場所を新たに見つけました。当時私はまだ25歳でスタイリスト1年目でしたし、正直なところ家賃の高い原宿の1階に開くサロンの店長は自分じゃないだろうと思ってました。ところが社長に『えいと君が一番ブランディングがうまそうだから、やってみなさい』って、言われまして。最初は本当に怖かったですね。スタイリスト1年目でまだ売上もなかったですし。
そもそもTORAというお店を出す計画は、実際にオープンするさらに2年前くらいからあったんです。gricoというお店が1店舗からスタートして、翌年もその翌年もどんどん大きくなっていたので、キャパシティ面からも新店を出した方がいいという感じでした。またgricoにはこれからの100年でブランドサロンを5店舗、もう少し低価格帯のサロンを100店舗展開していこうという“100年計画”があります。そのような目的から、2店舗目のブランドサロンとしてTORAというお店を出す計画は以前からありました」
美容師という存在には、医師すら超える可能性がある
――提供されているサービスで特徴的なものはありますか?
「サービスについてはコンセプト通りの“遊び心”、そして何より“家族”っていう言葉がキーワードです。たとえば自分の実家の両親のことを考えてみてください。地方出身の場合、ほとんどの人は年に1回くらいしか会えないと思うんですね。一方、美容院のお客さまは2ヵ月に1回くらい会えるんです。しかも、そのお客さまは全国に50万人いる美容師のなかで、私たちを一番だと思ってお店に来てくれています。そんな大切な家族よりも頻繁に会っていて、しかも数え切れないほどの候補のなかから私たちを選んでくれたお客さまは、もう『家族同然だろう』というのが私たちの考えなんです。ですから、髪を切って単純に『カワイイね』『カッコいいね』で終わるのではなく、本当の家族のように悩みがあれば相談できたり、『えいとさんのところに来たらアイデアが出た、問題が解決した』と言ってもらえるような、そういう立ち位置でありたいと願っています。
これは美容師の仕事・業務というのを飛び越えてやるという、gricoの価値観ですね。もしすべての美容師がこんな風にお客さまに接していたら、美容師という存在は医師を超えるんじゃないでしょうか。お客さまが莫大な候補者のなかから選んで、お金を払って、しかも定期的に通ってくれる職業って他になかなかないと思うんです。一番近いのは医師ですが、病院は具合が悪いときにしか行かないじゃないですか。だから本気で美容師は医師を超えられると考えています。技術が一流であることはこのサロンくらいの価格帯になると普通だと思うので、お客さまが求めているのもそういう価値観のような気がしますね」
「遊び心」と「家族」をキーワードにしている同サロン。その価値観は実際、多くのお客さまを惹きつけているようです。後編ではそんなお店を訪れるお客さまへのアプローチ方法やお店作りへのこだわり、今後のビジョンについてうかがいます。
“つながり”こそが、真の美容と幸せに通じることを教えてくれるサロン『TORA by grico』>>