今どきの眉は、“ほったらかし”がちょうどいい
最近、思うことがあります。担当媒体でメイクページを担当すると、ほとんどメイクさんは眉をほったらかしの状態にすることが多いんです。このことに気づいたのは、昨年の秋ぐらいだったかも知れません。決して手を抜いているわけではないんですよ、ホントにほったらかしの状態なんです。
眉をいじってしまうと、今どきの顔にならない。
ほったらかし。つまり、眉にはとことん手をかけないようにするんです。モデルの素の眉を最大限に生かした眉をつくることに徹しています。
最近のモデルは、ほとんど眉をいじっていないので、わりと太くてストレート。そのナチュラルな眉の感じを生かすことがブーム。これはひとりのメイクさんが提唱しているわけではなくて、ご一緒する7割強の方は、ほぼほぼ何もしない。
あまりにも気になってしまったので、ページでは紹介しないのに、「どうして、眉を何もしないんですか?」とたずねてみると、「眉をいじると今っぽくない」、「眉は顔の印象を大きく左右するので、きちんと描いてしまうと今どきの抜け感のあるメイクができない」、「眉をあえて何もしないほうがこなれてみえる」という意見が多くありました。
なるほど、なるほど。私が書く原稿にも、「抜け感」、「こなれ感」、「洒落感」、「ナチュラル」、「引き算」といった、キーワードがたびたび登場してきます。となると、眉をいじってしまうと、今どきのメイクと真逆の方向になってしまう可能性が大!
アイブロウパウダーではなく、アイシャドウを使う。
では、本当に何もしないのでしょうか? 現場で一番手をかけていなかった例としては、眉ブラシで整えるだけで完成していました。
これは、毛並みを上方向に整えるだけで終了。キリッとしたストレートな太眉で、ちょっとモードな雰囲気。ほぼノーファンデで、アイシャドウはベージュ、茶のアイライナーを描き、ファブリックカラーのマットリップを主役にしていました。ポンッとリップにスポットライトがあびたようなミニマムなメイクで、抜け感がありました。
メイクさんは、今、どんな風に眉のメイクをしているかというと、アイシャドウをアイブロウパウダーとして使っている方が多いように思います。まぶたに使ったものをそのまま眉にさっと忍ばせている感じ。色はピンクの時もあるし、ブラウン、カーキの時もあります。アイメイクと眉がひとつになることで、調和するんですよね、つまり、ワントーンメイク。
今までの概念でいうと、眉って、アイブロウペンシルでフレームを描いて、アイブロウパウダーをのせて、その上にアイブロウマスカラで色味を調整する……、というステップを踏んでいませんでしたか?
少なくとも私は3段階でしっかり眉をつくっていたので、アイシャドウで眉を整えるなんていうのは、かなり斬新な考え方です。
でも、コレが実際に試してみると、ものすごくしゃれた顔になるんですよ。リラックスしているというか、力を入れていないというか。眉がそこまで前に出てこないで、アイメイクをいい感じに引き出してくれています(私の眉もほとんどいじっていないので、ストレートな太眉です)。
眉がないなら、ペンシルで1本1本描き足す
もともと眉がある人ならば、今までお話したようにトライすればよいと思うのですが、眉を抜いてしまって生えてこない、薄い、短い方もいらっしゃると思います。
その場合は、眉を描く必要があります。描き方のコツは、“いかにも自分の眉”といった感じにすること。「眉を描いちゃいました!」っていうのはダメなんです。なので、なかなかテクニックがいる作業かと思います。
そこで、メイクさんに描き方のコツを聞いてみたところ、茶のアイブロウペンシルで、眉を1本1本描くように足す、という回答がありました。何人かのメイクさんに同じ質問をしましたが、みなさん同じ答えでした。
眉の形を整えるというのではなく、眉毛を描くわけです。毛のない部分に1本、また1本と描き足していきましょう。
最初はなかなか難しいかも知れませんが、コツさえつかんでしまえば大丈夫! ペンシルで眉を描いたら、アイシャドウで色味を足しても構いませんし、そのままでももちろんOK。眉はやや太く、ストレートに仕上げると今っぽい感じになりますね。
きちんと意味がある、ほったらかし眉
眉って、その時代のメイクを語るうえでなくてはならない存在だと思うんです。
たとえば、80年代はコンサバティブな太眉でしたし、90年代は安室奈美恵さんのような細眉が大ブレイクしました。そして、2019年。メイクも本来自分が持っているもの、個性を引き出すような眉の時代に。何かを足したり、引いたりするのではなく、ベーシックなものはいじらないで、少しだけニュアンスを足す程度に抑えます。ほったらかしなんだけど、そこにはちゃんと意味があるんですよね。
明日からの眉メイク、ちょっと変えたくなりませんか?