【美容師のパーマ技術】Cocoon 泰斗さん流 ツーブロックを活かした「2wayバングパーマ」#1
仕事もファッションも楽しみたい男性に人気が高いのが、ゆるっとしたクセ毛風のカールをつけたパーマスタイル。そんなメンズパーマに定評のある「Cocoon」の泰斗さんに、おすすめのデザインを教えていただきました。
前編では、技術力を高めるためにしていたことや、サロンワークで心がけていることについて伺います。
「Cocoon」店長 泰斗さんにインタビュー
「まず考える」中途入社したサロンで教えられたこと
——美容師を目指したきっかけは?
中学生のころ、進路について考えたときに、何か作る仕事がしたいなと思ったんです。いろいろ作る仕事ってありますけど、そのなかでも、髪という物質そのものが好きで(笑)。骨格、毛流れ、髪質(状態)とコンデションも常に違うというのが面白いなって思っていたんです。それで、つくること+髪への興味から、美容師になることに決めました。
美容学校卒業後、前店で3年アシスタントをして退職。次のサロンを探しているときに、VAN(Cocoon代表)が独立してスタッフを募集していることを知って、タイミング良くCocoonに参加することになりました。
——アシスタント時代は、どんな風に技術を磨いていましたか?
オープンしたてだったこともあり、当時はマニュアルもありませんでしたし、レッスンもありませんでした。だから、先輩にぴったりくっついて、サロンワークの中で技術を見て覚える感じでしたね。最初だから何もわからないんですけど、ただひたすら見て、とりあえずやってみて、疑問に感じたことを聞いて、またやってみて……その繰り返しでした。古典的ではあるんですけど、今となっては、その覚え方はよかったなと思います。
——どんなところがよかったですか?
ほとんどの人は、こうって教えられたら、それしかやらないところがあるというか。考えず、教えられたことがすべてになってしまいがち。そうではなくて、「まず自分で考えてやってみる」という過程を経て学んでこられたから、何故そうするのか? と目的のある考え方が根付いたなと思うんです。
——若手時代の技術力アップには、何が大切だと思いますか?
まずは「考える」こと。僕はよくレッスンで、イメージしろ、すぐ答えをもらおうとせず考えろっていうことを伝えています。それは、僕が言われてきたことの受け売りなんですけど(笑)。僕もすぐに答えを聞こうとしたこともあるんですけど、VANに「まだその話は早いよ」って言われて。まずは想像しやってみるということを教わりました。教えてもらえる環境が整っていることはいいことだと思うんですけど、それが自分の思考を止めることもあります。教わるための自分の準備がなければ、せっかく教わっても実りが少ないというのがVANの教え。そこは注意しないといけない。
あとは、いろいろ経験して、いろんなスタイル作りの考え方があることを知ることも大切だと思います。僕は中途入社だったので、前のお店の技術が無意識のクセとして身についていたんです。だからVANに指摘されることの、何が間違っているのかもわからなかった。無意識でやっていることをリセットして、新しい考え方にシフトするのは、すごく大変でした。
でもそれがあったから今は、一般的な考え方と自分たちの考え方を比較することも、ミックスすることもできる。いろんな考え方があることを身をもって知っているから、後輩やお客様に伝えられるんだなと思うんです。「これがベスト」だけじゃなくて、比較できるものを知っておけば、自分の引き出しも広がります。どうしたいかという目的に対して、どのような手段をとるかの考え方の違いで、結局本質はどれも変わらないんですけどね!
——スタイリストデビュー後の技術力アップについては?
一番近道かなと思うのは、同じ考え方+自分の引き出しにない感覚で仕事をしている人たちを見ることだと思います。つまり、同じサロンにいるスタイリストたち。考え方と技術のベースは同じでも、人それぞれ感覚や好みは違うので、同じサロンのスタイリストでも作るデザインは違ってきますし、取り組んでることにも違いがありますよね。そこから、いいなと思うものは盗んでいく。外部のものを取り入れるのもいいと思うんですけど、まずは身近なところに同じ考え方だからこその取り入れやすい情報がたくさんあるので。
もっと言ったら、新しい感覚を持っている後輩たちの仕事もバカにはできません。VANがそうなんですけど、後輩を下と見ずに、そこから学ぶことがあると感じて自分の仕事を変えていけるんです。上に行くほど指導してくれる人はいなくなっていくなかで、そうできることはやっぱりすごいなと思うし、僕も見習いたいなと思っています。
——接客面で大切にしていることは?
美容師ってアーティスト気質なところがあるので、独りよがりな提案になりがちだと思っていて…僕がそうだったんですけど(笑)。でも、美容師は「相手ありき」の仕事です。これがCocoonに入りVANから一番教わったことですが、考え方のスタートを相手にもっていくことを心がけています。お客様の考え方とか好みを知ったうえで、自分の仕事を加えていく感じ。だから、会話もけっこうします!何気ない会話からヒントがあったりもするので…相手のことがわからないと、こちらが何を提供したらいいかもわかりませんから。それはスタイル提案でも同じです。
——スタイル提案はどんな流れで?
美容室にくるには理由があると思うので、まずは何が気になっているのかを聞きます。それを解消するうえで必要な施術の延長で、デザインの方向性を決めていきます。最終的な方向性を決めるうえでは、お客様の好みの部分が重要になってくるので、カッコいい系のスタイルが好きか、かわいい系のスタイルが好きか大枠を聞いて、その方向性に合わせて任せていただくことが多いです。
お客様にとっての最優先事項が、そのときの商品になるので、そこが解消されていれば満足していただけるはず。だから、デザインは後付けというか、相手ありきで考えていきます。
——では、メンズヘアの動向を教えてください。
20~30代はとくに、ツーブロックベースのコンパクトなマッシュショートと、センターパートが人気スタイルの2大巨頭。ここから、パーマの需要は増えていくかなと感じています。男性は髪が硬く直毛の人が多いので、それを解消したいという要望も増えていますね。モデルやアーティストでも、ゆるっとクセ毛風のビジュアルは多いので、そういうのがいいというインプットもあると思います。しばらくは、クセ毛っぽい質感の人気は続きそうです。
泰斗さんが提案する『2wayバングパーマ』
人気のツーブロックに、センターパートにもマッシュバングにもスタイリングできるパーマをオン。仕事でもオフの日でも決まるパーマスタイルは、おしゃれ感度の高い20~30代男性にぴったり。
泰斗さん流『2wayバングパーマ』のいいところ
1.直毛でも柔らかく動きが出せる
2.ファッションに合わせて雰囲気が変えられる
3.簡単にボリュームが出せてスタイリングも楽々
ご自身も直毛で悩んでいたという泰斗さんが提案してくれたパーマスタイルは、その人の毛流れに合わせた巻き方による再現性の高さが魅力。後編では、その詳しい作り方と2wayのスタイリング方法を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
【美容師のパーマ技術】Cocoon 泰斗さん流 ツーブロックを活かした「2wayバングパーマ」#2>>
取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
ヘア:泰斗(Cocoon)
モデル:児嶋勇史朗
教えてくれたのはこの人!
泰斗さん
Cocoon 店長
都内1店舗を経てCocoonオープニングスタッフとして参加し、代表のVAN氏に師事。1から技術を見直し、VAN氏の代名詞でもあるノンブローカットを習得。そのデザイン性と再現性の高さに、多くのお客様からの支持を得ている。現在サロンワークを中心に、一般誌、業界誌、セミナーなど多方面にて活躍中。Cocoonとしてのショーなどのプロデュースも任されている。
インスタグラム:cocoon_taito
Salon Data
Cocoon(コクーン)
住所:東京都渋谷区神宮前 5-6-5 Path 表参道 A棟B1F
TEL:03-5466-1366
URL:http://www.cocoon-van.com/