優しくて暖かい身近な美容室『日と木』
小田急線代々木八幡駅より徒歩1分の距離にある『日と木』は、木造の床に光が差し込むシンプルで温もりあふれるヘアサロンです。お客さまのオーダーを本質から理解し、形にする優れた技術は幅広い年代の支持を集めています。
今回はオーナー梅津貴央さんにサロンのコンセプトや、『日と木』で実現したいことについて聞きました。前編では、オープンまでの経緯やヘアスタイルを作るうえで意識していることについて伺います。
日常のなかで温くもりを与えてくれる太陽と植物
――まず、『日と木』オープンまでの経緯を教えてください。
「2018年3月26日に『優しくて暖かい身近な存在』をコンセプトにオープンしました。店名は、日常のなかで温かみを感じさせてくれる太陽と植物を意識して『日と木』にしたんです。また、若手の美容師を育てたいという気持ちもオープンを決めた大きなきっかけになりました。そのためには自分のサロンを作り、近い距離で指導をしたいと思ったんです。ちなみ17歳の時に美容師として働きはじめた私が、今もこうして続けることができているのは、いい指導者に恵まれたからだと思います」
ナチュラルとは何か?
――梅津さんが影響を受けた指導者はどのような方でしょうか?
「27歳の頃に入社したヘアメイク事務所の方々です。。当時私は、映画や雑誌などのヘアメイクを専門に行う事務所で働いていました。そのなかでもとくにリスペクトしている方がいて、アシスタントとしてその方の現場に帯同したときに、与えられたテーマの本質を考えてヘアメイクを作っていると、すごく感じたんです。テーマがナチュラルだとしたら『ナチュラルとは何か?』から考えていました。ちなみに自然とは何もしないことではなく、そのシチュエーションに一番適している状態をいいます。たとえば、風が吹いている状況で撮影をする場合は完全にワックスで固めた髪よりも適度になびくほうが自然に見えるんです。また、印象に残っていることはファミリーでの撮影の際に子供の髪をカットした時、全体的に無造作な髪型にもかかわらず、前髪だけきれいに揃えて切っていました。一見、不自然に見える髪型ですが、完成した写真を見たときに母親が伸びすぎた子供の前髪を切った印象を受けたんです。日常のストーリーを感じられることで、すごくナチュラルな雰囲気が生まれていましたね」
お客さまをきちんと観察して、最適なヘアスタイルを作りだす
――日頃のサロンワークで心がけていることを教えてください。
「お客さまが求めている髪型は話を聞いただけではわかりませんから、きちんと観察することが大切です。ヘアメイクの現場とも共通しますが、『自然な雰囲気でお願いします』とオーダーされたとしても人それぞれの“ナチュラル”がありますから、『目の前の人にとって自然とは何か?』を探さなければなりません。たとえば使っている香水や、ネイル、靴を確認して、その人の日常に合った髪型を考えて提案することが大切です。もし、お客さまの要望が雰囲気と向いてないと感じたら、きちんと伝えています。またリピーターの方でも転勤や結婚など日々環境が変わりますから、たとえ『いつも通りでお願いします』と言われても、お客さまの雰囲気の変化を感じて対応することが大切です」
地元福島県の美容室に就職した梅津さんは、25歳の時にヘアメイクに興味を持ち上京、ヘアメイクの事務所で経験を積んだ後、ニューヨークへ。日々テストシューティングをしながら2年間滞在し、帰国後下北沢のヘアサロンで12年間勤務し腕を磨きました。後編では、そんな梅津さんの今後の目標などについて伺います。