隠れ家スタイルで人気店に！『WANDER Hair grooming』の集客術に迫る
的確なコンセプト設定で人気店に成長した『WANDER Hair grooming』。実は、物件が居住用の建物のためマチダさんは屋上に建てられたプレハブ小屋で生活をしているとのこと。「三軒茶屋の家賃相場は10万円ほどなので、その分が浮いて助かっています」と笑顔で話します。そんな個性的なサロンが軌道に乗っている陰には、隠れ家スタイルであえてお客さまを絞る集客スタイルや、紹介状で最後の最後までお客さまをサポートするひたむきな姿勢がありました。
後編では、SNSに頼らないサロン作りの極意に迫ります。
美容室に見えない外観の理由とは？
————リピーターを獲得するコツはありますか？
「店頭に置かれた看板に猫のマスコットキャラクターだけを描いていて、あえて美容室だとわかりにくくしていることがプラスに働いていると思います。隠れ家的なサロンを作った理由は、性格をはじめとする人間的な部分が私と相性のよい方にご来店いただくためです。もし、看板に大きく美容室と書いていたら、もっとたくさんの集客を見込めるかもしれませが、どうしても相性が合わない方もなかにはいらっしゃいます。
もちろんいつも通り接客はしますが、お客さまは居心地がよくないでしょう。美容室には最低でも1時間はいますから、そんな苦痛を与えるのは申し訳ない。また、再来にもつながりにくいと思います。そのため、ある程度お客さまを絞って集客することはとても大切です。
ちなみに、サロンでは、マスコットキャラクタ－がプリントされたオリジナルパーカーを作っていて、その洋服を着ているお客さまを街で見かけたことをきっかけに、足を運んでくださった方もいました。
他にも、最近とてもうれしかったのは近くでカレー屋さんを営んでいる店主の方がご来店くださったことです。カウンセリングシートを見ると、『紹介を受けて』の欄に丸が付いていましたが、『紹介者』の欄には『わかりません』と書いてありました。詳細を聞いてみると、カレーを食べにきたお客さんのヘアスタイルがとてもきれいで、『どこで切っているんですか？』と聞いたところ『WANDER Hair grooming』という答えが返ってきたそうです。そこで『興味を持ってやって来ました』と。美容師として一番うれしい来店理由でしたね。ちなみに、SNSを活用した発信はほとんど行っていません」
スタイルに合った発信方法を選択
————なぜ、SNSにはそれほど力を入れていないのでしょうか？
「自分の性格と合っていないと思うからです。私は、自分がお客さんとして美容室に行った時に写真を撮られることは嫌ですし、自分のお客さまの撮影もしたくありません。また、投稿にスピードを求めることも苦手な理由です。発信をするならば、きちんと考え抜かれた文章をアップしたいので、その瞬間を切り取って発信するSNSのスタイルとはマッチしていません。
他にも、SNSがその美容師への不信感につながるとも思っています。たとえば、半日前には悲しい雰囲気の投稿をしていたにもかかわらず、現在はとても楽しいそうな写真がアップされている時があります。実際には、12時間の時間が流れていますが、スマホ上では続けて表示されるため、私のなかではたった1秒の間に気持ちが変わったように見える。もしかしたら、それはお客さまも同様の印象を受けているかもしれません。
私だったら、そんなに感情がコロコロ変わる人にはプラスのイメージを持たないので、なるべく最小限の内容に抑えて発信をしています」
紹介状で、お客さまに安心感を
————最後に、美容業界で働くなかで感じていることがあれば教えてください。
「お客さまが安心すると思うので、病院のように紹介状のシステムが広まるとよい循環が生まれると思っています。とくに、春先は転勤などで美容室を離れるお客さまが増えるシーズンです。そこで担当美容師が、これまでのスタイルの変遷や使用しているカラー剤をまとめた手紙をお客さまにお渡しすれば、次に担当する美容師もその方の詳細を把握できて、施術がスムーズになると考えています。
私は、これまで最後のご来店時には必ずカルテの記録をお渡ししてきました。もしかしたら、お客さまから『今日で最後になる』という情報を聞くことは、『お客さま対美容師』の関係では難しいかもしれません。最後の最後まで、お客さまをサポートするためには、やはり『人対人』を意識して日々働くことが大切だと思いますね」
SNSに頼らないサロン作りの極意
三軒茶屋という立地が思いのほかスタイルにマッチしたという『WANDER Hair grooming』。SNSに頼らないサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
１.隠れ家スタイルで、あえてお客さまを絞る
２.自分に向いていない発信ツールは活用しない
３.紹介状で、最後の最後までお客さまをサポートする
放浪する猫のように『WANDER Hair grooming』ブランドを広めたいというマチダさん。今後は、サロン内にキッチンスペースを作り完全予約制スタイルを目指しているとのことです。個性的なサロンを目指している経営者の方、独特な空間を肌で感じたい方は、サロンに足を運んでみてはいかがでしょうか。
▽前編はこちら▽
コンセプトは「寝起きがかわいい」！『WANDER Hair grooming』の経営術に迫る>>
Store Data
WANDER Hair grooming
住所：東京都世田谷区太子堂4-30-27 カーサピッコラ3階
TEL：03-6805-5639
URL：https://wander-hair-grooming.com/
