仲宗根幸子 interview ＃3：お客さまは努力している姿をきちんと見ている
サロンの数が増え続け、年々広がりを見せているネイル業界。そんな日本のネイル文化は、いったい、どのように発展してきたのでしょうか？
今回は、日本ネイリスト協会の会長、仲宗根幸子さんにインタビュー。まだ日本にネイルサロンがない頃に、海外からネイルの技術を持ち込み、浸透させたネイル業界の先駆者です。そんな仲宗根さんに、日本にネイルが根付いたいきさつや現状の課題などを伺います。後編では、美容に関わる仕事の魅力についてお話ししていただきました。
世界のトップを誇る日本のネイル技術
――世界から見て、日本のネイリストはどのくらいの技術を持っていますか？
「日本人は世界のトップと言えるほど高い技術を持っています。海外のコンテストでチャンピオンになる方も多くいますから。日本で1位を獲るほうが難しいと思います。ちなみに、ヨーロッパはマニキュア（手入れとカラー）のみの方が多く、ほとんどデコレーションをしないんです。ドイツを訪れた際に、現地のネイルサロンを見学しようと探したところ、美容室の片隅で日本人がやっていました（笑）」
美容師にネイルの技術を伝えたい
――今後の目標を教えてください。
「やはり、美容師にネイルの技術を伝えたいですね。『ネイルもサービスする美容室です』と言えば、他の美容室と差別化ができますから。また、まつ毛エクステをしている時間にちょうどネイルができるんです。まつ毛エクステは、国家資格が必要で美容師にしか許さていない技術なので、ネイルとセットで行えば、お客さまはよろこぶぶのではないでしょうか。デコレーションなどのアートネイルをする必要はないので、ネイルケアだけでもやってほしいです」
心に残っているキャビンアテンダントの言葉
――ネイル業界で働いている若手にメッセージをお願いします。
「つらいことがあっても、がんばって技術を磨いてほしいですね。印象に残っているエピソードがあって、私が飛行機に乗っていた時に、すごくきれいなネイルをしているCAさんがいたんです。そこで、『きれいなネイルですね。見せてください』と声をかけました。見ると、そのネイルが本当にきれいで、プロの仕事なんです。際まできれいに整えてあって、塗りにムラがありませんでした。そのCAさんが『私のネイリストさんは、去年コンテストに出て30位だったけれど、今年は20位になったんです』とうれしそうに話してくれたんです。その時、『コンテストで優勝することが大切なわけではない』と感じましたね。つまり、お客さまはネイリストがコンテストに出て、自分のために腕を磨いてくれていることがうれしいんです。努力している姿は、お客さまがきちんと見ていますからね」
――最後に、美容業界で働く魅力を教えてください。
「“人を幸せにして、自分も幸せになる”そんな素晴らしい仕事です。美容に関わる仕事は、外見を飾るだけではなく、お客さまの心を豊かにすることです。そして、お客さまを美しくすることは、その人を幸せにすることでもあります。美容業界で働く人は、まず人を好きであってほしいですね」
今は、まだ将来に不安を持っているネイリストもいると言う仲宗根さん。「次世代を担う子どもたちが、ネイリストはいい仕事だと思うように、技術の継承をしていきたい」と語ってくださいました。これからも、仲宗根さんの元から、続々と一流のネイリストが誕生することでしょう。
Profile
仲宗根幸子さん
NPO法人日本ネイリスト協会会長
NSJネイルアカデミー院長
ネイルズ仲宗根株式会社代表取締役
株式会社仲宗根ネイル研究所所長
公益法人日本ネイリスト検定試験センター理事
日本におけるネイリストの先駆者であり、つねにネイル業界の第一線で活躍。ネイリスト育成歴は40年以上。NPO法人日本ネイリスト協会では15年間講師会会長を務め、認定講師の教育にあたる。国内コンテストをはじめWINBA、IBSニューヨーク、IBSロングビーチなど米国ネイルコンテストの審査員や、国内の地方大会で審査委員長も務めている。
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