誰もが言いたいことを言える 自由な雰囲気が店舗の活力に『cache HORIE』
堀江を代表する人気ヘアサロン「cache HORIE」。前編では、15周年を迎えてコンセプトを明確にして、お客様のヘアスタイルだけでなくライフスタイル全般について“髪だけでなくライフスタイルまで豊かにする” のがコンセプトであることなどをお聞きしました。この後編では、cache HORIEの魅力のひとつである高級リゾートのような内装などについて、マネージャー兼トップスタイリストである笠松由有基さんにお話いただきました。
内装もデザイナーを入れないでスタッフ全員で決めていく
――ともかく、この高級リゾートのような、でもアットホームな、独特な店内の雰囲気には驚かされますね。
「現在は中央が吹き抜けの2階建てですが、本来は1階のみのガラスの倉庫でした。ガラスをクレーンで運ぶためのレールなど、倉庫であったことを忍ばせるものも結構残っています。男性スタッフはクレーンごと残して、それにつかまって移動したりできないかな、なんて言ってましたが、女性スタッフたちに却下されました(笑)」
――この内装デザインは、誰がどのようにして決めたのですか?
「先ほど、この店は、何事もみんなで決めるスタンスだと言いましたが、内装についても同じで、いわゆる外部のインテリアデザイナーみたいな人を入れることはしませんでした。1年目のスタッフを含めて全員参加でプレゼンを行って、ああだよね、こうだよね、と言って決めたので。実際の内装の施行においても、スタッフ手作りの部分も多いですよ」
ゼロから薬剤開発に参加
――メニューにおいての特徴はどのようなものでしょうか。
「cacheは、お客様のライフスタイル全般を豊かにすることを目的としているので、特に何かに特化しているわけではありません。カットが得意なスタッフ、カラーが得意なスタッフ、ケアが得意なスタッフなどいろいろいるので。でも、あえて言うならば、カラーでしょうか。カラーを大阪で一番になる、という裏テーマでして」
――なるほど。カラーについてはどのような強みを持っておられるのですか?
「もともとブリーチに特化していろいろ研究していましたが、ちょうど3年前ぐらい前、メーカーの開発にも携わることができました。カラー剤の開発に、監修という程度ではなく、まったくゼロからスタイリストが携わるというのは国内でも初のことだったようです。メーカーが、サロンと共にゼロベースの開発を行うために、一緒に成長していきたいと思うようなサロンを全国で5つ選んだのですが、その一つにcacheが選ばれたということです。大阪ではこの店だけですね。それで僕が3年間東京に通い詰めて、一つの商品を作り上げました。まったくのゼロから開発に携わったという点においては、大阪ではウチの店でしか言えない強みだと思っています」
――その開発の結果出来上がった薬剤とは?
「『PIXAM-F(ピクサム・エフ) 』というカラー剤です。ここ最近は外国人風のカラーがずっと流行っていましたが、実は色が濁りすぎていて、結局日本人に似合わないんです。美容師なら分かっていたことなんですけど、お客様から要望が出てくるので仕方なくやっていたのではないでしょうか。でもこの『PIXAM-F』は、日本人にも似合う色にしたうえで外国人的なナチュラルな色にしているのが特徴です。ベージュだけで7種類あるんです。ベージュって一番表現しにくいので、それをコントロールしやすくするために7種類も用意されているのです」
――スタッフはどれぐらいいるのですか?
「まず、スタッフは堀江だけでだいたい12人。スタイリストは4人います。三都杯という有名なコンテストで選ばれたスタッフもいますし、関西で一番大きいフォトコンテストでも誰かしら選ばれています」
決して感情的に怒らない
――そのような高い技術を持ったスタッフを育成する方法とは?
「僕が入社した時代、美容業界はまだ体育会系でしたが、その時代から『年下の子に対して感情的に怒ることは絶対しない』と決めていました。どう考えても悪いと思われる部分は直してもらいますが、基本的に“これはこうあるべき”というは押し付けず、その子の持っているいい部分を伸ばしていく、というのが基本姿勢です。ですので、この店では若いスタッフも言いたいことを言いますし、それを上から目線で否定することもありません。逆に先輩スタッフが年下の子から否定されることもありますよ(笑)」
――デビューまでの道のりはどのようなものなのでしょうか?
「デビューまでの期間についていえば、もともと“いつからデビュー”というのはありませんでした。テストに合格したうえで、自分でお客様を呼んできたい人からスタイリストになっていく形をとっていました。結果としてデビューに至るのはだいたい5年だったけれども、現在は3年で1人前になってもらい、4年でスタイリストデビューしてもらおうというカリキュラムに変えています。最近はもう1年目や2年目でもSNSで集客できるスタッフもいるので。
――年別の具体的な立場の変化は?
「1年目でケアリスト、2年目でカラーリスト、3年目でジュニアススタイリスト、4年目でスタイリストになります。来年からは、キャリア4年目の4月1日に、cacheスタッフに対してプレゼンするデビューステージを行ってもらうことにしています。スタイリストとしてお客様にどんなスタイルを提案したいのか、cacheに対してどんな影響を与えることができるのかを、まずは僕たちに提案してもらいます」
2020年計画発動中
――cacheが今後目指していく姿とは?
「2020年計画というのを立てています。現在掲げているコンセプトや手法は、まだまだ完全に達成されていませんが、これを2020年までに実現させる、ということです。先ほど僕たちのコンセプトは“幸せを受けとめる器になる”と言いましたけれども、僕たちがお客様を幸せにすることで、自分たちも幸せになる、という形を完成図として、それを2020年までに実現するということです。それまでには店舗も増えるかもしれないし。ウチの店にはママさん美容師がいるのですけれども、このスタッフみたいに子供を産んでも戻ってこれる環境にしたいし。これからもお客様もスタッフも双方幸せになれる店を目指していくつもりです」
堀江を代表する人気サロン 15周年を機にリニューアル『Cache HORIE』>>