スタッフ全員が「自分のお店だ」と思えるようなサロンづくりを目指して 独立を目指すあなたへ vol.8【メゾンツムギ 吉沢ジュンさん】#1

キャリアの選択肢のひとつである「独立」。サロンオーナーとして活躍する人たちの経験談から、新しい道へのヒントを考えてみましょう。

今回ご登場いただくのは、大手サロンLIPPSに20年勤めたのち、『メゾンツムギ』をオープンした吉沢ジュンさん。前編では、長年勤めたサロンから独立を考えたきっかけと、開業準備について。前サロンの20周年の節目に、それまでの道のりを振り返ったという吉沢さん。新たなスタートへの第一歩について、お伺いします。

夢中で走ってきた20年から、新たな道へ

南青山の美容室『メゾンツムギ』代表・吉沢ジュンさん。有名美容室にて第一線で活躍後、独立。

――まずは、独立を考えたきっかけを教えてください。

2018年にLIPPSが20周年をむかえたんです。ちょうど区切りのときだったからか、ほとんど初めて、それまでを振り返る気持ちになりました。そのときに、次のステージというか、LIPPSの看板に頼らずに、自分のチカラでチャレンジしてみたいなと思ったのがきっかけです。20年という節目に、「そういうタイミングなのかな」と思えたというか。一般的には、僕の年齢(現在46歳)って、もうとっくに独立している歳なんですけどね(笑)。

――20年はとても長く感じますが、それまで独立を考えたことは?

正直、まったく考えたことはなかったんです。サロンができてすぐに入社して、とにかくお店をよくしていこうと、その時その時のミッションや問題に注力していたので…。そういう熱中しているときって、あまり他のことって目に入らないというか。それが20年続いていたっていう感じなんですよね。

20周年をむかえ、6人くらいから始まったサロンが300人くらいの大きな会社になって、周りを見ると素晴らしいスタッフが育っていました。そのときに、ある程度、自分の役割を果たせたんじゃないかと思えたんです。

――独立の意思を伝えたときは?

社長は応援してくれましたね。お客さまにもきちんと告知して、独立後も僕のところに来てもらえるようにしてくださいと言ってくれました。今も、LIPPSのアカデミーには外部講師として毎週教えに行かせてもらっていたりして、完全独立ではありますが、つながりは続いています。

――よい関係で独立できたんですね。

そうですね。20年を見ていていただけたのかなと思います。すごく感謝しています。

スタッフ全員で作り上げた、居心地のいいサロン

2019年1月、南青山・骨董通りの少し奥に『メゾンツムギ』をオープン。

――独立を決めて、最初にしたことは?

まずは、社長に話をすることです。辞めるタイミングは、会社の都合もあると思ったので、僕の引継ぎなどを含めて、いつだったら切りがいいのか話し合いました。そこで、12月いっぱいが妥当だろうということに決まって。それが4月くらいでしたね。

次に考えたのは、お店をオープンする時期。退社からあまり間をあけたくないなと思い、年明けオープンを目指すことにしました。逆算すると、9月中には物件が決まっていないと、どんなに急いでも無理だろうなと思ったので、けっこう焦りましたね。

――では、準備期間は8カ月くらいですね。実際、準備期間は足りましたか?

全然足りませんでしたね(笑)。年末年始は、自分たちでペンキを塗ってましたからね!

――みなさんで塗られたんですか!

最初くらいなので、そういうことができるのも。なんか、愛着も沸くんじゃないかなと思って(笑)。できることは一通り、手作りでやっていこうと決めて、がんばりました。

――たしかに、手作り感のあるコンパクトなお店ですね。

お店づくりのイメージのひとつとして、友達の家に遊びに行くように気軽に来てもらいたいなっていうのがあったんです。前のお店は、一等地にあって、広い空間でいろいろ充実していたんですけど、それよりもう少し近い距離というか。ちょっと会いに行くくらいの感覚で来ていただけて、きちんと職人としての仕事を手渡すことができる、というようなお店のイメージがあって、それに合う物件を探していました。

この物件は、上が大家さんの住居で、自宅の1階を借りている感じなので、ちょうど風合いが、自分たちのやりたいことにぴったりだったんですよね。青山にあるんだけど、敷居は感じないというか。

――お店を青山に決めた理由は?

自分がお客様として髪を切りに行くのをイメージして、一度フラットな気持ちでいろんな街を歩いてみたんです。髪を切るときに、気分が上がるところだったりとか、なんかいい気持になれるようなところって、どこなのかなと。それで、この青山っていう土地が、いい感じがしたんですよね。これまで原宿、北青山、銀座の店舗で働いてきたんですが、自分にとっては、「やっぱりここなんだな」と思えたので、青山に決めました。

温かみのあるコンパクトな空間は、居心地のいいゆったりとした空気が流れる。

――スタッフのリクルートは?

スタイリストは、僕を含め3名なんですが、ひとりは美容学校のときの同級生です。青山のサロンで店長経験もあり、その後フリーランスも経験しているベテランですね。卒業後、離れていろんなキャリアを重ねてきて、次のステップとして、ぜひ一緒にいいものが作れたらいいねという感じで誘いました。

もうひとりは、僕の妻なんです。彼女も大手サロンに勤めた後、フリーランスで美容師をしていて。彼女にとっても、生涯安心してやっていけるような場所があったらいいなと思っていたのと、何よりもとても素敵な仕事をするなと、すごいなと正直思えたので、一緒にお店をやらないかと話しをしました。

――では、けっこうフラットな関係なんでしょうか。

そうですね。僕が代表ではあるんですけど、みんな自分のお店だと思って、自分たちで作っていけるように、と思っています。もちろんそれは、アシスタントも含めてなんですけど。

とくに最初の期間っていうのは、本当に全員が全員で一緒に作れる期間なので、全員の意見が反映されるように、お互いすり合わせながら、文字通り全員でっていうところで、やっていこうねっていう話はしていますね。

――アシスタントの採用は?

最初からお金を投資するわけにもいかないので、年に1回講師としてお世話になっている美容学校の先生に話をして、紹介していただきました。ある程度、僕のこともわかってもらえてたので、「この子いいんじゃない?」という感じで。

ふたり採用して、1年目と2年目の子ですね。できるだけ、まっさらな状態から、育てていけたらいいなと思っていたので。いい子たちに出会えました。

オープン1年目、大切にしてきたこととは

40代からの新たなステップとして『メゾンツムギ』をオープンした吉沢さん。2019年1月のオープンから、1年が経ちました。最初の1年、どんなことを大切に過ごしてきたのかを教えていただきました。

1.スタッフ全員が「自分のお店だ」と思えるように意見を汲み取る

2.お客様、スタッフにとって「いいこと」を考える

3.最高の技術の提供を、毎回重ね続ける

後編では、この1年を夢中で駆け抜けた吉沢さんが感じたことについて、さらに詳しくインタビューします。

▽後編はこちら▽
独立を目指すあなたへ vol.8【メゾンツムギ 吉沢ジュンさん】#2>>

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

Salon Data

MAISON TSUMUGI(メゾンツムギ)

住所:東京都港区南青山5-4-43 市来ビル1F
TEL:03-3409-6908
URL :https://www.maisontsumugi.com/

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