若くして経験したガン。闘病生活を乗り越えて見つけた「美容師がいい」という境地「Lucky3349」DAIYAさん

阿佐ヶ谷に店を構え、10年目となる美容室「Lucky3349」。丁寧な接客、確かな技術でお客様に愛されてきたサロンです。

そんな「Lucky3349」に中途採用で入社し、現在は4年目となるのが、店長のDAIYAさん。前編では1社目のサロンで過ごした新人時代について伺いました。

後編では「Lucky3349」に入社したあとの新人体験について伺います。「Lucky3349」の社長と元々知り合いで、漫画などのサブカルチャーの趣味も合い、入社が決まったといいます。

入社からしばらくして、若くしてガンを経験したDAIYAさん。闘病生活中に美容師への思いが少し変化し、現場復帰後は肩の力を少し抜いて仕事を楽しめるようになったといいます。また人間性の部分で壁を感じることも多かったといいますが、社長から指摘を受けることで、徐々に成長できたそうです。

今回、お話を伺ったのは…

「Lucky3349」/店長・スタイリスト

DAIYAさん

美容専門学校を卒業後、某有名サロンに入社。師匠と慕う先輩が独立したのを機に、フリーランスアシスタントに転身する。以前から独立を考えていたため、管理職を経験したいと「Lucky3349」への転職し、現在は店長を任されている。

インスタグラム

時間を意識する難しさ。「スピード、量、質」の順番を間違えずに反復練習

管理職の経験を積みたいと、「Lucky3349」に入社したというDAIYAさん

――「Lucky3349」に入社後、スタイリストデビューを果たしたとのことですが、どんなことを感じられましたか。

限られた時間のなかで、どれだけお客様が満足できるものを引き出していくかというところに難しさを感じました。自分がやりたいことよりも、お客様がどうしたいと考えているのかを引き出し、予定の時間内に終わらせることを常に意識していましたが、なかなか自分が求めているレベルに達することはできなかったです。

――どのようにして時間内で満足をしてもらえるような施術を可能にしたんですか。

時間に対する意識を強くするため、実際の施術時間を計るようにしていました。そうしてみると自分がイメージしていたよりもはるかに時間がかかっていることが多く、そのラグを修正するようにしていたんです。

――ラグはどのように修正したのですか。

先輩のスタイリストがどのように時間を短縮しているのかを聞いて、無駄なところを削っていきました。何回コームを通すか、準備の時間に無駄な工程はないかなど細かく見て、時間を削るんです。

あとは反復練習をしていくことで徐々にスピードが上がっていったと思います。僕は練習の際に意識するポイントとして、スピード、量、質の順番を間違えないことがとても大切だと思っています。どうしても質を優先したくなりますし、今でもそれで怒られることがあるのですが、まずスピードへの意識を持って、量をこなす。そのあとに質がついてくるものだと思います。

闘病中に行きついた、「美容師がいい」。この仕事が好きだと再認識

若くしてガンを経験したDAIYAさん。さまざまな気づきがあったという

――入社後、壁に感じたことはほかにもありますか。

仕事の面ではありませんが、ガンを経験したことは自分にとって本当に大きな経験になりました。「Lucky3349」に入社したばかりのころ、突然ガンになってしまいまして。

治療が終わったと思っても転移が見つかったりと、一筋縄ではいかないことばかりでした。やっと復帰ができたと思っても、最初は体力が戻っていなくて、1日お店に立つのも一苦労で。仕事をしたいのに、満足にできないことが辛かったですね。

――そうだったのですね。闘病を通して、仕事に対する思いが変わったりはしましたか。

よく病気を経験すると、そのあと何事にも本気で取り組めるようになるという話しを聞いたりしますが、僕の場合はそれまでも本気で取り組んでいたのでそういった面での気持ちの変化はありませんでした。むしろ、「美容師しかない」という気持ちから「美容師がいい」という気持ちに変化し、少し肩の力が抜けて仕事を楽しめるようになった気がします。

――「美容師がいい」。

はい。昔読んだある漫画で、漫画家を志す主人公に対して編集者が「『漫画しかない』という思いの人が描く作品は人を楽しませられるとは思えない。『漫画がいい』と思えるようになったら作品をまた持ってきてください」というセリフを言うシーンがあって。

僕は病気を経験するまで、「美容師しかない」と思って走ってきたんです。でも闘病中に感じたのは、支えてくれる家族、心配してくれる先輩や友人、社長をはじめバックアップしてくれる会社と、自分にはこんなに美容師以外のたくさんの誇れるものがあるんだということでした。そこからは「美容師がいい」という気持ちに変化し、美容師の仕事をもっと楽しめるようになった気がします。

――なるほど。復帰後、仕事は順調に?

いくら前社で、師匠に鍛えてもらったとはいえ、やはり生意気な部分や人間の未熟さがすべて改善しているわけではなく、社長から指摘を受けることは多々ありました。たとえばミスをしたときにすぐに報告せずにごまかそうとしたり、何かが起きたときにも他責思考で誰かのせいにしてしまうところがあって。

店長を任されていたこともあり、「上に立つ人間がそれでは絶対にだめだ」と社長からガツンと言われました。そこから本気で自分の未熟さと向き合い、まだ道半ばですが徐々に自分の内面も成長させられることができたと思います。

社長がよく「数字は嘘をつかない」というのですが、本当にその通りだと思うんです。自分が人間性が磨かれ、軸がぶれていない状態ですと、仕事に集中できますし、パフォーマンスもが上がります。それが結果的に売上などの数字にも表れてくるのではないかと思います。

「お客様のために」。その気持ちがあるかが成果の違いを生む

常にお客様目線の軸を持っていたことが、自身を飛躍させてくれたと話すDAIYAさん

――DAIYAさんにとって、新人時代の体験はどんな学びになりましたか。

とにかく多くの気づきがあった時期でした。とくに「お客様のため」という他者意識を持つことの重要性を学んだ気がします。自分でいうのも何ですが、ほかの新人と比べるとわりと早く成果が出た方だったと思います。

それは常に自分の軸に、お客様に喜んでもらいたいという気持ちがあったからではないかと思うんです。その気持ちがあると掃除すら楽しいんですよね。どれだけきれいに掃けるか、かっこよく掃けるかを追求するので。こういった他者意識があるかどうかで、成果も大きく変わってくるのかなと思います。

――最後にこれから美容師を目指す人にアドバイスをお願いします。

美容専門学校時代は、美容に限らず幅広くさまざまなことにチャレンジしてみるといいと思います。僕は学生時代、コンテスターでありとあらゆるコンテストに出ていたのですが、美容師になると美容に関係することは、あとからかならず取り組むことになります。

なので学生時代は逆に、美容から離れて経験を積むと、結果としてそれがすべて自分の引き出しになってくれるのではないかと。

自分がつくったものをお客様が目の前で喜んでくれる美容師という仕事は、ほかにはないと僕は思っていて、とてもやりがいがある仕事だと感じています。美容が好きだという人はぜひ、美容師の道に挑戦してみてください!


DAIYAさんが充実した新人時代を送れた3つの理由

1.やるべきことに誰よりもきちんと取り組んだ

2.常に「お客様のために」という軸をぶらさなかった

3.自分に向き合ってくれる先輩たちへの感謝を忘れなかった

不登校や大病などさまざまな経験をしてきたDAIYAさん。一見マイナスにみえる出来事かもしれませんが、それらの体験の近くにはいつも美容の存在があり、DAIYAさんの美容への思いを強く、そして明確にしてきたのではないかと感じました。これからもDAIYAさんの躍進はますます続いていきそうです。


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Lucky3349
東京都杉並区阿佐谷南3-34-9
03-6873-6158

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