ハートフルな人間関係を築くために大切なこと『日と木』
小田急線代々木八幡駅より徒歩1分の距離にある『日と木』は、木造の床に光が差し込むシンプルで温もりあふれるヘアサロンです。お客さまのオーダーを本質から理解し、形にする優れた技術は幅広い年代の支持を集めています。
今回はオーナー梅津貴央さんにサロンのコンセプトや、『日と木』で実現したいことについて聞きました。後編では、いま美容業界が抱える問題や今後の目標について伺います。
美容業界が抱える深刻な問題
――オープンして4ヵ月ほどですが、『日と木』で実現したいこを教えてください。
「スタッフがずっと『日と木』で働きたいと思うような美容室を作りたいです。現在、美容業界は学校にはある程度の生徒がいるにも関わらず、就職してから続かない人が多くアパレル業界や音楽業界など、ほかのジャンルに転職する人が多くいます。美容室は年々増え続けているのに若手の美容師は減っていて、美容業界は人手不足が深刻なんです。そのため従来の美容業界の教育法を改め、接客面や技術面、コミュニケーション法などもっと1人ひとりに寄り添って丁寧に教える必要があります。そこで大型店舗ではなく、常に目が届く小さな店舗のほうがいいと思うんです」
――なぜ、美容業界は離職率が高いのでしょうか?
「昔は圧倒的なカリスマがいましたが今は飛びぬけた存在がおらず、若手が将来像をイメージしにくいのかもしれません。また、先輩と後輩の間でコミュニケーションを取る時間が減っていることも理由のひとつだと思います。私が若手の頃は、先輩によく飲みに連れていってもらい、仕事やプライベートの相談をしていました。今は、若手が飲みたがらないこともあるかもしれませんが、上手にコミュニケーションを取れない先輩も増えていると思います」
お客さまの人生に寄り添う
――美容師という職業の魅力について教えてください。
「お客さまと長く付き合えることは、美容師の魅力のひとつですね。なかには、20年ほどずっと足を運んでくれる方もいるんです。独身だったお客さまが、恋人を連れてきて、そして結婚して子供を連れてきてくれる、その方の人生に寄り添えるのは美容師ならではだと思います。またお客さまから学ぶことも多く、たとえば95歳の男性の方のお話しを聞いていると物事に対する姿勢など、すごく勉強になりますね。以前のサロンにお孫さんが連れてきてくれたお客さまで、その後『日と木』に足を運んでくれるようにました。これからも、1人ひとりお客さまとハートフルな関係を築けるように、コンセプト通りに『優しくて暖かい身近な存在』を目指してがんばっていきたいです」
地道に技術を磨いた先にあること
――最後に、これから美容業界で働く若手にひと言お願いします。
「すぐに結果は出ませんから、辛いことが多くても地道に続けることが大切です。技術をきちんと身につければ、プライベートと仕事が一体になった豊かな生活を送れるようになりますから。私は自分のサロンで毎日素敵なお客さまに出会えているので、本当に休みを待ち遠しく思いながら働くことがありません。また、必ず周りには支えてくれる人がいますから、苦しい時はひとりでがんばるのではなく助けてもらいながら続けてほしいと思います」
お客さまはもちろんのことスタッフとのコミュニケーションでも、「変化を感じることが大切」と言う梅津さん。辛い時や苦しい時に、その状態に気がついてそばで話を聞くのも美容師の仕事のひとつだそうです。そんな“優しくて暖かい美容室”『日と木』に、ぜひ足を運んでみてください。