美容業界の応援メディア
コラム・特集 2019-12-08

夢や志を持った若者の背中を押したい。私の履歴書Vol.19【GOALD 中村トメ吉さん】#2

今年7月にOCEAN TOKYO(オーシャン トーキョー)を電撃退任し、同年9月10日に自身が経営するサロンGOALD(ゴールド)をオープンさせた中村トメ吉さん。経営者として若手を活用するマネージメントで注目を集めています。前半では、色んなことにチャレンジした学生時代についてお話いただきました。

後半では、GOALDを始めた理由や展望をたっぷり伺いました。「若い人たちの背中を押せるような経営をしていきたい」と熱く語る中村さんの想い、必見です!

2社目時代

休むのがとにかく怖かった

——2社目に就職したサロンではどのように過ごされましたか。

2社目で改めてきちんと美容師になりたいと思うようになりました。とにかく早く一人前になりたくて。オーナーに、「休みはいらないので、早く進めてください」と自ら懇願。すると、オーナーが2年間夏休み無しって決めたんです。オーナーは「言ったことはちゃんとやれよ」というスタンスだったので、正直ビックリしました(笑)!

——休みもなくて、辞めてやる! という感情は沸かなかったですか。

2回くらい坊主にして夕方頃に出社するということはありました(笑)。でもそれ以上にやってやろう! という気持ちが強くて、自分でウィッグを切って資料を作ったりして、自ら出版社に営業に行くこともしました。ストリートスナップで繋がった雑誌の方々との縁がここで生きてきましたね。いきなり巻頭のページを担当したりしたときは、話題になりました!

——反骨精神がすごいですね!

そんな中でも、仕事と並行して週3回のクラブ通いは続けていました(苦笑)。今だから言える話ですが、相当酷いですよね。でもそういったプライベートの経験も交えて、お客様と会話をしたり、フランクな接客をしました。先輩やオーナーからは怒られましたが、そのスタイルがお客様にウケたんです。同時に雑誌のスタイルランキングで常に1位を獲るなどして、自信がついて売り上げも伸びていきましたね。

——順風満帆な生活に見えますが、実際どうでしたか?

そうですね。当時、サロンのこともそうですし、ヘアメイクやヘアショーもやっていたんで、やりたいことは全部やらせていただきました。雑誌の行きたいサロンランキングも1位を取りました。
自分の成功哲学として、美容師は髪と向き合う職人では無く、『髪型と接客で人生が変わる』というコンセプトに人対人、人の心をデザインしている職業だと思っていました。この考えが確実に成功する価値観だなと自分で思ったときに……店の売り上げが2倍くらいになっても、めちゃくちゃ将来に対して不安だったんですよね。

——不安というのは?

理想の美容師になり、世間ではカリスマ的に言われる様になったけどそこから見えた未来と景色はいいものでは無かった。先があまり見えないし、休みも無い。更に給与体系が歩合制だから、休むのが怖くなっちゃって。休んだ分、自分のお客様が他のサロンに行ってしまうんじゃないか、将来今みたいに稼げなくなってしまうのかなと怖くなってしまったんです。そのときに、負のスパイラルを生んじゃう業界なんだっていうことに気づいて、元々独立する予定でしたが28歳で独立しようと心に決めました。

独立後

5年過ごす中で、人との出会いによって価値観が変わりました

——そこで独立しようと決心したのがすごいですね。

28歳で独立すると決めてからは、ヘアサロン◆at’LAV◆ by Belle(アットラブ バイ ベル)の冨山さんに毎月経営に関して教わりに行って、ちゃんと貯金しているか見られました。そこから全てが始まりました。といってもやっぱりなんだかんだいつも女性がきっかけなんですよね(笑)。

——女性がきっかけというのは!?

1000万円プレーヤーとなり、背伸びして銀座のクラブに行ったりして遊んでいました。そこで出会った女性を好きになったんですよね。アプローチしたら全然歯が立たなくて。プロ野球選手や社長、投資家などとばかり遊んでいた女性で、自分なんかが出しゃばってすみませんという気持ちもあったんですけど、今までの自分を超えていかなきゃなと思ったんです。

そこから毎月10万円しか使わないって決めて、しっかり起業に向けてお金を貯めました。目的がはっきりしたので仕事に存分に没頭できました。でも、周りやお客様にキャラを通して遊んでいるという体裁を貫くのが大変でしたね(笑)

——女性の力はすごいですね(笑)。独立後はどうでしたか?

共同出資という形でオープンさせました。当時は、お店ができたと告知する場もなかったので、どうやってお客様にお店ができたことを伝えるかが大変でした。ツイッターができたころ、たくさん呟いたことでようやく知られていったという感じですね。そんな時にSNS流行し、僕らの想いや作品を必死に表現し、活用した事でようやく知られていったという感じですね。時代の波に乗れました。

——前社ではやりきったという感じですか?

前社の起業目的は自身の成功体験の最大化。メンズマーケットが主流じゃなかったからこそ、1人でやるより組織で動いた方が沢山の人をハッピーにできる。それによってメンズ髪型に対する価値観や文化は創れたと思います。

もう1つとしてロゴに込めた意味でもある個人をフォーカスしたマネジメント。「己の旗を掲げよ」ってやつですね。個性を持った多くの美容師は排出できたと思います。そんな中、前社で5年経営者として過ごす中でカッコいい人とか、憧れの人が変わっていったんです。色々な会社の社長さんとも会いました。豊かさに溢れ、キラキラ輝いていて、裏方で世の中の価値観を作ろうとしていたり、圧倒的に利他主義で。

昔は表面的なカッコよさがいいと思っていましたが、そういう人たちを見ているうちに、価値観がどんどんと変わっていきました。

——それでこの業界を変えたいと思うようになったんですね。

はい。普通の会社って、人事やマーケティングがあると思うんですけど、美容室は99%が営業。売り上げが評価基準で、売り上げを達成できたら高い給料がもらえて役職が上がるというシンプルな構図。一見良いようにも見えますが、夢を魅せて、目の前の評価だけを追わせて、その他の価値観や教育を放棄してる形だと思います。

だからこの業界のルールとか在り方に対する違和感が昔からあって。それぞれのフォーカスと得意分野に対しての評価基準と役割、キャリアプランをしっかり描ける会社を作りたいと思い、立ち上げました。

GOALD時代

一緒に働いている仲間と未来を築いていくことが楽しみで仕方ないです

——退任されてから驚きのスピードでGOALDができましたよね。

理想の具現化だったので、とにかく早かったですね。司法書士さんにもこんなに早くやれって言われたことないですよって言われました(笑)。

——描いている未来は描けそうでしょうか。

美容室を成功させるハウツーはすでに持っているので、スピーディーに成長させていくつもりです。一番信用しているのは一緒に働いているスタッフの『人』という部分。その仲間たちが活躍していける環境を作ってあげたいですし、スタッフ自身が誇れる会社にしていきたいなと思います。それに、それぞれ見てきた経験や考え方を組み合わせれば、新しいものが生まれるんじゃないかって期待しています。ビジネスって喜ばせ合いだと思うので、同じ空間で出会う人をどう喜ばせられるか、どういうものが生まれるか楽しみですね。

——これからが本当に楽しみですね。

はい! いい意味で継承されているものもあるとは思うんですけど、土台から作ってしっかり育てていきたいです。壊さなきゃいけないものは壊さないといけないですし。挑戦というよりは『挑発』です。

もともと、「リアリティ」という名前にしようとしていたんですよ(笑)。スタッフにもお客さまにも包み隠さず、真実を発信していくという思いを込めて。でも、スタッフから「ダサい」と反対されて、再考。輝くという意味の『GOLD』に目標や目的を意味する『GOAL』を組み合わせた「GOALD」という造語にしました。

——今雇用形態がしっかりしているところを見る学生さんが多いですよね。

そうですよね。僕はあくまでも髪切り屋のチャラ男なので(笑)。法とか財務とかに関しては、知識と経験が浅すぎるんです。トップがそれだと不信感があるじゃないですか。それにサロンワークもやりながら、経営もやっていかないといけない。実際にこれがすごく大変で、スタッフに不安や負担をかけてしまう。過去の経験から、財務やマーケティング、広報、営業などを担当するスペシャリストを最初からバックオフィスにつけました。

最短でビジョンに向かう為には、それぞれの得意分野の役割を100%全うする事が大切だと思います。そうすることによって、美容師がサロンワークに集中し、技術や接客面において最高水準を目指せる環境を作るというのが最大のテーマです。

今後の展望

人々の心に残れるような生き方をしたい

——中村さん自身が今後どういう生き方をしていきたいですか?

僕は坂本龍馬が好きなんです。お墓に行くと、常に花があって。亡くなった今でもどこか生き続けているような。中村さんがいたから業界が変わったよねと言われるように、人々の心に残れるような生き方をしたいというのがすべてです。

——展望や今思い描いていることは何かありますか?

もともと僕が美容師を目指したのはメンズをカッコよくしたいという動機から。美容室だけではなく、教育機関やメディアなど、カッコよくなるためなら若者の背中を押せる要素は全部用意してあげたい。美容師としては好きな仕事をして輝いて、若い頃に夢とか志を持っている人たちの背中を押せるような空間を作りたいと思って経営しています。それに、スタッフ自身も、『人、モノ、お金』をちゃんと動かせる人に育てていくことも大事だと思っています。

——なんでそこまで人のためにできるのでしょうか?

僕ってなんでもない人間だと思っているので。周りの方々がいての僕ですし、僕一人で何かできると言ったら、できないですし。地球があって日本があって、素敵な方と出会って生きられていると思っている。だから、少なからず世の中周りの人のために生きたいなって思っています。

——ご自身の経験からが大きいんですね。

はい。僕は、美容室って世の中の最大の教育機関だと捉えています。それこそメンズ美容師という中で、中学生から投資家までありとあらゆる人たちと人生を共有することで、あらゆることを学ばせていただいているんですよ。そこから派生したビジネスもあったし、一緒に働くっていうこともあった。お客様から助けていただいて、学ばせていただいて今があると思います。これって本当にすごいことだと思います。

うちのスタッフには人と向き合ってほしいし、色んな人の考え方や悩みを学んでほしいですね。人対人を大事にできるスタッフを育てていくことが僕の使命だと思っています。どんなビジネスも人を思う事から始まると思ってます。

中村さんの成功の秘訣

1.失敗をバネに変え成長する
2.最短でゴールへと向かう実行力を持つ
3.人と人との繋がりを大切にする

▽前編はこちら▽
コンプレックスばかりだった学生時代。私の履歴書Vol.19【GOALD 中村トメ吉さん】#1>>

取材・文/梅澤 暁
撮影/中村早

Salon Data

GOALD(ゴールド)

住所:東京都渋谷区神南1-22-7 岩本ビル5F
営業時間:11:00~20:00
定休日:月
URL :https://goald.co.jp/

この記事が気に入ったら
いいね!してね

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事