【美容師のカット技術】MINX 銀座二丁目店 中野太郎さん流「セニングカットでつくる重×軽ボブ」#1

抜け感と動きのあるスタイルが人気を集める今、重要なカットテクニックがセニング。今回は、そんなセニングカットに定評のあるMINX 銀座二丁目店の中野太郎さんが登場。

前編では、ご自身の美容師としてのスタンスの考え方や、デザインへのこだわりについてお伺いします。

MINX 銀座二丁目店 中野太郎さんインタビュー

MINX 取締役/銀座二丁目店 トップデザイナー 中野太郎さん

2年遅れでの入社から、自分のスタイルを見つけるまで

——美容師になったきっかけを教えてください。

高校3年生のとき、大学受験に失敗しまして…。途方に暮れていたときに、1から自分が何がしたいかを考えたんです。当時、遊びで友だちの髪を切ったりしていて、自分の髪をセットするのも好きで、もしこれが仕事になったらおもしろいんじゃないかな、と思ったのが美容師を目指すきっかけでした。

それが高校3年生の2月だったんですけど、そこで初めて専門学校に行くことも知って(笑)。資料をかき集めて、東京の美容専門学校でまだ受けられるところに願書を出して…。美容師になると決めてからは怒涛でした。

——美容学校を卒業した後は?

僕のころは1年制の時代なんですが、僕は希望者だけが行ける2年目クラスを志望していました。ところが、家庭の事情で行けなくなってしまって…。そこで先生に相談したら、そのまま学校で教える側になることを提案されたんです。正直あまり気はのらなかったんですが、やるしかないという思いで同校の教員になりました。今となっては良い経験ができたと思えますが、当時は早くサロンに入りたくて仕方ありませんでしたね。それで2年目のときに、当時の教え子と一緒にMINXを受けました。バレないように隠しながらですけど(笑)。

——2年遅れでサロンに入った感じになるんでしょうか?

もちろん。教員はしていましたけど、サロン勤務の経験はないので、1からのスタートです。同期入社のメンバーよりも2歳年上になるので、「同期に負けてるようじゃ話にならない」と思って、アシスタント時代はかなり練習していました。その甲斐もあり店内の試験を1番早くクリアできて、スタイリストデビューも同期で最初にできました。めちゃめちゃ頑張りましたね。

——技術力アップのためにしていたことはありますか?

朝が苦手なので、朝練は一度もしたことがないんですが(笑)、夜と休日はかなり練習していました。人形の頭を使ったレッスンなら自分の好きなときにできるので、自宅に持って帰ってカットの練習をしたり。

僕は、技術力を高めるには、反復練習をするしかないと思っています。やった分だけ絶対返ってくるし、やらなきゃ確実にうまくならない。美容師って、一見華やかな世界ですけど、裏側では職人みたいな世界ですから。

——とくにMINXはカット技術の高さに定評がありますが、中野さんもカットに注力されてきたのでしょうか?

力を入れてきたことは、その時期によって違うんですよね。カラーがめちゃくちゃ好きな時期もあったし、パーマが好きな時期も、接客に力を入れなきゃと思っていた時期もあるんです。でも、やっぱりいろいろ中途半端になって…。そんなときに、社長の岡村と話す機会があって、それが僕のスタンスを決めるきっかけになりました。

10年以上前の話ですが、当時から岡村は業界的にカットがうまいと有名でした。僕も、カットがうまい美容師として名を売りたかった。そう岡村に伝えたら、お前には無理だと言われて。岡村は今でもウィッグを切っているくらい、カットの練習量がすごいんです。それができるのか? と聞かれて、僕には無理だなぁと(笑)。じゃあどうしたらいいのか聞くと、「美容師にとって大切な、カット、カラー、パーマ、接客、薬剤知識の五角形があったら、お前は全部中途半端にできる。それが全部しっかり以上にできるようになったら、すごいんじゃないの?」って。

——何かに突出するのではなく、オールマイティになるということですか。

はい。たしかに僕自身、カットだけができて、他がおろそかになるのはイヤだった。全部、人並み以上にできたいという気持ちがありました。それから目が覚めて、その五角形を大きくする努力を、今もしているところです。

女性のかっこよさ、美しさが伝わるデザインを作り続ける

——デザイン面でのこだわりはありますか?

MINXに入社を決めたきっかけでもあるんですが、当時かわいいスタイルが全盛だったなかで、MINXのデザインはすごくかっこよくて異質だったんです。だから、根本的なところで、かっこいい女性像、キレイな女性像っていうのが好きなんです。それは今も変わっていなくて、自分でデザインをつくるときも、キレイさ、上品さ、かっこよさっていうのを意識しています。サロンスタイルでも、作品作りでも、それは変わりません。

——トレンドの取り入れ方は?

雑誌は一通り見ていますし、国内外の女優さんのヘアメイクや衣装も好きでよく見ています。でも、雑誌やテレビだと、少し誤差が出るというか、「今」じゃない気がするので、全体の流れを把握する感じですね。コレクションも毎回見ていて、そこからトレンドを読んだりもします。誤差があるとトレンドじゃないと思うので、SNSや街の人、ブランドのマネキンなど、暇さえあればいろいろ見て取り入れています。

——では、ヘアスタイルの動向と、今回のスタイルについて教えてください。

ボブの人気が続いていて、定番化してきたなと思います。今回のスタイルはダメージがあったのであご下レングスですが、鎖骨くらいの長さのボブも人気です。そのくらいだと、肩にあたって跳ねる前提でのカットが好評ですね。今回は少し短めの設定なので、内巻きにも外ハネにもできるようにカットしました。気分やファッションに合わせて、いろいろ楽しめるデザインが、今っぽさにもつながるのかなと思います。

中野さんが提案する『セニングカットでつくる重×軽ボブ』

あご下レングスの前下がりのボブスタイル。内側の毛量をセニングで減らし、動きが出やすく調整。表面を間引かず重さを残すことで、内巻きにも外ハネにもスタイリングでき、ボブの二面性が楽しめるデザインに。

中野さん流『セニングカットでつくる重×軽ボブ』のいいところ

1.気分やファッションに合わせて雰囲気を変えられる

2.前下がりで、ほんのりカッコいい印象に見える

3.頭のかたちに合わせたセニングで美シルエットに

何かに突出するのではなく、オールマイティな美容師を目指すことで、さまざまなお客様のニーズに対応できる高い技術力を培った中野さん。しかし、その技術力を手にするまでのプロセスは、とにかく練習の日々だったそう。そうして築き上げたセニングカットのテクニックは、美容業界でも高い評価を得ています。

後編では、そんなセニングの技術を取り入れたボブスタイルの、詳しいカット法を教えていただきます。

▽後編はこちら▽
【美容師のカット技術】MINX 銀座二丁目店 中野太郎さん流「セニングカットでつくる重×軽ボブ」#2>>

取材・文:山本二季
撮影:米玉利朋子(G.P.FLAG)
ヘア:中野太郎(MINX)
メイク:土田明莉(MINX)
モデル:鶴岡琴梨

教えてくれたのはこの人!

中野太郎さん
MINX 取締役/銀座二丁目店トップデザイナー

国内外で幅広いセミナー活動を展開するMINXを代表する人気スタイリスト。顧客の再来店率は常に95%を超え、指名客数もトップクラスで月間500名を超える顧客を担当する。
美容専門誌の表紙や巻頭ページ、一般女性誌のトレンドスタイルも数多く発信。著書『9割リピートするセニング術』はベストセラーとなり海外からも多くの称賛を得ている。
インスタグラム:minx_taro

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Salon Data

MINX 銀座二丁目店

住所:東京都中央区銀座2-3-1 Ray Ginza9F
TEL:03-5524-0081
URL:https://minx-net.co.jp/salon/ginza2chome

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