SNSの発信を「やりたいこと」から「悩みを改善できること」にシフト。デビュー半年で100万円プレイヤーへ　「GRAFF hair銀座店」木下英治さん

東京は銀座、蔵前、日本橋、大阪は梅田と4店舗を展開する美容室「GRAFF hair」。ハンサムショートで人気を集める今泉孝記さんがオーナーを務めるサロンで、業界トップクラスの技術を誇ります。

その銀座店に2020年に転職をしたのが、今回登場いただく木下英治さんです。現在は銀座店のスタイリストであり、大阪・梅田にある「mel by GRAFF大阪梅田」のマネージャーとしても活躍しています。

前編では木下さんが美容師になろうと思ったきっかけや、「GRAFF hair」での新人時代について伺いました。

後編では木下さんのデビュー後について伺います。集客のため、インスタグラムに力を入れるようになった木下さんですが、最初はなかなか成果に結びつかなかったといいます。元々ショートに対する思いが強く、インスタでもショートを前面に押し出して投稿を続けていましたが、お客様の悩みを解決できて、ビフォーアフターが分かりやすい縮毛矯正にシフトしたことで、月間売上100万円を達成できたそうです。

今回、お話を伺ったのは…

「GRAFF hair銀座店」スタイリスト／「mel by GRAFF大阪梅田」マネージャー

木下英治さん

美容専門学校卒業後、大阪で大手サロンに入社。ショートカットが得意な美容師になりたいとの思いから、2020年10月に「GRAFF hair」へ転職。2022年11月にスタイリストデビューを果たし、デビュー半年で新規のお客様の来店が月間50人弱、売上100万円以上の実績を作る。2025年1月には、「GRAFF hair」のセカンドブランドにあたる「mel by GRAFF大阪梅田」の立ち上げを行うマネージャーに抜擢。現在は銀座店と梅田店を行き来しつつ、プレイングマネージャーとして活躍中。

インスタグラム

インスタの発信内容を大幅に変更し、集客に成功

――入社から2年ほどでスタイリストデビューをされたとのことですが、その後は順調でしたか。

集客することの難しさを感じました。ショートカットが得意な美容師として働きたい思いがあったので、インスタでショートの投稿をアップし続けたのですが、その結果がなかなかついてこなかったんです。

当時はインスタでショートを推している美容師が多かったので、僕の投稿を見つけてもらうのが難しかったのだと思います。

――それはどのようにして乗り越えたのですか？

先輩からのアドバイスもあり、縮毛矯正を自分の強みとして発信することにしたんです。髪質で悩んでいる方は多いですし、悩みのある状態からそれがどのようにきれいになるかをわかりやすく見せることで目を引き、徐々に集客ができるようになっていきました。

それまで自分がやりたいことを優先してしまっていましたが、まずはお客様に対する可能性が増えることを優先しようと考えました。お客様がついてくだされば、そのあとに自分が本当に打ち出していきたいショートに路線変更をすることもできると思ったんです。

結果的に縮毛矯正の打ち出しによって、デビューから半年で新規のお客様を月間50人弱獲得することができ、売上が100万円を超えるようになりました。

「いつか大阪でも働きたい」という夢を、すぐに叶えてもらって

――現在は大阪にある店舗のマネージャーも任されているそうですが、きっかけは？

僕は大阪出身なので、以前から地元でも働きたい思いがあったんです。そのことを代表の今泉に話していたところ、昨年大阪の物件を見つけてきてくれて、「お店の立ち上げをやってみる？」と声をかけてもらいました。すぐに「やりたいです」と伝えてマネージャーを任せてもらうことになったんです。

――マネージャーになって、どんなことを感じましたか。

立ち上げに携わるのは初めての経験だったので、考えなければいけないことや決めなければいけないことがたくさんあって難しさを感じました。具体的にはお店のコンセプトやメニュー、どういう人材をどのように募集していけばいいのかなどを、代表やほかのスタッフと意見を出し合いながら固めていかなくてはならないので。

ただ、大阪で働くことは「いつかできれば」くらいにぼんやりと考えていたことだったのに、こんなに早く実現させてもらえたことに感謝しかないですし、周りからもたくさん支えてもらっているので、大阪店が盛り上がるように尽力していきたいと思っています。

――美容師としてやりがいを感じる瞬間は？

お客様に喜んでいただけることが一番大きいです。ほかにも今日のように取材を経験させてもらったり、セミナーの講師を務めさせてもらったりと、美容師の仕事で成果を上げることによって、さまざまな経験を積ませてもらえることもやりがいだと思っています。

SNS発信と練習が、美容師としてのベースを作る

――新人時代を振り返って、今の木下さんの活躍につながっていると思うのは、どんなことでしょうか。

一番は、間違いなくインスタです。取り組んでいたおかげで、僕個人についてくださるお客様を増やすことができたと思います。集客サイトなどもありますが、個人が集客につなげていこうと思うと難しい部分があると思うので、やはりインスタが効果的かなと。またインスタは結果が出るまでに時間がかかるので、新人時代など早いうちから取り組むことがとても重要だと思います。

あとは当たり前のことかもしれませんが、練習ですね。新人時代にどれくらい練習に時間を割けるかが、その後の活躍に大きく影響する気がします。

――効果的な練習方法など、ありますでしょうか。

僕は理解するのにとても時間がかかるタイプなので、効率は悪いかもしれませんが自分の体が覚えるまでひたすらに練習を重ねるようにしてきました。

ただ、一方で練習に力を入れ過ぎて体調を崩してしまったら元も子もないので、いつまでにどんなことを習得したいか計画を立てることも大切だと思います。その目標を達成するためにしっかりと練習に打ち込む時期と、体を休めたり息抜きをする時期を作るといいかもしれません。

アシスタント時代は大変なこともありましたが、チャレンジ精神を身につけることができた大事な時期だったと思うんです。今後も一瞬一瞬を大切に、もっとお客様に喜んでいただける美容師になる、大阪店を盛り上げるという目標に向かって、成長をしていきたいと思っています。

売れっ子美容師としての木下さんの土台を作った、新人時代の３つのポイント

1.なりたい美容師像に近づけると感じたときは、なりふり構わず行動をした

2.ときには「やりたいこと」より、「求められること」を優先した

3.自分にあった方法を見出し、練習を重ねた

朗らかな雰囲気でこれまでを振り返ってくれた木下さんですが、言葉の端々からひたすらに努力を続けてきたことが伝わってきました。取材中、「ショートカット」という言葉が何度出てきたのかわからないほど、なりたい美容師像に近づく熱意を持つ木下さんですが、ときには打ち出しを変えるなど柔軟な姿勢が、今の活躍につながっていると感じました。

ぜひ参考にしてみてくださいね。