金内光信 interview #3:お客さまを美しくして、感謝される。美容師という職業
東京美容生活衛生同業組合(BA東京)とは、美容師の人材不足や労働環境の悪化などといった問題に取り組み、美容業界発展にために活動している組合のことです。今回は、そんなBA東京の理事長を務める金内光信さんにインタビュー。日本の美容業界が今後発展するうえで必要なことについて伺います。
後編では、高齢化社会が進むなかでの美容業界のあり方や、今後の目標について語っていただきました。
1,000人以上が参加!大盛況だった中国でのヘアショー
――最近の活動で、とくに印象に残っている出来事はありますか?
「去年、日本のヘアコンテストである『ガラ・ド・ラ・コワフュール』で、中国、韓国、台湾の人たち向けのステージを作ったんです。日本の美容界はアジア各国にとって憧れの存在ですから、直接触れ合える場を作りたかったんです。近い将来は、日本とアジアの美容師が競い合うアジア大会にしようと考えています。同じく、アジアの理美容業界に貢献するために、2018年の6月に亜細亜理美容振興協会を立ち上げました。中国でヘアショーを開催したところ、1,000人以上が集まったんです。日本とアジアの国々が切磋琢磨できる環境を作り、美容業界のレベルを引き上げていきたいですね」
お客さまの安心、安全を守ることが何よりも大切
――以前と比べて、変化を感じることはありますか?
「高齢化社会が進むのにともない、介護施設や病院を訪れてカットをする、出張美容師が増えています。これからも増え続けるのではないでしょうか。実は最近、出張美容についての法律が変わったんです。今までは許されていなかった、骨折などのケガをしている方や、妊婦さんなどへの施術が認められ、出張美容の対象となるお客さまの枠が広がりました。しかし、お客さまの安心、安全を保障できないため、私はこの改正に大きな不安を抱えているんです。街の美容室には、年に一回保健所が点検に来て、換気や採光、消毒などをチェックします。出張美容では、それができません。そこで、お客さまの安全を守るために、出張美容の資格が必要だと思います。講習会を開き、きちんとした技術や知識を学ばなければなりません」
オリンピックの選手村にヘアサロンを!
――それでは、今後の目標を教えてください。
「オリンピックの選手村にヘアサロンを設置したいです。そして、海外の選手にヘアメイクと浴衣の着付けをして、盆踊りを体験してもらおうと考えています。日本の文化に触れたい外国の方が多いですからね。ただし、実現にはセキュリティをはじめ、たくさんの課題があるので、今さまざまな業界の人たちに協力をお願いしているんです」
――最後に、これから美容業界で働く若手にメッセージをお願いします。
「美容師は、お客さまを美しくすることで感謝されて、お金がもらえる素晴らしい仕事です。また、お客さまの心を豊かにする付加価値の高い仕事でもあります。問題点もありますが、私たちが働きやすい環境を作りますので、安心して美容業界に入ってきてください」
これから増々コンピューターが発達し、多くの職がなくなると言われています。しかし、金内さんは「心のケアが大切な美容師は、絶対になくならない」と言います。インタビュー中も、終始笑顔で答えてくださった金内さん。その優しいまなざしで、これからも美容業界を明るく照らし続けます。
Profile
金内光信さん
東京都美容生活衛生同業組合理事長
2010年5月に第8代理事長に就任以降、美容業界発展のために努める。2018年に設立された、亜細亜理美容振興協会の初代代表に就任。日本だけでなく、世界を舞台に幅広く活躍している。
Information
東京都美容生活衛生同業組合(BA東京)
住所:東京都渋谷区代々木1-56-4
TEL: 03-3370-2131(営業時間:平日9:00~17:00)
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