安田和正 interview #2:本当のプロになるためには常に学び続ける姿勢を持つこと
街に整体やリラクゼーションサロンが増え、年々需要が増しているマッサージ業界。しかし、マッサージについてきちんと理解している人は、そう多くありません。実は、マッサージは古くから人々に親しまれている歴史ある療法。また、高度な技術を要する専門職でもあります。そして、そんなマッサージのプロが “あん摩マッサージ指圧師”です。今回は、公益社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会会長、安田和正さんにインタビュー。
あん摩マッサージ業界が抱える課題や、今後の目標などを語っていただきます。中編では、あんまマッサージ指圧師に求められる力について、また今後力を入れていきたい活動について伺います。
適切な施術をするために必要な初検力
――一流のあんまマッサージ指圧師になるためには、どのような力が必要ですか?
「初検力を高めることが大切です。患者さんの体は1人ひとり違い、また生活環境も違います。適切な施術をするためには、患者さんの状況を素早く初検する能力が必要になるんです。そのためには、勉強会に参加することや書物で勉強するなど、自分から積極的に知識を身に付けなければなりません。なかには、地域の医師会に参加し、勉強をするあん摩マッサージ指圧師もいるんです。そうして技術を磨いている人は、1,000万円レベルの収入を上げていますね」
整形外科で働くあん摩マッサージ指圧師が減った背景
――長年、あん摩マッサージ業界で働くなかで感じている変化を教えてください。
「理学療法士や作業療法士といった機能訓練士が増えたことで、整形外科で働くあん摩マッサージ指圧師が減っています。以前は、どの整形外科でもひとりは資格を持っている施術者がいたんです。そもそも、理学療法士や作業療法士は外国で誕生した技術であり、グローバル化の影響で世のなかに一気に広まりました。また、機能訓練のほうが治療費を高く請求できることも、整形外科が導入したがる理由のひとつです。ちなみに、あん摩マッサージ指圧師の診療報酬は、1983年以来まったく変わっていません。もっとこの職業が認めてもらえるように、私たちが努力しなければならないんです」
地域に根付いて活動するあん摩マッサージ師を増やしたい
――今後、力を入れていきたい活動はありますか?
「スポーツの分野で活躍する人を増やしたいと考えています。というのは、最近は子どもから大人まで運動を楽しむ人が増え、今後ますますケガをする一般の方が多くなると思われます。とくに、高校の部活動や社会人チームなど地域に根付いて活動するあん摩マッサージ師を増やしたいですね。実は、私は地元の社会人野球チームの専属トレーナーとして活動した経験があります。当時は、1週間に一度は必ず練習に参加し、30人ほどの部員の体のメンテナンスをしていましたね。大会中はチームに帯同し、試合中はベンチ裏でいつでも選手のケガに対応できるように待機し、試合後は宿舎に戻って夜通し選手の体のケアをしました。本当に、寝れずに大変でしたが『安田先生が来てくれて本当に助かった』という、選手の声を聞くと、『あん摩マッサージをやっていてよかった』と思えましたね」
昔は、温泉施設などでもあんまマッサージ指圧師が活躍していましたが、最近はその数が減ってしまったそうです。「もっと活躍できる場を増やしていきたい」と言う安田さん。日々、研修会や勉強会を開き、業界発展のために活動しています。後編では、今後の目標やあん摩マッサージ指圧師の魅力について伺いました。
Profile
安田和正さん
公益社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会会長
講演や勉強会などを通し、あん摩マッサージ普及のために尽力。また、組織づくりにも力を注ぎ、日本あん摩マッサージ業界の発展のために日々活動している。
Information
公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会
住所:東京都新宿区西早稲田2-18-2 日本盲人福祉センター内
TEL:03-3200-0031
info@nichimakai.or.jp
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