遠回りをしたのは、スタイリストになるための近道だったのかなと思っています。

この世に手業を生業にしているサービス業はどれぐらいあるのでしょうか?手一つで人を喜ばせたり、疲れを取ったり、美しくしたり、癒やしたり・・・。これってすごいことですよね。

このコラムは、手業を生業にしている美容からヘルスケアの業界の方々にフォーカスをしたプロフェッショナルインタビューです。その人の手が語る物語をお楽しみいただければ幸いです。

モアリジョブ編集部

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私の手にしか、できないシゴト。 森田豊さん

――美容の世界を目指したきっかけは?

森田 高校生の時に一度、美容師を夢見たことがありました。その時は、両親の反対もあって美容師になることを諦めました。それから数年経った25歳の時に、大病をしたことがきっかけで、再度美容師になろうと美容専門学校に入学しました。

――25歳ですか?随分遠回りをされたんですね。美容専門学校に行くまでは何をされていたのですか?

森田 大学に行き経営と情報を学んで卒業後は、商社に入社しました。営業マンとして毎日忙しく過ごしていました。その時にふと、自分の仕事について考えることがあり、「この仕事好きじゃないなぁ。」と思ったことがきっかけで、1年でその会社を辞めました。それから少しして、バーテンダーになりました。そこでは、お店を任せてもらうぐらいまでなり、2年ぐらい働いていました。

――バーテンダーは大病がきっかけで辞めたのですか?

森田 バーテンダーという仕事柄お酒を飲むことが多く忙しさもあり、不摂生が祟ったのか、25歳の若さでクモ膜下出血になってしまいました。入院したことでやっと時間ができ、その時にもう一度、自分の仕事を見つめ直すきっかけとなりました。「自分の体を大切にしなければいけないことを念頭に、昼間の仕事であること、そして自分が好きな仕事に就くこと。」を条件に考え、高校生の時になりたかった美容師になろうと思ったんですね。それから美容専門学校に通って、27歳で美容師になりました。

――森田さんより10歳近くも年下の若い子たちと肩を並べて勉強することに抵抗はありませんでしたか?

森田 抵抗はなかったですが、ハードルは少しありました。だからこそ、負けたくないって思いがあって、それをバネに専門学校時代もサロン入社後も人よりも早く技術を習得しようと頑張りました。その結果、入社して1ヶ月でスタイリストデビューし、半年後には店長としてお店を任せてもらうことになりました。

――入社後1ヶ月でデビュー、半年で店長を任されるなんてすごいですね。

森田 その時はもう27歳だったので、同期入社の20歳の子たちにはこの時点で遅れをとっている感じがしたので、人一倍努力をしましたね。

――色々経験をして、実際に美容師になってみていかがでしたか?

森田 スタートが遅かった分、前に進むために技術を身につけて、同期よりも早く頼られる存在になりたいなと思っていました。

高崎ビューティ_森田豊

――はじめてお客様に入客した時はいかがでしたか?

森田 緊張しましたけど、やっとお客様に入客することができて嬉しかったですね。

――美容師になられてからの失敗談を教えてください。

森田 スタイルクオリティを重視しすぎて、カットから仕上がりまでの時間配分でお客様の帰宅予定時刻に間に合わせられなかったことなど、経験が少ない上でのミスがありました。お店を回すためには施術時間の管理と、ある程度の自分自身の妥協も必要だと気付きました。

――成功談は?

森田 私の担当するお客様からよくご紹介いただくことがありました。カットの持続性を気に入っていただいたり、施術中によく相談されることもあり、ご紹介いただいたお客様からは「森田さんに相談したら」と言われてご来店されるお客様が多かったですね。

私が美容師をはじめた頃は、よく美容師を目指す人が言う「お客様を綺麗にしてあげたい。」「喜んでもらいたい。」という気持ちがなく、自分が前に進むためだけにやっていました。何年か美容師を続けていく中で、自分の提供する技術だけで、お客様がお客様を呼んでくれるこの連鎖を生み出すことができたことで気持ちが変わりましたね。その時に美容師をやっていて本当に楽しいなと思えたことが成功談でしょうか。

――先ほど美容師をやる上で、「自分のために」から「お客様へ」と気持ちの変化の話がありましたが、どう変わったのですか?

森田 美容師になったばかりのころは、とにかく早くなんでもできるようになる思いだけで過ごしていました。それまでは「お客様のために」の気持ちがとても薄かったと思います。それから半年ぐらい経って、サロン内で任されることが増えたり、また店長になったことで、気持ちが切り替わりました。それからは、お客様のことをしっかり考えるようになりましたね。

――入社後半年で店長になられた森田さんですが、大抜擢された理由は?

森田 タイミングが良かったからですかね・・・。

新店舗ができて、そこの店長が3ヶ月で辞めてしまい店長不在のお店になってしまうのは「まずい」となりました。そこで、美容師になるまでの経験や入客数も入社半年で他のスタイリストを抜くまでの数字を出していたので、オーナーにお店を任せてもらうことになりました。

27歳で美容師になって、遠回りだったかもしれませんが、今までの経験は、スタイリストになるための近道だったのかなって思いました。

――店長になってみていかがでしたか?

森田 大変なこともありましたけど、大学が経営情報学部だったこともあって、お店を作り上げて行くことに関しては、楽しかったです。

――今までこのお仕事を辞めたいと思ったことはありますか?

森田 大変さを感じることはありますが、辞めたいと思ったことは一度もないです。遠回りをしてからの美容師だったので、美容学生の時の同級生との年齢差から起きるジェネレーションギャップはもちろんありましたが、それを楽しんで生活していました。

高崎ビューティ_森田豊

――この業界に携わり続けている理由は?

森田 美容をやりたい子を増やしていきたいという強い想いですかね・・・。
私はこの学校で教員の他に、広報を担当しています。広報として多くの高校に出向き、美容の魅力を伝える活動を行なっています。この活動を通じて、高校生や美容学生たちが、本当にやりたい仕事に就けられるような手助けができればいいなと思っています。自分自身が、人生の道しるべとして彼らの役に立てれば嬉しいですね。

――森田さんのモチベーションは?

森田 3歳の娘と、この学校の卒業生ですね。特に卒業生が活躍している姿を見るのがモチベーションになっていますね。

――卒業生の方はよく学校に来られるんですか?

森田 比較的多い方だと思います。一番卒業生が来るのは、5月ですが・・・。

――もしかして、美容師を辞めたいって相談ですか?

森田 はい、それです(笑)。彼らはアドバイスが欲しくて、母校に戻ってくるんですね。辞めたい気持ちは建前で、我々教師から「頑張れ」って言ってもらいたいんだと思います。なので、彼らが相談に来る時は、話を全て聞いてあげてアドバイスをしています。それで頑張ってダメだったらしょうがないかなと。卒業しても頼ってもらえるのは教師冥利に尽きますね。

――将来の自分はどうなっていると思いますか?

森田 このまま美容業界に携われる仕事をしていきたいと思っています。今は、この学校である程度責任のある仕事を任されているので、自分の仕事を全うしたいですね。自分の活動を通じて最終的には、美容業界に携わってくれる子を増やしていきたいですね。美容師って、一人一人の人生を作れる職業だと思うんです。自分が作ったスタイルをお店の外を出たお客様を通じて、多くの人が見る。これってすごいことだなって。だから、人の人生を作ることができる美容師を一人でも多く送り出せたらと思っています。

――最後に美容師を目指している方に一言。

森田 美容師は、楽しい仕事だと思っています。その楽しいをどこに重きを置くかで変わってくるかなと感じています。ただ楽しいのか、技術が楽しいのか、入客したお客様を幸せにすることが楽しいのか・・・。美容師になって自分の楽しいポイントの置き方を間違えないでほしいなって思っています。進路を迷っている人は、色々な意見を聞くことも多いかと思います。でも最終的には、自分が決めることが重要です。周りの意見を聞くことも大事ですが、自分が何をしたいかよく考えて進路を決めてくださいね。皆さんがこの業界に携わってくれることを楽しみにしています。

高崎ビューティ森田豊_座右の銘

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高崎ビューティロゴ

学校法人中央総合学園 高崎ビューティモード専門学校

住所:群馬県高崎市栄町13−1
Tel:027-310-2220

http://www.chuo.ac.jp/tbm/

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